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異世界でプレハブ小屋をもらうとチート機能が付くようです  作者: とみっしぇる


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31 冒険者ソフィーと直感スキル

幾つかある廃坑の中でも、誰も入らない穴に潜ったマコト。


プレハブ利用の次元移動を駆使してもミスリル銀は発見できず出てきた。


次の廃坑に向かおうとしたら、3人の男が出口で通せんぼ。

マコトが異世界に来て何度か遭遇した、立派な強盗である。


纏う空気は完全な悪人。


「あいつ、さっき鉱山管理局の役人に何か渡してたよな」

「役人がすげえもん貰ったって騒いでたぜ」

「身なりもいいけど弱そうだな。身ぐるみはいでやる」


「面倒だから殺そうぜ。死体も廃坑の奥に捨てればいいだろ」


マコトが口を開く前に、勝手な皮算用をしている。


むかついた。


距離は20メートルで空間収納口を出せる範囲内。プレハブ小屋も使って素っ裸にして、硬い岩だらけの廃坑奥に投げ込もうと思った。



その時だ。


「お前ら何をやってる。強盗だな!」


男達の後ろから女性の声がした。


「誰だ、女か」

「構わねえ、女も殺っちまえ!」


これまた誰が来てくれたのか逆光で見えないけど、強盗が腰の剣を抜いて後ろを向いた。


3人の強盗は袋小路のマコトを後回しにして、最初に女性を倒す気だ。


マコトが異世界に来て初の正統派バイオレンスである。いや、そんなことを言ってる場合ではない。


助けに来てくれた人が危機に直面している。


男達の隙間から見える影では、女性はナイフを両手に構えている。


強盗達と女性はお互いをけん制して足が止まった。マコトは、中央の強盗の足元に収納口を設置。真っ赤になるまで焼いた石を入れた、陶器鍋を設置した。


「ぎゃああ、何だこりゃ!」

絶叫とともに転倒。ゴツゴツの岩で背中を打った。まずひとりが戦闘不能。


その声を合図に、片方の強盗がマコトに向かい、もう片方が女性の方に行った。


マコトは初の正統派な対人戦にびびった。だから反射的に物量作戦に出た。まず自分と強盗の間に1メートル四方の砂を落とした。


見事に強盗の頭に降り注ぎ、目つぶし成功。足場も悪いしよろけた。


続いてストックしたばかりの3キロ石棒を100本全部、盗賊の上から降り注いだ。


「ぐえ」剣は交えてないけど勝った。


急いでマコトが廃坑から出ると、強盗と女性はまだ戦っていた。双方の動きが激しくてアシストしにくい。


どうしようかと思った時、女性が腰だめに構えを取り「は!」と気合を入れた。


すると女性の銀髪が金色を帯びて、瞳が縦に変化した。


「え…」


猫耳も生えていないのに、マコトの頭には『獣人』という二文字が浮かんだ。


彼女は強盗に接近して顔を殴って沈めた。決着が付いた。


武器は取り上げた。鍋の複製素材にする。


強盗をどうしようかと思っていると、鉱山局員が兵士を引き連れてやって来るのが見えた。

どうやら手配されていた強盗のようで、いいタイミングで捕縛隊が来ていた。


なぜか女性が急いで早く立ち去ろうとするから、マコトも付いて行った。


恩人である。礼も言ってないのに離れる訳にはいかない。


外は正午くらいで明るい。


少し一緒に走ったあと、マコトは礼を言った。


「助けてくれてありがとうございます。俺、錬金術師のマコトって言います」

「私はソフィー、Dランク冒険者」


彼女はマコトを心配して様子を見に来てくれた。廃坑に入る前に声をかけてくれた2人が彼女の仲間。


古くて支柱もボロボロの穴に入った男の子がいると聞いて、心配になって駆けてきた。


「えと…。俺は錬金の材料探しに来てます。そしたら強盗に遭遇したんです」


「そうか。2人はアンタが倒したし、助けは余計なお世話だったな」


「あ、いえいえ、お気遣いありがとうございます。うれしかったです」

「無事で何より。あはは」


身長は今のマコトと同じ170センチで銀髪ショートヘア。目は大きくて瞳は翠色。ツンと高い鼻。両端がちょっと上がったピンクの唇。


笑うと、にゃんこみたいだ。


瞳は普通に丸い。戦闘中に縦長に見えたのは気のせいかと思った。


それに…今まで見た異世界人の中で、1番可愛いと思った。


歩きがしなやかなのに、肩や太ももがしっかりしている。革のズボンにブーツ。麻のシャツを着て腰にはナイフ2本を下げている。


雰囲気は善人。


ランク2ダンジョンでマコトを置き去りにした奴らと反対。


あの時、悪人だと感じた相手とダンジョンに同行して後悔した。その後は自分の第一印象を信じて、それが合っている。


だから自分を信じる。彼女は善人だ。


お礼をするのは当然。それを抜きにして、初対面の彼女と話してみたくなった。


気のせいかソフィーもマコトと話したそうに感じた。


マコトとしては、日本と異世界を通じて初めての感覚だ。


なぜか嬉しい。


「今日から廃坑のお宝狙いですけど、ソロです」

「私は2人の仲間がいるぞ。近くのランク2ダンジョンと廃坑で稼ぎに来たんだ」


「さっきのお礼ですけど…」

「必要ない。私が勝手にやったことだ」


マコトはリュックひとつだけの軽装。けれどリュックも服装も、この世界にしては上質すぎる。


一瞬だけマコトはソフィーがどんな反応をするのか窺った。


その姿を見直してもソフィーの目は変わらなかった。マコトの緊張感も解けた。


ソフィーは単に、マコトが野営道具を持っていないと思っただけのようだ。


「この先の廃坑近くに、昔建てられた廃棄長屋が1棟残ってる。空き部屋もあるから、夜露をしのぐには持ってこいだと思うよ」


「見ず知らずの俺を誘って大丈夫ですか?」

「問題ない。直感が大丈夫だと感じてる」


胸を張って言い切られた。


「私には、的中率が高い直感スキルのような力があるんだ。それがマコト君は信用していいと言ってる」


マコトは、自然と笑みがこぼれた。


「廃坑狙いだったよな。私の直感では、幾つかある廃坑の中でミスリル銀とか眠っていそうな場所がある。あとで教えてやるよ」

「いいんですか?」


「お宝があるって保証もないし、行ってみたけど岩に阻まれて私達では掘れなかった。案内くらいするよ」


プレハブ小屋があるから宿泊施設は必要ないマコトだけど、ソフィー自身に興味を持った。


助けに来てくれたお礼をするためにも、付いていくことにした。

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