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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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46 スライムとビニール袋

マコトはソフィーと出かけた。


デートのつもりではない。ボルビックから北に10キロ。シルリー湿地帯に来た。


目当てはスライムと魔石だ。


ビニール製品を人に見せるたびスライム錬金に成功したのか、と聞かれるマコト。


そろそろ実物が見たい。


それに魔石エネルギーも28dまで減った。生きた人間なんて襲わないらしいがスライムも魔物。魔石を持っている。



10キロを歩く道すがら、マコトは身の上話をした。


異世界人であること。いきなり飛ばされて孤独であること。異世界の物資を持ち込んだこと。錬金術と思われているのは、スキルを利用した複製であること。


そして日本に帰れても、両親はすでに他界していることも教えた。



ソフィーは少し驚いたけど、地球人は30年にひとりくらい異世界に迷い込むらしい。


それよりマコトの気持ちを考えた。


「ひとりで違う世界に来たマコト、人間界にも獣人界にも本当の居場所を持たない私か…」


「最初、ソフィーに惹かれた理由は共感かもしれない。だけど今ではソフィー自身が好きだよ」


「私も、ただの人間でもマコトが好きになってたと思うぞ」


林の中、マコトはソフィーを抱き寄せキスをした。


やっぱりデートだろ、そうだよなマコト。


目的の場所に到着すると、湿った草地にスライムが山ほどいた。自然に大量発生するけど、テリトリーは限定。無害で人間には無用だから駆除する人間もいない。


直径15センチの青い透明丸餅。ほぼ予想通りだ。


「どうやったら倒せるのかな」


「木の枝で魔石を突けばいい。それっ」


少しでろんとなって討伐終了。マコトは魔石ごとスライムを収納した。魔石エネルギーは1d。ゴブリンと同じだ。


「どうだ、魔石にエネルギーは入っていたか?」


「ああ1d入ってる。物質2キロ分だから、石鹸なら15個複製できるよ」

「え、え~と…」


「缶ビールなら5本分だね」

「ビール5本!」


最近は夜になると一緒にビールを飲むのが日課。ソフィーの大のお気に入りだ。


ソフィーが、5本~、10本~と歌いながらスライムを突いていく。マコトが回収しながら付いていく。


一桁の計算しか習っていないソフィーなのに、缶ビール換算なら暗算ができた。


スライムを133匹突いたとき、「これで缶ビール655本だな」と瞬時に計算終了。


地頭は意外にいい。


2時間もすると、168dの魔石エネルギーが得られた。


「さ、あそこにテーブル出して休憩にしようか」


人間体なら簡単に酔わないソフィーに、ビールとビーフジャーキーを出した。


マコトはスライムの観察。死んでるらしいが、グミくらいの弾力がある。押すと水分が少しだけにじみ出る。


「ソフィー、これ食えるの?」

「干してかじるやつはいるらしいぞ。珍味扱いだ」


物は試しで、ジッパー付きビニール袋に入れて醤油漬けにしようと思った。


スライムを少し切ってビニール袋に入れたとき、予想外の現象が起きた。


「ええええ!」


スライムを入れたビニール袋が溶け出した。ビニールに穴が空いたけど、中身は落ちない。


溶けるというより融合していっている。


融合が進み、自重で玉になって落ちた。マコトの手許にはビニール袋の切れ端だけが残っている。


落ちた物体はキレイな球体になりテーブルの上で弾んだ。 


不思議生物と日本の化学製品の力を合わせると、ゴムが出来上がってしまった。


水っぽさもない。


ソフィーがつかんでテーブルに落とすと大きく弾んだ。やっぱりゴムだ。


ソフィーは斜めに弾んだボールを追いかけて行った。


「旅をするとき使える物が、作れそうな気がする」


地形も文明の進歩も何となく地球に似た世界。地球で近代になって実用化されたゴム製品はいまだない。


ポルペイン、ラフランスで何度も馬車を見たけど車輪は基本が木製。


貴族風の豪華なやつでも鉄製だった。


馬車に乗った商人に聞いてもゴムタイヤどころか、ゴムの存在さえ知らなかった。


マコトはタイヤを作る気はない。


ソフィー強化で考えていたことがある。光明が見えてきた。


試しにスライムをポリ袋を入れると、少し違った反応をした。


今度は固い板ゴムになった。


帰ってから色々とやることにした。まるで生産職みたいだ。


あと3時間のスライム狩りで244d追加。計412dも増えた。


スライムのほとんどは、空間収納に入れた。


ソフィーもボールを拾って帰ってきて、収納の瞬間を見た。


「へ~、やっぱり収納魔法って便利だな」


「ソフィー専用の収納腕輪も用意してるよ。これはプレゼント。はい使って」

「私用?見た目は前に見たのと同じだな」


ソフィーが腕輪に手を通すと、少し大きかった。 

それがいきなり縮んで手首にフィットした。


「ええっ?」


驚くソフィーの頭の中に、腕輪のデータが流れた。

『ミスリル銀製10メートル収納腕輪◇サイズ調節機能◇不壊◇時間停止』 


「サイズ調節機能があるから、猫ソフィーになっても外れないでしょ。抜け落ちた服も収納できる。人型に戻るときは服も出せるし」


「な、なんだこれ。前に見たやつと違うぞ。10メートルとか時間停止とかって何だよ。時間が止まるやつなんて、レアな魔道具の中でも超レアだ!」


「ほら、俺は元の製品があって、それを複製できるって言ったでしょ。それがオリジナル」


「じゃあ、何個も作ってた、同じデザインの収納腕輪は…」


「ソフィーに渡したやつを元にした劣化版」

「そ、そんなすごいオリジナル版を私なんかに…」


「キンキンに冷えたビール、揚げたて熱々の天ぷら、そのまんま収納できるよ~」



「…冷たいビールを好きなときに飲める?」


ちょっとキャラが崩壊してきたソフィーだけど、マコト的にはアリ。


それに真面目な話、いつ狙われるか分からない彼女を守ることを考えると、備えは必要だ。



旅と同時にソフィー強化計画を企てているマコト。


次はスライムのポテンシャルを試すことにする。

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