9 森の浅瀬とプレハブ小屋レベルアップ
マコトは早く森の深部を抜けたくなった。
移動距離を伸ばす。
幸運にも立て続けに強い魔石を手に入れた。『拡張積立』に99dをつぎ込んで、プレハブ小屋のレベルを2に上げた。
これで一辺3・8メートルのプレハブ小屋が二個繋げる。オプション付きで繋ぎ方と、キッチン、トイレ、シャワーの配置を設定できる。
設備はコンロが2口を増え、シャワー室、トイレが少し広くなった。
部屋が長方形になって分かったが、2連プレハブ小屋はマコトが前を向いている方に伸びていく。なので移動に使うときは、最初の玄関で体の向きを変える。
そうすると、部屋が向きを変える。
部屋は仕切れた。扉はなく、マコトの意志で白いパーテーションが現れる。ただ全開か密封の2択しかない。
新しい部屋も個別で温度と照度を調節できる。
奥の部屋をリビングにする。今は板しかない床に、いずれはベッドやテーブルを置きたい。
プレハブ小屋の増設位置、キッチン等の位置は変更可能だけど、その都度1dの魔石エネルギーが必要になる。
ライフライン以外のコストは高めに設定してある。
プレハブ小屋内の進化、レベル3に上げる条件等は、あとで検証。最大7・6メートルに伸びた転移距離を動く。
◆◆
それから2日、異世界に転移して10日になる。
世界で5つしか発見されていないランク5ダンジョンの影響を受けた20キロエリアを抜けるのに4日を要した。
ダンジョンから8キロほど離れると魔物は次々と現れたが、大半は回避。魔物が単独のときは倒す方法がなかった。
2回だけ複数の魔物が一緒にいたから、魚肉ソーセージでハメた。
1回はダンジョンに入った次の日。ゴブリンソルジャー2匹が相打ちになり、両者瀕死。
マコトは棍棒でトドメを刺して魔石もゲット。レベルは13から18まで上がった。魔石も計58dを手に入れた。
次の日に大きなイノシシと大きなオオカミ2匹をマヨ乗せソーセージで争わせた。
今のところ、魚肉ソーセージが効かなかった魔物はいない。
軍配はイノシシに上がり、追加ソーセージを川に投げると、それを追って泳いで行った。
負けたオオカミは1匹だけ息があり、トドメを刺したのみでレベルが18から20になった。
ミドルブルーウルフで2匹の魔石はなんと、24dと26dになった。
魔石エネルギーは108dも増えたけど、最初の怖かったオオカミでさえ5dだった。やっぱり、この周辺をうろつくのは危ないと感じるマコトだ。
しかし、移動すらプレハブ小屋の中なので、森の中なのにアウトドア気分どころが閉塞感を感じてきた。
特に森の最深部付近で過ごした2日間は、瞬間的にしか外に出ていないから。1日で数分間の外出だった気がする。
「米食えねえし、ビール飲めねえ。鍋は平石。ベッドも椅子もない。リビング部屋にはタオル布団しかないし…」
要するにストレスがたまっている。
身体能力は上がっているのに、外を走っていない。
そんなことを言いながらも、早くも身体に染みこんだ転移もどきでプレハブ小屋を使って移動していると、木々の緑の色が変わった。
周囲を見渡すと、今まで感じていた空気の重さはなくなり、最初に転移した場所のような、ただ森が深い感じになった。
周りを警戒しながらも少し歩くと、異世界で最初に遭遇したフォレストウルフが現れた。
マコトに向かってきたが、余裕で動きが見えた。念のためプレハブ小屋に戻って再び外に出て、バックアタックでウルフに棍棒の一撃を食らわせた。
「お、瞬殺だ。レベルアップの恩恵ってすげ~」
レベルは20から変化なし。オールステータス200。5d追加。
それから2日間、川沿いを走るようになった。魔物がよく出てくる。白黒モニターで外を観察すると夜行性のやつもワンサカいた。道自体は滑らかで歩きやすかった。
ゴブリンはノーマルしか出てこないし、角ウサギも多かった。連携するゴブリンの不意打ちが脅威なので、4匹以上の時は素直に回避行動を取った。
で、今日が12日目の夜。わずか2日間で80キロくらい進んだ気がする。思ったよりも森が広いけど、マコト自身の足も速くなった。
得た魔石エネルギーはノーマルゴブリン25匹で25d、角ウサギ11匹で22d、フォレストウルフ3匹で15d、スモールボア1匹で4d。
ゴブリンは安定の1dだけど、2日間で計66d。
森の深部のようなストレスもないし、そこそこの魔石エネルギーも稼げる。
今夜は交易、物物交換に使うことを考えて、それ用の食べ物を作った。紙コップを量産。その中にプリンを入れると、露天で売り物になりそうな見た目になった。
魔石が200dほどストックできたから、次いでプレハブ小屋をレベル3にして、空間収納の大きさも一辺を4メートルにする。
毛皮と有機材料の両方が取れるウサギ、ウルフが収納を圧迫してきた。
ウサギ肉には興味があるが、刃物がカッターナイフしかない。
ゴブリンは半分ほど捨てた。
「さて拡張積立に100d投入」
プレハブ小屋ひとつ増設。これは疑似転移の距離を7・6メートルから11・4メートルに伸ばすため、縦に並べた。
全体が広くなった気がしないが仕方ない。キッチン、冷蔵庫、トイレ、シャワー室の配置は同じ。
そして今回の進化はシャワー室のみ。
扉を見ると、シャワーマークから温泉マークに変わっていた。
「おおおお!」
入り口はシャワールームと同じ大きさなのに中の広さがおかしい。
蛇口が増設され大人ひとりが足を伸ばせる大きさの四角いヒノキ風呂が設置されていた。
シャワーは前と同じようにある。シャンプーと石鹸を置ける棚まで増設された。
瞬間乾燥器も追加。干し場所に困っていた洗濯物もキレイにできる。
早速、風呂に湯を張って入った。浴槽洗浄も含めて風呂を毎日使うと、プレハブ小屋の燃費自体が悪くなる。これに毎日入れるなら、マコトはゴブリンと戦い続けていいと思った。
「ふ~、やっぱ日本人は湯船が必要だな~。康介叔父さん、ナイスだぜ」
プレハブ小屋の機能の中で肝心なのは冷蔵庫だろうと思っていたマコトだったが、これはアリと実感した。
プレハブ小屋レベル4までに必要な魔石は150d。
アップグレードするものは、冷蔵庫と風呂。
またも風呂のアップグレードだ。マコトは、さすがは温泉好きの伯父さんが作った設備だと思った。




