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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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56 盗賊公爵と敵国斥候

マコトと猫化ソフィーはイタリアン王国の国境に到着。


地球と違ってナーロッパ共通語があり、ソフィーもイタリアン人と会話するのに困らない。マコトは言語理解の指輪がある。


なので普通に国境検問所を通ろうと思っていたら、封鎖されていた。


2人の捜索などとは関係なく、イタリアンとラフランスの間で小競り合いが起こっていた。


マコトが前に聞いていた通り、イタリアン王国は2つに割れている。


列強他国と折り合って行こうという柔軟路線の女帝アテリーナ派。

軍部主導で他国を屈服させたい将軍ミロ公爵派に分かれている。


今回は公爵本人が乗り出して、ラフランスの南側の交易路を占拠しようとしている。


かなり無謀なのだが、公爵の個人的事情だ。


地球のローマ帝国から続くイタリアのように、前時代から強国の歴史があるイタリアン王国。


ぶっちゃけ、今となっては歴史しかないイタリアン。


現在の女帝アテリーナは、元々は王位を継ぐ予定はなく鯨貿易に強いオーランダの公爵家に嫁ぐ予定だった人物。


継承権上位者がこぞって没して王位を継いだが、他国人になる予定だったから、他国と自国とのパワーバランスを客観的視点で勉強していた。


イタリアン王国は、海外進出政策をはじめとした国力アップで完全にエンゲレス、ポルペイン、ラフランスに遅れを取っている。比例して軍隊も弱い。


だから女帝は他国に強く出ない。


なのに過去の栄光にすがる由緒ある貴族に押されたミロ公爵が強硬派の筆頭として、他国にちょっかいをかけている。


先月は先走った軍属貴族が女帝暗殺を目論み失敗。ミロ公爵も関与している供述した。


すでにミロ公爵は他国との衝突で連戦連敗していた。尻に火が付いた公爵は、兵を動かして他国の一部を切り取って力を蓄えるつもり。


要するに、行き当たりばったりだ。


マコト&ソフィーは、この話を国境検問所から少し引き返した村で聞いた。本来なら無関係といきたいが、イタリアン王国の軍部といえばソフィーを狙っている。


ついでに何となく理解したのは女帝はソフィーに迷惑をかけた一派とは無関係そう。


マコトは、その日の夜にプレハブ小屋を使って国境を越え、イタリアン王国の軍隊に嫌がらせをする。


ソフィーが眠ってから動き出した。


◆◆◆

マコトの線引きは簡単になった。


この異世界の善悪基準は地球と違う。本来は複雑なのだが、ソフィーと出会ってから彼女を守ることが自分の主題。


荒い性質の人間が多い異世界。獣人の血が混じったソフィー、黒目黒髪の自分が迫害対象になるのも、納得できないが有り得ることと思う。


だけど、捕縛対象としてソフィーを狙ってくるなら話は別。


だからミロ公爵の物を奪う。彼は今、展開した軍勢の最奥で安全に夜営している。


マコトは木々などの遮蔽物を使って、プレハブ小屋転移。静かに豪華なテントの前に辿り着いた。


プレハブ進化で音も拾い放題だから、相手を間違うこともない。


マコト、というか侵入者に気付いた人間もいた。


それは公爵の部下ではない。斥候として送り込まれたハンスというラフランス軍の下級兵士。闇に迷って色んなところを歩いているうちに、敵本陣の近くまで来てしまった。


帰り道の方向は分かるが、周りには敵兵だらけ。イタリアンの人間に見つかれば殺される。


敵本陣から30メートルの草むらの中で伏せて、進退窮まっていた。


マコトは、ハンスなどに気付かずにプレハブ小屋に入った。ミロ公爵のテントの近くにあった軍勢の食料を運ぶ馬車の中身を収納しまくった。


良心は痛まない。


自分からソフィーを奪おうとする者、すなわちミロ公爵を盗賊認定した。


持ち物を根こそぎ奪って、必要な人に渡すだけ。


普段の盗賊への対応をする。


空間収納、5メートル収納機能付きの劣化腕輪24個に手当たり次第に物を奪って入れた。

劣化腕輪は、ソフィーが眠るときにオリジナルを借りて24個も作った。


次は、すでに寝ている公爵のテント。外はガチガチに警備兵で固めているけど、中には誰も入れていない。衣類と靴を最初に収納。


中からテントの構造を確認すると、中央に4メートルの柱を立てるタイプ。柱を収納。とたんにテントが崩れた。


テントが形を失う寸前、マコトは公爵の前に帽子を被って姿を現した。


眠っている公爵の腕を木の枝でたたいてから、大声を出した。

ばっちいーーん。「起きろ、コノヤローーー!」


「ひいい!」


脅かしたあと、マコトはプレハブ退避。火が付いた布ぎれを外で警備をしている兵士の足元に出しまくった。座標を瞬時に変えて、次から次へと火種をまきちらした。


慌てた公爵の助けを求める声は、火を見て焦った兵士達が騒ぐ声にかき消された。


ミロ公爵は当然ながら、マコトを刺客と思った。テントを抜け出し、助けを待たず走り出した。


ちょうどそこに、草むらに隠れていた敵であるラフランス軍の斥候ハンスがいた。


「おい貴様! 私の護衛をせよ」

「はい。こちらが安全です。付いてきて下さい」


「うむ」


返事をしながらもハンスは剣を抜いていた。木の陰に公爵を誘導した瞬間に口を塞いで腹にブスリ。


「ぐえ…き…きさま」

「誰か知らねえが、貴族のオッサン討ち取ったぜ」


混乱の中、ハンスは公爵の装飾品を奪って、手薄になった退路を走り自軍に帰還した。


マコトは、その時にはすでに状況を見ていなかった。


公爵の惨事も知らない。


ソフィーが何やら動きまくるマコトに気付いて起きてきた。


もちろんプレハブ小屋の中。透明モニターも消して、ソフィーには何も見えないようにしていた。


「どうしたマコト、何かあったか?」


「別に何もないよ。喉が渇いたから、お茶でも飲もうと思ってね」


「そうか。私はまた眠る」

「うん、お休み」


地上では大騒ぎになっているけど、異空間のここには何も聞こえてこない。


ちゅっ、とした。


この日が、イタリアン王国の軍閥派衰退の始まりとなる。犯人のマコトは自分が何をしたか知らず、ソフィーと眠りについた。


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