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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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45 劣化腕輪と残留付与効果

マコトはミスリルホイルが売れない物だと知った。


11マイクロメートルの薄さで普段はシルクみたいなのに、魔力を流す量と質によって硬さが変化する。


布状のミスリル銀は流通などしておらず、ラフランス王国でも少量を高位貴族が持っているだけ。加工技術が激ムズだった。 


マコトはそこまで聞いても扱いが雑だ。


複製という形で元に戻せる強みがある。ミスリルホイルを再錬成して別の物に作り替える。


ベースはランク2のプラドダンジョンで拾った収納腕輪。


ミスリル銀製だしデザイン自体はシンプル。単なる腕輪に複製できれば売り物になる。


冷蔵庫に収納腕輪を入れて反応を確かめると、ミスリル銀を使って複製自体はオーケー。


金策の目処が立った。



ソフィーに腕輪を見せたら加工技術に感心していた。


「厚みが均等で真円…すごい技術だ。うん、魔力を込めると簡単に中央に収束されるぞ」


「値打ちはある?」

「腕輪よりも、魔法使いが杖の先に付けて使う、『魔力増幅器』として欲しがるぞ、きっと」


重さは120グラム。武器に使える製品の需要は常にある。国家間の紛争も定期的に起こっている時期だ。


商業ギルドでは最低70万ゴールドで引き取って貰える。


「ケビン、マリアには、ミスリル銀は腕輪の形に作り替えて渡すよ」


「え、70万ゴールドの物をくれるんですか?」

「うん、ボルドー銀山で預かったミスリル銀は20キロだから、166個作るね」


「え」「え」「20キロも?」


マコトからしたら簡単な作業。時間的にも孤児院滞在中に終わる。最初の1個を2個にするのに8時間かかるが、倍々複製を8回やれば目標を達成できる。


計64時間だから、3~4日後には渡せると言ったら、ソフィー達は口が空いている。


「最低価格の70万ゴールドで引き取ってもらっても幾らになると思うんだ」

「俺、計算できない」

「すごい金額だよ、きっと」


最低の買い取り価格で計算して1億1620万ゴールドである。


マコトはソフィーに耳打ちした。

「俺、ミスリル銀を布や他の物にして300キロ以上持ってるんだ」

「……は?」


「権利の半分は、見つけてくれたソフィーにあると思ってる」

「………な?」

「加工する方法を探して、ソフィーの装備やドレスを作るよ」

「あ、あの、その」


とんでもない男に好かれたんじゃないかと思うソフィーだ。


◆◆

1個目のミスリル腕輪が出来上がるまで8時間。


改めてマコトはソフィーをプレハブ小屋に招待した。キッチンのコンロ、風呂、トイレ、冷蔵庫の使い方を教えた。


驚きはしたが、そもそも人間が入れる部屋型のスキルなんて聞いたこともない。


次から次にくるショックも相まって、設備のことは淡々と受け止めた。


人間をプレハブ小屋に入れる場合の範囲の確認もした。


手に触れるだけでなく、何かでソフィーと繋がっていても一緒に入れたけど、距離に限界があった。


その距離は空間収納口を出せる範囲と同じ。プレハブ小屋レベル8の今なら、限度は小屋を8個直列に繋いだ時と同じく30・4メートルとなる。


どこで獣人狩りに狙われるか分からないソフィー。彼女を守るためにも対策を万全にしたい。


夕方になって、外で活動していた子供達も帰ってきて一緒にご飯を食べた。マコトもぜひと誘われた。


固いパンと野菜スープ、南側の海で捕れた魚を焼いたもの。


にぎやかで笑顔があふれた食卓。余計な食材は出さなかったけど、デザートにシュークリームは出した。


腕輪複製開始から8時間が経過し、ミスリル銀の腕輪が完成した。


目の前にはソフィー、ケビン、マリアがいる。ケビン&マリアは多くは望まないから腕輪を2個くれと言った。


「もう俺達、十分すぎるくらいお金は貰いました」

「だから記念にしたいので、ペアで腕輪を下さい」


「う~ん、とりあえず1個できたんだけど…、見せるね」


マコトの複製完了品は自動的に空間収納の中に放り込まれる。その時に、物品の詳細も分かる。


『ミスリル銀製腕輪◇5メートル収納機能◇時間経過10分の1』


確かに複製元となった腕輪とは違う。不壊でもなく、サイズ調節機能もない。


しかし、残留機能として5メートルの空間収納が付いている。


「ソフィー、これが新作。持ってみて」

「ああ、昼に見せてもらったのとそっくりだ」


「で、そこの椅子に腕輪を当てて、入れって言ってみて」

「? 入れ」


すると、椅子が消えた。ソフィーはもちろん、ケビン&マリアも目が点になっている。


「マ、マ、マ、マコト…、こ、これは何が起こった」


「それ、収納腕輪になっちゃった。いやあ、作る時にちょっと付与されたのかな…」


複製元になったオリジナル機能を知るマコトからしたら劣化腕輪。


時間停止機能もなく、時間は外の10分の1で流れる。


だけど、多少は異世界の常識を勉強して分かった。

収納アクセサリー、収納魔法はレアな上に、大半は2メートル以下。


5メートルサイズとなると希少。ラフランスの国王が所有する収納指輪で10メートルサイズだという。


こんな物をぽんぽん出せない。


「一応聞くけど、これなら売れる?」


「無理」「無理」「無理」


「やっぱりか…。また次の手を考えよう」


少し思案して思いついたのは、劣化腕輪の二次複製。


次の日、やっと普通のミスリル銀腕輪が出来上がった。


これならと、ケビンとマリアがペア腕輪として受け取ってくれた。やっとだ。


ちなみに劣化腕輪は重量にすれば、わずか120グラム。


ケビン&マリアにミスリル銀の代わりに渡す物資を大量に複製したついでに、オリジナル腕輪を劣化複製していった。


5日後、想定取引価格2000万ゴールドオーバーの劣化腕輪が15個できあがった。


そこで気付いた。「あ、もう魔石エネルギーが尽きかけてる」


ソフィーに言うと、街から北10キロの湿地帯にスライムがいると教えてくれた。一応は魔石を持っているそうだ。


「スライムを見るの楽しみだな」


「え、どういことだマコト。アンタはスライム練金に成功してるのに、見たことがない?」


ソフィーに付き合ってもらって湿地帯に行く。


その道中で自分の秘密を明かすことにした。

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