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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: #とみっしぇる


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10/21

10 初の異世界人とプリン

異世界ライフ13日目のマコトは、朝風呂に入ってから外を歩き出した。


あれだけ密度が濃かった森の木々に少しずつ切れ目が出てきた。


なのに、ゴブリン、角ウサギが出てくる。単独だけど少し歩くと現れる。倒して計18匹、魔石エネルギー23dを得たときマコトは気付いた。


「シャンプー、石鹸、朝飯で使った醤油やマヨネーズの匂い。ただでさえ魔物が多そうな森で匂いプンプンだもんな。そりゃ寄ってくるか…」


山で猛獣から逃げるときは匂いを消せとは習ったが、日本の人里近くで役立ったことがない知識だから忘れていた。


森の出口も近いのか、角ウサギもゴブリンも弱くなっている。瞬殺、空間収納行きで手間も少ないし、ストレスも減った。


けれどマコトは、ここで狩りを続けることは考えない。早く人に会いたいのだ。


孤独を楽しめる期間は過ぎた。


なんだかんだいって現代人。孤独の休日を気取った日だって外を見れば人がいたし、買い物をすれば店員さんに挨拶された。


タブレット、テレビの中にも疑似的な人との関わりがある。24時間、他人の痕跡すら見ない日など経験したことがない。それが2週間近く続いている。


人間関係で仕事を辞めたと言っても、直属の上司と数人の仕事関係者が原因。マコトは好意的な人間には礼を尽くせる。


ガチなサバイバルをしていれば他のことを考える余裕はない。けれどマコトは違う。夜は安心して眠れるし、清潔で食べ物も十分にある。


無意識に異世界人と会えた日のために、杏仁豆腐、プリン、シュークリーム、ビーフジャーキー、魚肉ソーセージを増産してしまっている。


そんなときに、待望のものを見付けた。


今までと同じように川沿いを歩いている。川端は30メートルくらいあって、土手もある。


河原が完全に途切れる場所があったから土手を登ると、道のようなものがあった。


獣道と違うのは、枝を刃物で切った痕跡があった。間違いなく人間が歩きやすいように枝打ちをしている。



マコトは走りそうになる自分を抑えた。


人間に会いたいが、ここは異世界。叔父の注意書きに『剣と魔法と野蛮人の世界』と書いてあった。


プレハブ小屋に戻り、言語理解の指輪をはめた。


15分ほど歩くと、20メートルほどの丸い草っ原があった。真ん中に大きな木の切り株があり、そこを椅子にして人間が座っていた。


12~13歳くらいの男女ふたりずつ。ヨーロッパ系の顔をベースに少しアジアテイストの、マコトには親しみやすそうな顔の美男美女。


厚そうな生地のシャツとズボンに、紐で足に固定したサンダル。各自の手荷物と、木の槍を横に置いている。


距離は30メートル。向こうも自分に気付いて、それぞれ木の槍を握った。


いざとなればプレハブ小屋に待避すればいいし、接触を図ることにした。


「やあ」


努めて明るい声で呼びかけた。


「な、なにもんだ、アンタ」


「森で迷って、川沿いに10日くらい歩いてたら、ここに出たんだ」


「嘘つけ!」


「ホントだよ。川沿いに森に入って100キロくらいのとこにダンジョンの入り口があったよ。白い虎もいた」


マコトは何気なく言ったが、若者達は木の槍を置いて手を上げた。


彼らは森の外縁部から一番近い、人口250人のバルセロ村の住人。


狩猟中心の暮らしをしているから、村人は街の人間よりも強い。けれど村の鉄則がある。


『魔の森の奥から出てきた人間に喧嘩を売るな』


この森の中心にはランク5ダンジョン、その南に過去の賢者の遺物が置いてある。


5年に1度、調査隊は入るが、30人規模の高位冒険者ばかりで編成されている。


つい2週間に森から帰還した調査隊が村に立ち寄った。現在の森の最深部の支配者が大熊から白虎に変わったと言っていた。


そんな最新情報である白虎のことを、森から涼しい顔で現れた男の子が知っている。


そういう人間の法則がある。とんでもない戦闘力に恵まれているか、特殊スキル持ち。


敵に回したら殺されると。


それを村の大人に何度も言われている4人は、マコトの言葉を聞いて白籏を上げた。



マコトは謝った。


若返って15歳だけど心は33歳。子供を怖がらせた気分だ。


「驚かせてすまない。危害を加えたりしないよ。そうだ、食べ物の交換をしないか?」

 

4人は昼ご飯中だったのか、干し肉、何かの果実、水、そして平たいパンを切り株の上に広げていた。


マコトの目はパン、要するに久々の炭水化物に釘付けだ。どんな物でもいいから食べてみたい。


4人は首が折れるくらいに頷いた。


「そのパン、もらっていいかな。こっちからは、こんなのなら出せるよ」


空間収納から紙コップに入れた杏仁豆腐、プリンを各4個出した。


「え、どこから?」

「普通に空間収納からだよ」


「まじ?」

「収納持ち!」

「すご~い」


4人の反応を見たマコトは、普通にあると思っていた空間術は、普通でないのかもと感じた。


彼らはケント、ベン、マリー、ハンナ。12~13歳。今日は森の比較的安全な場所で薬草、木の実とキノコの採取に来た。


「俺はマコト。旅をしていて、2週間前に、この森の反対側から迷い込んだ」


設定を考えていなかったにしても適当すぎる。 


マコトは平たいパンをかじった。何かの粉を水に溶いて塩味だけで焼いた物。パサパサだから、砂糖を少しまぶした。


「ああ~、なんかいいな~」

マコトはご満悦。


杏仁豆腐、プリンを渡された4人はスイーツとマコトを交互に見ていた。


ハンナが思い切って、プリンを木のスプーンですくってなめた。


「どう?」

「どんな味だ、ハンナ」 


「あ、あ、ああ~」


「あ?」「あ?」「あ?」


「甘くて美味しい~~~~」


夢中でプリンを堪能するハンナに、3人も続いた。


プリンのシロップ、杏仁豆腐の紙コップの縁に付いた汁も、きれいに舐め取ってしまった。


マコトは異世界人の大半は甘い物に飢えていると思っていたが、予想以上だった。


空間術も予測と違ってレア魔法のようだし、もっと何か食べさせて、話を聞くことにした。

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