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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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86 聖水とモロヘイヤスープ

マコト&ソフィーはダンジョン内を探索中。アークアメンダンジョンの12階まで歩いて、そこからプレハブ小屋利用の転移を使うことにした。


12階に上がって4つ角を曲がったところに聖水が沸く噴水があると、ダンジョンガイドに書いてあった。


「あの角を曲がると聖水があるよ」

「けれど必ず、魔物が4体も立ち塞がっているのだな」


12階も11階と同じく魔物は2体セットが基本。だけどここはアンデッドに効く聖水が噴水に沸いている。


だからここだけは、スケルトンマジシャン2体、グール2体。いずれもレベル62が4体で邪魔をする。


噴水の手前10メートルに並ぶ敵を倒さねばならない。ダンジョン最初の難所だ。


ダンジョンガイドを作った情報提供者の攻略メモでは、魔物を棒で押して聖水に浸からせたとある。


マコト的には却下。


だって聖水は飲み物として手に入れたいのだ。グールで汚したくない。


ソフィーは母親代わりのシスターアンジェラが作った聖水を少しだけ味見したことがある。すごく美味しかったそうだ。


聖水は作り手のレベルで味が変わるというのが常識らしい。


ダンジョンに湧く聖水は、そのフィールドに出現する魔物のレベルに比例して効果も変わるとか。


シスターアンジェラはレベル26。噴水の聖水がレベル62のなにかの作用で出来たと考えマコトは興味津々。


効果よりも味が知りたい。


「オーソドックスに倒すか」

「だね」


2人は各自の収納からポーション入りスライムボールを出して魔物の頭部に投げまくった。


ばしゃばしゃっ、ジュワーと、戦闘音らしくない響きがこだまする。


「ぎゃえええ!」

「カタカタカタ」


「おお、溶けてる~」


「気楽だが…考えてみれば、ある意味で金を湯水のごとく使っている」


このダンジョンに入る人間は少ない。それには金銭的な理由もある。


アンデッドモンスターは強い回復アイテムで楽に倒せる相手であっても、その回復アイテムが高い。


ダンジョン最初の敵、シールドスケルトンに投げたハイポーションは100ccで30万ゴールド。


対してスケルトンが持っていた魔鉄製品の売値は20万ゴールド。


また、マコト&ソフィーは高レベル。投擲のスピードと精度が高いから百発百中だけど、スケルトンは普通の冒険者からしたら速い。


よけられて30万ゴールドのハイポーションが無駄になることも多い。


普通なら、どんどん赤字になる。そういう意味でも安価に色々と複製できるプレハブ小屋はチートなのだ。


魔物を倒した。噴水は直径2メートルと小さいけれど、聖水を収納すると次から次に湧いてくる。


「私も100リットルくらい収納したぞ。マコトは?」

「俺も同じ。これくらいにして有用なら複製しようか」


とりあえずコップに汲んで味見。


「!」「!」


2人は目を合わせて無言でプレハブ小屋に入った。


「マコト、卵はどれを使う」

「思い切って34階のやつにしよう」

「とうとう出すんだな」


あえて名付けるなら『レベル61聖水』。口に含むとビビッとくる味わいだった。


一緒に卵スープを作る。


イタリアンのランク3ダンジョン3階、13階、22階の卵は食べたが、34階は初。こういう時のために取っておいた。


残るは41階、46階モノ。


聖水で満たした鍋に火をかけて、モロヘイヤ、中華香味ペースト少々を投入。


とてつもなく硬い34階のニワトリ卵をミスリルソードで10回叩いて穴を空けた。


ボウルに卵黄と卵白を移して混ぜ、聖水鍋の火を止めてさ~と回しがけした。


簡単レシピのモロヘイヤスープの出来上がり。


皿につぐと、スープの中で泳ぐ卵がキラキラとして、ソフィーの猫目も大きくなった。


米や他の食材の調理は後回し。2人ともまず、スープを飲みたくて仕方ない。


同時に大きなスプーンに卵をすくって口に入れた。



マコトは一瞬、意識が飛びそうになった。


「………ふう」


ソフィーも目が限界まで開いている。


「うますぎ!」


聖水に浸したモロヘイヤも、アレクサンガリアの食堂で食べた時より格段に美味しくなっていた。


「味は単なる卵スープの野菜入りだよね」

「そうだな。けれと、明らかに旨さが深いぞ」


「もっと上層でも聖水が見つかるといいね~」

「あはは。食材としてだな」


腹も減っていたから、聖水、胡麻、醤油、街で買った刻み茶葉を使ってタイ茶漬けを食べた。


「あ~。昼ご飯でこんなもの食べるなんて贅沢だな~」

「うま~~」


ダンジョン内に出ようとすると、2時間近く過ぎたから魔物がリポップしていた。


「聖水を攻撃にも試してみるか」


マコトよ、攻撃にも、ではない。ここの聖水はアンデッド撃退用に湧いているのだぞ。


空間収納口をグールの足元にセットして聖水1リットルを出した。


じゅばっ、と音を立ててハイポーションの比ではないくらいにグールの足を溶かした。


4体の魔物を半分溶かして外に出て、ソフィーがトドメを刺した。


これで共にレベル61。魔石エネルギーも140増えたが、マコトは聖水は大量に複製できる。ケチらず使うことにした。


追加で500リットルの聖水も収納した。


1度休んで、プレハブ小屋で聖水入りスライムボールを作った。


有効手段は多い方がいい。


ソフィーは聖水で果実水を作った。食事の前に飲むレモン水もできた。マコトの休憩タイムに出してくれた。


「うまい! すごくスッキリ」

「ははは。まさか死霊ダンジョンで食材関連の楽しみが増えると思わなかったぞ」



ちなみに聖水が美味しいことは異世界では当たり前に知られている。


ただマコトのように低コストで作れる人間はいない。


薬草を清水に浸して回復魔法をかけ続けるか、回復ポーションに聖属性の魔力を流して作る。


回復ポーションは100ccで5000ゴールド。だから聖水となると低品質でも100ccで10000~15000ゴールドと高い。


なのでスープなどに使える代物ではない。



マコトは聖水自体は複製できるか試した。冷蔵庫に入れて複製準備をし、必要な物を確認すると驚き。


ノーマルポーション、塩、木の枝で複製できた。


ソフィーとふたり、あまりの簡単さに目が点になった。

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