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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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77 誕生日と天空レストラン

地球なら地中海に浮かぶシチリア島の位置にあるシチリトナ島。そこに到着した2日後の午後、マコト&ソフィーは島の西側の高い岩山の上に立っていた。


「間に合った…」

「なにがだ、マコト?」


◇◇

1日目に、一気に砂浜から標高2000メートル地点に達した。道のようなものはあったが、オール急斜面。


岩場も迂回路を使わず一直線に移動した。


ソフィーが新しく習得したミスリルホイルをたわめて硬化させるバネ板式ジャンプ。マコトと手を繋いで上に跳び上がる垂直移動方で、岩場を攻略した。


位置がずれて空中に放り出されても、マコトのプレハブ避難から再び岩場に取り付いた。


ソフィーの魔力的な負担が予想以上だったが、ソフィーは歩きの時が休憩時間。

急な傾斜をマコトが子猫化したソフィーを前がけリュックに入れて登った。


とにかく強行軍。


「にゃにゃ、にゃ?」

(島の沿岸部の街にも寄らず、なんで急ぐのにゃ?)


「秘密~」


「なご、にゃにや」

(マコトの好きなようにするにゃ。私は付いていくだけにゃ)


「ありがとうソフィー」


2日目は早朝から標高2000メートル地点を島の北から西に移動。これまでの旅と違い、景観すら楽しんでいない。それがソフィーには謎だ。


昼過ぎには切り立った崖の端に到着した。この位置は傾斜はあるが下を見ると垂直と錯覚するような角度だ。


「ふう~、さすがに疲れた」

「ソフィー、プレハブ小屋で休んでて」


ソフィーは、たちまちベッドで眠りに落ちた。


◆◆

ソフィーが起きると、何かが普段と違った。


プレハブ小屋の見える範囲に自分が寝ていたベッドしかない。


マコトがみんな回収している。ベッドも空間収納に入れると、小屋の中には不可視化できない初期設備の、台所、冷蔵庫、トイレ、風呂しかない。



マコトが笑顔で言った。


「ハッピーバースデー、ソフィー」


「…あ、そうか。今日だったな」


マコトはソフィーを育ててくれた孤児院のシスターに誕生日を聞いていた。


だから、予定より早くシチリトナ島に到着できたし、強行軍で山に登り演出を考えていた。


現在は日暮れ時だ。


「本日は天空レストランにようこそ」

「天空?」


指を鳴らして、マコトがプレハブ小屋の全部の壁を透明化した。


「うわあ…すごい」



なんと空中に浮いていた。


ソフィーの前には水平線と夕日。海上は遙かに下だ。


左側を見ると雲が自分よりも下を流れている。


「なんて幻想的なんだ…」


ソフィーが眠っている間に、プレハブ転移を利用して断崖から約1500メートル海側、要するに太陽が沈む西に移動。


マコトは地上2000メートルの空中で小屋から出るのは一瞬でも怖かったが、ソフィーが喜ぶ顔が見たくて頑張った。


10部屋になったプレハブ小屋のうち、ソフィーが眠っている部屋以外の9部屋を1本棒に繋いだ。通路の長さは34・2メートル。


実際の疑似転移の移動距離は1回が30メートル。小屋の端まで動いて外に出て、落下が始まる前の刹那の時間でプレハブ避難。


マコトは気付いていないがレベルアップにより反射速度が上がり、ほぼ落下なしに空中遊泳ができるようになった。


50回数えて推定で1500メートル。天空レストランの土台ができた。


目的地点に到着したら、全部の部屋の物資を全部収納。消せないインフラ設備が東側になるように調整して、ソフィーには地中海の夕暮れだけが見えるようにした。


「…マコト、最高の誕生日だ。本当にありがとう」



2人が立っている3・8メートル四方の一部屋だけ床を可視化してテーブルと椅子を出した。


さすがに真下が透明だと怖い。2000メートルの空中から下を向いたとき、マコトもソフィーも股間が、ひゅっとした。


異空間内だから落ちないと頭で理解していても、落ち着いてご飯を食べられない。


それでもテーブルを部屋の端にセットすると、すごい景観だ。


マコトはソフィーと出会って最初の誕生祝いだし、世界一の大富豪だってできない祝い方をやってみた。


少しずつ夕日が沈んでいく。

青一色から赤色と紫色が複雑に混じっていく空の色を笑顔で見ている。


その表情を見るだけで、マコトは急いで登ってきて良かったと思う。



「さ、ディナータイムだよ」


ご飯は少しずつ色んなものを並べた。ソフィーと巡り会えてから、一緒に食べた物の改良版だ。


出会いの日、最初の昼ご飯がカツカレーだった。トンカツとカレーソースを出した。


次は肉じゃが風煮込み、次々と記憶にある物を順番に並べた。


「ああ~、美味い。ウナギの蒲焼きにも感動したよな。ふふふ」


もちろん乾杯は日本のビール『イチバンの搾り』


カツオのタタキ、イカの天ぷら、順番に出てくる。ソフィーは、そんなに前のことではないのに、色んなことを思い出して胸がじんわりしてきた。


命懸けで奴隷狩りから守ってくれた。

あくどい元仲間も退けてくれた。


その上に、世界一の誕生祝いをしてくれた。


「私って幸せすぎだな…」


2人で目を合わせて笑った。



まだ夕日は水平線から半分ほど顔を覗かせている。


頃合いを見て、マコトがデザートを出した。


「うわぁ、キレイだな」


今日の新作はこちら。


暑い暗黒大陸に渡るし、アイスデザートを作った。


柑橘類と白ワイン、砂糖を混ぜて冷凍したあと、魔鉄ナイフで削った。


あらかじめローマンで買っておいた陶器の青くて浅い茶器の上で、透明なワインの氷と柑橘のオレンジが鮮やかに光っている。


ソフィーがスプーンですくって口に入れた。


「ああ~、なんて贅沢なんだ。冷たくて口当たりがいいな~」


牛乳と卵を混ぜてシャカシャカしたものも冷やしたソフトクリーム状のやつも、追加で出した。


ソフィーはどちらも喜んだ。



お風呂に入ったあとは、ソフィーのリクエストで壁全部を透明化し、床に並んで寝転がった。



今夜は新月で晴れている。


「すごい星空だ…」

「本当だ。星の海の中にいるみたいだね」


「…マコト」



ソフィーが上からキスしてきて、満天の星空の中で抱き合った。

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