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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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93 本物の獣人とスモークトラウトサンド

マコト&ソフィーは、エジンプトを出た次の日、朝早くから南に向かった。


この国は、思っていた以上に収穫が多い場所だった。胡麻、トマトの食材、聖水、エクスポーションが手に入った。


ここからの移動はナイラ川沿いの交易ルートを目安に南下することにした。たまに人にも会いたい。


普通はラクダなどに荷物を背負わせ、護衛も雇ってキャラバン隊を組む。


言わずもがなだが、ふたりには必要ない。


エジンプトとエチオーピアの間にスダーンという国がある。サバンナにはライオンや象がいるそうだ。


マコトはライオンを近くで見てみたい。


地球と異世界のアフリカ大陸の違いはナイル側の東側の一部だけに人間族がいる。大陸の大半に獣人が点在して住んでいる。


こっちの世界では、蔑む意味で人間族が暗黒大陸と呼んでいる。


「ソフィー、獣人の街とか村には行きたい?」

「特に積極的に探したいとは思わない」


「…そう」

「ああ、純粋な獣人は耳が種族に合わせて特徴が出るし、尻尾もあるそうだ」


ソフィーがマコトと目を合わせた。


「ふふ。私は人間体の時にマコトと同じで良かったと思っているぞ」

「俺も同じ気持ちだよ」


早足でキャラバン隊をひとつ追い抜いて、談笑しながら歩いている。


◆◆

風が吹けば、たわめたミスリルホイルに魔力を一気に込めて大ジャンプ。30メートルの上空でパラグライダーを出して滑空。


その繰り返しで1日に200キロほど進んだ。2回ほどキャラバン隊と交流もした。


5日目にエジンプトの国境を越えてスダーンに入った直後、ピンチの人を見つけた。


10歳くらいの子供だ。



マコト達が朝食の準備をしていた。5メートルの上空にプレハブ小屋を設置して、壁もみんな透明にしていた。


ソフィーが直感スキルで何か感じたと言ったし、周囲を見渡していた。


すると体高1・7メートルのシロサイに追われる男女の子供を見つけた。子供にしては足が速いけど追い付かれそうだ。


「マコト、助けたい」

「オッケー、急ごう」


今のふたりなら砂地に5メートルくらい落ちても余裕で着地できる。プレハブ小屋から出た。



「うわああああ!」「追い付かれる!」

必死な形相の子供達には、どちらも猫耳がある。


そのふたりがシロサイに背中からぶつかられる寸前に、追い付いたマコトがシロサイの頭を押さえた。


「え?」「大丈夫」


ソフィーが派手に転んだシロサイに回復ポーションをかけた。すると慌てて逃げていった。


「人間族だ!」

「うわああ、またピンチだ」


「大丈夫だ。私達は何もしない」

「だよ.安全なところまで行ったら離すからね」


人間は敵と思っていると聞いていた通り。仲良くなれるとは思わないが、助けておくことにする。


子供は戸惑っている。


「おい」

「な、なに?」


ソフィーはいろいろと説明せず、子猫化した。


「あ、お姉さんも獣人」

「けど、変身前は人間みたいだったぞ」


ソフィーは人間体に戻った。


「私には獣人の血が混じっている。だから助けてやる」


子供の目を見れば分かる。悪気はないが疑心暗鬼だ。


マコトが大好きなソフィーの猫顔も彼らに比べたら人間そのもの。


子供は瞳が縦に割れ、鼻筋から上唇もモロに猫的で違いがありすぎる。


申し合わせた訳ではないが、ふたりは言語理解の指輪を外して猫獣人の会話を聞いた。


ソフィーでさえ、まったく理解できなかった。


ソフィーは本当の猫獣人と会って、一瞬だけ寂しそうな顔をした。マコトだけは気付いた。


マコトは思わずソフィーの頭を抱いた。

「…大丈夫、俺がいる」

「うん、大丈夫。ありがとう」


木陰に連れて行くと、子供ふたりは緊張から解放されて座り込んだ。


「まあ、何かの縁だ。朝飯だけ食っていけ」


ソフィーのマイキッチンを出した。


相手が誰だろうと親切ソフィーは変わらない。


スモークしておいた薄切りトラウトを出し、黒胡椒を振った。


小麦粉パンにマヨネーズ、レタス代わりの葉物野菜、そして隠し味に刻んだ魚肉ソーセージを乗せ、スモークトラウトを挟んだ。


「ほら食ってみろ」

「味の保証付きだよ」


猫獣人は人間に比べれば格段に鼻がいい。調味料とスモークされた魚の香りに抵抗できない。


「はぐっ」

「あ、ライってば、も~私も、はぐっ!」


もぐもぐと食べ、一口目をのみ込んだ子供達に聞いた。


「うまいだろう」


「うんま~い」「おいしい~」


「そうか、私達も食おう」

ふたりも食べた。


「香ばしいスモークとマヨネーズって合う~」

「うんうん、これもいいね~」


お代わりを作ってやると、ふたりは名前だけは教えてくれた。男の子がライ、女の子がネネだ。


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした。ところで、お姉さんはハーフなの?」


「私は赤ん坊の頃に人間の街の孤児院に預けられた。だから詳しくは分からん」


「…そうなんだ」

「恩人だから、お礼をしたいけど…」


「気にするな。人間族に見える私が集落に近付いたら迷惑がかかるだろう。連れて行けとか言わない」


「そうだね。ところで君たちはなぜここに……んっ!」


マコトが先に反応した。10個ほどの敵意を持つ気配が一気に近付いてきた。


ソフィーと2人だけならプレハブ避難から迎撃だけど、子供がいるから彼らを守るようにして構えた。


ソフィーはミスリルホイルを出している。



彼らを囲んだ相手にはみんな猫耳があった。


「子供達を放せ。さもなくば無事では済まさんぞ!」

「貴様ら奴隷狩りか」

「手を上げろ!」


子供を探しに猫獣人の大人が来たようだ。


マコト&ソフィーは奴隷狩りか誘拐犯と思われている。

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