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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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43 なんちゃってクレープと抗生物質

マコトは、ボルドー銀山を出発した次の日の午前中、ボルビックの街に到着した。


負傷者のソフィーは、魚肉ソーセージを食べるために人間体に戻り怪我が悪化した。再び強制的に子猫変身となりマコトの懐に入っていた。


ケビンとマリアも荷物をマコトの収納に預けて手ぶら。だからペースは早かった。


ソフィー達が育ててもらった孤児院に到着した。とりあえずソフィーは到着前に人間体に戻った。 


「シスター、ただいま」


「ケビン、アリア、3か月近くも何処に行ってたの? それにソフィーまで」


「ごめん、心配かけて」

「それより、ケビンと私でシスターの部屋に行ってもいい?話があるの」


とりあえずマコトは恩人と紹介された。


孤児院で製造販売をしているパン作りに使えるドライイーストをマコトが出す予定。マリアにホットケーキのサンプルを渡して、シスターへの試食と説明を頼んだ。


ソフィーとマコトは10日間を目安に孤児院に滞在する。その後は2人で旅立つ。次にマコトが欲しい食材を探しに行く。


なので予定変更。ドライイーストを使ったパン生地作りの講師は、ケビンとマリアに頼んだ。


ケビン達が話をする間、マコトとソフィーは孤児院の庭に出ることにした。


街外れの小高い丘、教会と孤児院を兼用している建物があり、周りは草地。建物自体は壊れた部分もなく、経営はしっかりしていそうだ。


畑もあり、何か植えてあった。


遊んでいた小さな子供3人が、マコト達に近付いてきた。服は道中ですれ違った子供と同じ標準的な格好。


「おかえり、ソフィー姉ちゃん」

「お兄ちゃん、ソフィー姉ちゃんの友達?」


「そうだよ。これから一緒に旅を始めるんだ。あ、そうだ」


作れるようになったパン生地は、小麦粉の種類のせいなのか意外と固い。


だから逆に、それを利用して菓子を自作した。エコバッグから出した。


「みんな、お近付きの印に、どうぞ」


少しだけ発酵させたパン生地を薄く伸ばして焼き、バタークリーム、野イチゴの粒を乗せて巻いた。


野イチゴはボルドー銀山近くの森でマリアが見つけてくれた。


非常の時しか食べないくらいに酸っぱすぎた。

マコトが我慢して味をみていくと、小さな粒の100個に1個くらい熟して甘酸っぱいのがあった。


その甘酸っぱいやつと同じ色の粒を金属複製のかたわら、選別しながら大量複製した。


バタークリームは、手に入った牛乳、バターを複製し、砂糖を混ぜてシャカシャカ。滑らかさは高ステータスなパワーのお陰だ。


箸巻きみたいな見た目だけど、なんちゃってクレープである。 


「食べていいの、お兄ちゃん?」 

「どうぞ」


ぱくっとクレープを口に入れた子供3人が笑顔になった。


「ソフィーも食べなよ」

「私の分もあるのか?」


「当たり前だろ。新しく作った食べ物はまずソフィーに食べてほしいんだよ」

「…マ、マコト。じゃあ遠慮なく」


はむっとクレープをかじったソフィーの目がにんまり細くなった。


「ああ~。甘いのと酸っぱいの合わせたら、こんなに美味しいのか~」


笑顔を見たマコトは、次は生クリームを作ろうと思った。


しかし、子供3人は一口だけ食べて、半分以上を残している。


異世界の子供には口に合わなかったかと思ったが、理由は違っていた。


「あのね、おいしいから、残りは病気で寝てるリーゼちゃんに持っていっていい?」

「みんな病気なおったのに、リーゼちゃんだけなおらないの」


マコトは思い出した。ケビンとマリアが銀山付近で出稼ぎしていたのは、孤児院の子供5人が結核にかかったことが発端。


回復ポーション、治療魔法などファンタジー治療があっても金がかかるし、死亡率は20%と高い。


「お菓子は残ってるからリーゼちゃんには新しいのをあげるよ。だから3人とも食べな」


血の繋がらない姉のためにクレープを半分で我慢した優しい子供達。一気食いしたソフィーが気まずそうだが、事情を知らなかったし仕方ない。


◆◆

マコトが病気を治せる可能性があると言うと、ソフィーがシスターのところに駆けていった。


マコトのことは『病気の治療薬も作れる錬金術師』と紹介した。


マコトの能力の片鱗を見たソフィーだからこそ、真実を明かしてはいけないと納得している。


彼女もマコトの異様性は錬金術で片付けることにした。


やっぱり、お似合いだ。


シスターはリーゼ8歳の命運を託してくれた。


高い薬を使っても彼女の結核菌は消えなかった。街にも2割くらい同じような罹患者がいて、その人達はほぼ天に召されている。一縷の望みに懸けた。


マコトは錠剤を出した。

ストレプトマイシン系の抗生剤。ネット通販でペニシリンのついでに買った物だけど、その時に結核の治療薬として開発されたことを知った。


リーゼは咳が止まらず息も荒い。40度近い熱を出していた。


水を口に含ませると吐きだしてしまったから、ハイポーションを口に流した。すると少し息が落ち着いたので錠剤投与。


再びハイポーションを飲ませた。


これで丸1日くらい様子を見ようと思うと、わずか1時間で効果が現れた。頬もピンクになった。


マコトが出してあげたクレープとプリンをぱくぱく食べている。


ソフィーの傷の腫れがペニシリンで治るときに感じた。

ファンタジー効果の回復ポーション&科学の力の抗生剤、この力が混じり合うと異世界人も驚く効果が出るようだ。


もしかしたら誰でも持っている魔力が関係しているのかも。


「ち、治療費の方は…」

「そうですね…。そうだ、対価にはここで焼いたパンを下さい」


シスターは涙を流しながら膝をついてマコトに祈った。


「神よ…」


シスターはケビン&マリアに話を聞いていたが、あまりにもうますぎる話。


マコトを警戒していたけれど、この出来事で信用してくれた。



マコトは複製した抗生剤をシスターに託して使用上の注意を教えた。


パン作りは明日から。とりあえず銀山の鉱石を材料に複製した品々をケビンとマリアに分けることにした。

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