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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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74 マグロ解体ショーとモチ麦の酢飯

2メートルのマグロに引っ張られ、ローマン出発から5日目に1日で150キロほど南東に進んだマコト&ソフィー。


現在は右側に地球ならシチリア島にあたる島が見える海岸を歩いている。漁村が先の方に見える。


「もうカラブリヤ伯爵の領土が近いみたいだね」

「ああ、私達がマルゲーリのことで、タウンハウスに押しかけてしまった女伯爵のとこか」


海岸線を歩きながら話をしていると、前方に成人女性と子供の一団。その先頭にいる女性に知り合いの顔が見えた。


ローマンの港近くで一緒に釣りをして、トロサバを釣ってくれたペルネ騎士爵家の三女のマリゲーリ。ソフィーのお気に入りだ。


「マルゲーリ!」


「あ、ソフィーさん。こんなところで奇遇ですね」

「そっちこそ、何をしてるんだ」


マルゲーリはトロサバをマコトにあげて、それが引き金になって男爵まで駆け上がることが決まった。


「私は、ここから南のカッツ地方の領主になるんです。今は実家があるこの村で、領主の仕事を父から学んでいるんです」


「そうか、順調そうだな」


一緒にいる子供達はローマンの街で食うに困っていた子供達10人。

教育を施して新領の領民にするそうだ。


「何から何までお世話になりました。新領にはソフィーさんの家も造ります。絶対に帰ってきて下さいね」


「……ああ、ありがと」


嬉しいことを言われ、ソフィーはマルゲーリにご馳走したくなった。


「マコト、ここでマグロを…」

「うん、3匹まで複製してるし、ここで1匹解体しようか」


あ、うんの呼吸で通じていたようだ。


村の船着場に行き、子供達が大人も呼んできた。30人の前でマグロの解体ショーが始まった。


マコトが空間収納から村の解体用テーブルに、内臓とエラを落とした2・1メートルのマグロを出した。


複製の要である冷蔵庫も収容力が上がり、マグロを丸々入れられた。


「おおっでかい!」「どうやって捕まえた」


漁村とはいえ、2メートルのマグロを捕まえる技術はない。みんなが驚いた。


「解体できそう? ソフィー」

「見た目がカツオと似てるし、刃物もマコトのお陰で手に入ったやつがあるだろ」


ランク2ダンジョン、最速クリア特典のミスリルソードを出した。ソフィーの右側にマグロの頭がある。


まずは、正眼の構えからマグロの大きな頭にソードを振り下ろした。目にも留まらぬ速さで、テーブルギリギリで刃先が止まった。


みんなが息をのんで見ていると、ずるりとマグロの頭がずれて落ちた。


「おおおお」と村人のテンションマックス。


マコトはソフィーが切った部位から身を落とす係だ。


「ソフィーさん、すごいです」


次は三枚おろし。ソフィーはミスリルソードを居合のように腰だめに構えた。


「はあっ!」


剣技と包丁技術のコラボ。一刀で片身をキレイに外してしまった。


続いて反対側。血合い骨も取って豪快におろした。


半身、骨周り、血合い骨、頭は村人に渡した。魚が多く捕れた日は松の枝でいぶして薫製を作っている。骨周りも切って、スモークしていく。


半身の一部は実食。マコトがブロックにした身をソフィーが刺し身、マルゲーリが焼き物用に形を揃えていく。


村の女性が平鍋の上でマグロステーキを焼いた。


マコトが出した黒い粉をマグロに振りまくっている。彼女らは当日の相場が1キロ41万ゴールドの黒胡椒だと、あとから知ることになる。


とりあえず30人分の料理が完成。残った身は一旦マコトが収納。


「味付けに、こちらを用意しました」

「さあ食おう!」


醤油、マヨネーズ、コショウ、塩入りオリーブオイル、ハーブなどを味付けに並べた。


刺し身はカマトロ、中トロ、大トロ、赤身。赤身は腹側、背中から取った。


マコトはまず用意していた酢飯で、中トロの寿司を握った。


「ソフィーどうぞ」


ソフィーが長めに切った中トロは端が赤く、繊細なグラデーションを描きながら反対の端は上質の脂で白っぽい。


「表面が光ってる。これは、食べ物なのに美しいな…」

「本当だ。日本でも見たことがないよ、こんなの」


醤油を付けて同時にぱくり。


「~~はあ~~~!」

「~~~~~んんっ!」


ふたりとも、口の中で旨味が弾けすぎて言葉にならない。


大トロ寿司は平鍋で片面に焼き目を付けて柑橘と塩。


「脂がすごいのに甘い~」


赤身の寿司には醤油とワインみりんを混ぜて作った、甘タレを塗ってソフィーに勧めた。


「うはっ」

「美味しいが止まらないよ…」


「ダメだ~。こんなの食べ続けたら、舌が贅沢になってしまう~~」


ソフィーよ、マコトの料理を食べ続けて3ヶ月。お前の舌は、すでに貴族並のグルメ舌だ。


笑顔のソフィーを見ながらマコトは村人のために寿司を握った。


マルゲーリにも寿司を食べさせた。

「すごい。美味しいマグロが、さらに絶品です…」


ソフィーが刺し身、マコトが寿司を作った。マルゲーリも調理側。あぶりマグロは特に子供に人気だった。


カレーやハンバーグなんてない世界。子供の舌も大人なのだ。



今日は午後から、ペルネ騎士爵も村に戻り、村を豊かにするための話し合いをするそうだ。


父の騎士爵よりも上位貴族・男爵になるマルゲーリが議長を務める。今後の訓練だ。


1メートルのマグロは捕れる。カツオのタタキと合わせて売り出したい。


マグロ寿司は抜群だったけど、酢飯にできる米は手に入らない。


酢飯の材料に砂糖を使用。ついでに言えばマグロステーキには黒胡椒が惜しげもなく振り掛けてあった。


それを知って村民は目を丸くした。


「私達は、王都のレストランの料理より高い物を食べたのでは…」

つぶやくマルゲーリ。


同じクオリティーは無理だけど、ソフィーが現地調達できる食材でアレンジを考えた。


冬場に作るもち麦、甘口ワインのビネガー、ほんのり甘味があるオレンジ果汁を合わせて、プチプチ食感の酢飯を作ってみた。


マグロは赤身の周りに焼き目を付けて、村で作っている魚醤で味付け。皿にもち麦酢飯を盛って周りにマグロを並べた。


ちらし寿司のような感じた。


「おおっ、これなら俺達でも作れるぞ」

「味はどうだ」


「……これは美味いな」


マコトも美味いと思った。旨味が強い異世界魚で作った魚醤のおかげで味が締まった。刺し身の調味料としても使えた。


「ソフィーさん、マコトさん、このレシピ、街で売れば大金になりますよ。本当に私達で独占していいんですか?」


「ああ。いつか分からないが、またここにマコトと来る。その時までに、もっと美味いもんを作っててくれ」

「だね」


漁村には2泊する。マグロの薫製を各部位で作ってもらう。


その間にパラグライダーを曲がれるように改良をすることにした。

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