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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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73 風力移動とクロマグロ

スライムシリコンゴムの錬成に成功し、船の風力移動ができた。


だからマコトの頭の中に、イタリアンから暗黒大陸のエジンプトに渡る方法の輪郭が出来上がった。


まず、山を利用して空路で距離を稼ぐ。地球ならシシリア島に当たる島に渡る。


異世界人に聞くと、島は標高3000メートルを越える山があり断崖だらけ。


マコトは標高2000メートル越えの断崖から滑空して、海に着水した場所から船に切り替えて進もうと思っている。


なので最初にパラグライダーの帆を作る。さらに買った釣り用の小船をスライムシリコンゴムで覆い、外壁にミスリルホイルを貼って強化する。


ここ3日間の昼間は、マコトとソフィーは別行動。


といっても、マコトが海岸でプレハブ小屋の中で生産活動と、難航しているトマトソースの研究。


ソフィーは同じ海岸の海辺でミスリルホイルの訓練。遊んでいる子供に自作お菓子を振る舞ったりしている。


プレハブ小屋の外部モニターオン。音も中から拾える設定にしているし、何かあっても駆けつけられる。


ソフィーは長いミスリルホイル2本をたわめ、板バネのように使ってジャンプ特訓がメイン。


これからシチリア島で岩場を登るだろうし、暗黒大陸では道がない場所に行く可能性もある。


上方向への移動スキルを持たないマコトのフォローを考えている。



マコトは6回の倍々複製でキャリーバッグのシリコン製車輪カバーを4個から256個に増やした。


車輪カバー1個に対してスライム80グラムの配合が、パラグライダーの帆に適した弾力を持っている。


パラグライダーの帆の型取りにはプレハブ小屋を使った。


部屋を3個縦につなぎ、密閉して床でスライムと車輪カバーを混ぜた。小屋1部屋が3・8メートルの正方形。


2時間ほどかけて縦3・8メートル、幅11・4メートルの弾力シートと、スライムシリコンコムが出来上がった。


弾力シートとシリコンを接着し、周囲にミスリルホイルを張って輪郭を作った。そこから細工をして日本で見た、おぼろげな記憶にあるパラグライダーのような形にした。


あとはミスリルホイル2本を合わせて縦に結ってロープ製作。さらにスライム糊でぺたり。


魔力伝達力の高さを生かせば何とか操作出来るだろうという感じで、不細工ながら試作品を作った。


パラグライダーに10本のミスリルロープを付けて外に出た。


「ソフィー、試作品ができたから微調整を手伝って」

「よし。その束ねたロープを持てばいいんだな」


風が吹いてきた。風を受けた帆がきれいに広がった時、左右のバランスが取れた位置で紐の長さを調整。


そこに4本の縦接合で120メートルのミスリルロープを付けて船にくくりつけた。海上で試すことにした。


ソフィーは推定価格が億単位のミスリルホイルの、マコトの使い方に笑うしかない。

マコトはホイルは山のようにあるからと、ぽんぽんと出していく。


小船のシリコンコーティングは簡単だった。


外に出て、船の上で直接スライムシリコンを錬成した。それを伸ばして船上が終了。

船をひっくり返し、船底にはシリコンコーティングプラス、ミスリルホイルを張って強化も施した。


海上に出た。ソフィーとマコトが一緒に魔力を込めて、パラグライダーを上空に送った。


すると簡単に帆が風をつかみ、魔力を抜いても上空に浮いている。


引っ張られた船が加速し始めた。


「お、おお! 船が揺れないし速いぞ」


「そうだね。シリコンとミスリルホイルで水を弾いて、うまく船底が滑ってくれてるよね」


「楽しい~~!」


方向転換、帆の回収方法とか大事なことを忘れているふたりだけど、恐らく時速30キロくらい出ている。


運良く行きたい南に進んでいる。少し走ると船と並走して魚が飛んでいる。群れなのか、次から次にジャンプした。そして、船に1匹が飛び込んできた。


トビウオだ。


「あ、トビウオ。いいダシが出るんだよ。ラッキー」

「なに、ダシだって! もっと捕まえよう」


最近、削った干しカツオのスープが美味しくて、ダシの重要性を知ったソフィー。


ミスリルホイルを出して、何匹かトビウオを捕らえようとした時だ。


水中から2メートルの魚影が現れ、ソフィーが狙っていたトビウオをバクリ。


マコトは驚くと同時に、テンションマックス。


「マグロだ!」


特徴に多少の違いはあれど、地球でも世界中の海にいたクロマグロ種だ。


海面から深海まで、エサを追って最大時速80キロで航行する海の黒い砲弾である。この個体はイワシを追って海面近くに浮上したとき、トビウオを見つけた。


ソフィーは猫目の瞳が縦になった。釣り用の針付きミスリルホイルを海面に滑らせた。


釣り針も糸もミスリル粉入りスライム糊で超絶補強がしてある。


マコトによると、こっちの世界の魚は異世界日本より旨いらしい。日本からマコトが持ち込んだ、美味しいマグロの刺し身以上の物が目の前で泳いでいる。


「中トローー!」


マグロが次のトビウオに食いつこうとした。その距離は船から5メートル。同じタイミングで、ソフィーは釣り針をクロマグロの口に向かって滑らせた。


見事、釣り針をマグロの口に引っかけた。


「よしヒットだ。すごいソフィー!」


マコトは、このまま船とマグロをプレハブ小屋に転移させようと思った。


しかし!


「不可能?……あ」


船から120メートル先にパラグライダーが繋がっている。


マコトの現在のプレハブ小屋はレベル10で10部屋。縦横3・8メートル、高さ2・5メートルの部屋を異空間でどう繋ぎ代えても、船、クロマグロ、パラグライダーを同時に収納範囲に入れられない。



結局、クロマグロが疲れるまで引っ張られながら、2人で4時間のバトル。 


マグロが潜ろうとするときは、ホイルに魔力を込めながら引っ張った。


最後は船の横にマグロを引き寄せて、ソフィーがミスリルソードでエラをブスリ。ついでに尻尾にも入り込みを入れて流水血抜きをした。


やっと空間収納で回収。2・1メートル、体重140キロの立派なクロマグロをゲットした。


進路はジグザグ進行でも、クロマグロに引っ張られて南に150キロくらい進んだ。そこも結果オーライだ。


「ソフィー、マグロは複製してから解体するから、今日は休んでて」


「あ、ああ。そうさせてもらう」


魔力、体力が尽きかけたソフィーを座らせて、ステータスに恵まれているマコトがパラグライダーを引っ張って回収した。


風の抵抗を受けたパラグライダーを回収するのに、15分もかかった。疲れた身体にはこたえた。  


異世界に来てベスト3に入る疲労困憊の1日だったけど、気分は上々。


海上でプレハブ小屋に入りソフィーとビールで乾杯。明日に備えて、ぐっすり眠った。

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