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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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55 ウナギの蒲焼きと七味分解

イタリアン王国に入る前にソフィーの元仲間にギャフンと言わせた。


彼らから引き出した情報によると、変身後は子猫になるソフィーに、イタリアンの軍部が興味を示しているとか。


マコトは警戒して国境地帯のラフランス最後の街ニスをスルーしようと思った。ここにもソフィーを狙う獣人狩りがいても不思議ではない。


けれど寄ることになった。大きな漁港があるから、ソフィーは魚を仕入れたいそうだ。


かなり強く主張した。そこは猫獣人の本能なのか。


子猫ソフィー変身され、肉球でぺしぺしされながら訴えられた。マコトは断れない。


念のために猫ソフィーのまま、チャックを空けた前がけリュックの中にイン。


「おおっ、思ったより大きな漁港だ」


「にゃにゃ」

(次のイタリアンにある大きな漁港にも揚がらない魚がいるから、買ってくにゃん)


ちなみにマコトは日本語を喋っているつもりだが、言語理解の指輪の作用で他人には「にゃんにゃん」と聞こえる。


光沢がある黒い上下に清潔な肌と髪の毛、上質の持ち物。プラスして猫言葉。前より目立つ。


ソフィー猫を売ってくれという人までいた。マコトの見立て通り、美猫だそうだ。



前の日の夜から街に入っていて、商業ギルドで一角牛1匹を売り200万ゴールドを用意。


漁港に着くなり市場に行って目に付く魚を2匹ずつ買った。


あらかた終わったあと、ひとりの漁師に声をかけられた。


「兄さん、この箱の魚20匹、全部で4000ゴールドでいいから買わないか。味は悪くないが不人気なんだよ」


マコトは食い付いた。


なんとカツオが入っている。それも2匹で大きさも55センチ4キロと理想的。


「おじさん、この魚はなんて名前?」

「マグロモドキだな」


名前からして、現在のラフランス地方でカツオは価値がないらしい。


日本でもマグロの価値が上がったのは近年になってからだというし、場所と時代で魚の価値は変わりやすい。


「ソフィー、あっちで買った魚食べてる人がいるだろ。俺達もカツオを料理して食べよう」


「にゃ?にゃにゃん!」

(美味い魚がたくさんあるのに、わざわざモドキを料理するにゃ?…ということは!)


ウナギの時にソフィーは経験している。マコトは異世界日本の知識と調味料を使って、特定の魚をご馳走にできる。


「にゃ~~!」

(その前に、あっちの物陰に行くにゃ!)


ソフィーはマグロモドキを味わうため、人間体に戻った。


エコバックからマイキッチンを出したマコトは、ソフィーに頼んでカツオを三枚おろしにしてもらった。


その間に麦の藁と火の用意。


「マコト、皮付きの身が取れたぞ」

「よし。始めるよ」


マコトはカツオを仕入れたばかりの暗器用鉄串に刺して、表面を麦藁の火であぶった。


タタキを作る。


「ほほ~、香ばしい匂いだ。イワシ並に安いマグロモドキが高い魚みたいだ」


「日本では高級魚だったよ」

「へえ。次はどうする」


「厚めの刺し身にする感じで切って」

「マコトは何してる?」


「タレ作り」


まず、自分でブレンドした酢を出した。元は安いエールだ。


こちらのエールは日本のビールのように洗練されていない。


いわば熟成途中の口当たりがいい時期に飲む感じ。だから置いておくと、酢酸菌が紛れて発酵し酢になることがある。


マコトは酢として買ったけど、まずまず渋い。だから缶ビールを混ぜてまろやかさを出した。レモンに似た柑橘類の果汁、醤油、ひとつまみの砂糖を垂らしてみた。


ぺろっと舐めて「うん、『イチバンの搾り』の底力はすごいな。これはいい」

ポン酢の出来上がりである。


大きな木皿に重ならないよう、あぶってから切ったカツオを花弁のように放射状に並べた。


上からポン酢を回しかけ。


さらに転移直後のメイン野菜だった日本の細ネギを大量に刻んで中央に高く盛った。


ニンニクスライスを等間隔に乗せて85点のカツオタタキが出来上がった。


最初から15点マイナスなのは、刻みショウガがないから。


探しているが、胡椒並みに希少品らしい。何故なのかは後からリサーチする。


「マコト、今日の料理は鮮やかでキレイだな。食べるのが勿体なくも感じる」 


『和』の魚料理の技法に、かつてのマコトも舌だけ出なく目で楽しませてもらった。


それをソフィーが感じてくれたことが嬉しい。


ビールをついで乾杯。


「さ、同時にいこうか」


マコトはカツオをポン酢に浸したあと、ネギ、スライスニンニクを乗せて一口。


「~~~!」。前にも思ったが、こっちの世界は肉が大したことない代わりに、魚の旨みが濃い。


ソフィーもタタキを頬ばっている。


「うっまーー!」


猫目全開。周りに人がたくさんいるのに、瞳が縦になる寸前だ。


ビールをあおって、人目も気にせず笑っている。



魚を売ってくれた漁師が近付いてきた。


「姉さん、その魚はマグロモドキだろ。ホントに美味いのか」


「美味いぞ。食うか?」


親切ソフィーが小皿を出して、ふたきれ盛り付けた。


周囲が注目する中、漁師がカツオタタキを口に入れた。


「皮を焼いて酸っぱいソースかけると、身の生の部分…旨みがすげえよ」


ソフィーに目配せされOKサインを出すと、試食会が始まった。


ひとりの女性に、家族に作ってあげたいけど調味料が手に入らないと言われた。周りをあぶって塩とニンニクで食べても美味しいと教えた。


結局ふたりは、カツオのタタキを一切れずつしか食べていない。


「マコトすまん。私達の分までなくなってしまった」


「いいよ。アレには大事な材料が1つ欠けてた。手に入ったら、完成形を作るよ」


「なに、アレがさらに美味しくなるのか?」


ショウガが手に入ったら、再びトライする。



ソフィーの目撃情報で何が起こるか分からない。


マコトは猫ソフィーにして、リュックに入れて漁港を離脱した。


人間体にならねばいいという意見もあるが、ソフィー曰く「にゃにゃにゃにゃ、にゃにゃー」


子猫のままだと味覚がお子ちゃま。マコト作の食べ物を堪能するには、リスクを犯してでも人ソフィーに戻る必要があるとか。



知らんがな。

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