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愚者の嘲笑、賢者の同情

長男の名前を「リチャード」から「マケール」に変更しました。

 広間を出た私を待ち構えていたのは、二人の兄だった。


「おい見ろよウィルソン。魔力ゼロの『お人形』が出てきたぞ」

「傑作ですね兄さん。あの見た目で無能だなんて、詐欺もいいところだ」


 嘲笑を浮かべて立ちふさがったのは、長男のマケールと次男のウィルソンだ。

マケールは既に火属性の才能を開花させ、次期当主の座を確実なものにしている。

ウィルソンはその腰巾着だ。彼らにとって、側室(元メイド)の子でありながら容姿の優れた私は、目障りな存在だったのだろう。


「……道を開けていただけますか、兄上たち」 「口をきくなゴミが! お前のような恥さらしは、さっさと平民にでも落ちればいいんだ!」


 マケールが私の肩を突き飛ばす。

五歳の体は簡単に床へ転がった。

痛みはない。

ただ、彼らの魂の「小ささ」に呆れるばかりだ。

所詮は子供。魔力という小さな物差しでしか世界を測れない哀れな雛鳥たち。


「リーファス! 大丈夫か!?」


 駆け寄ってきて、私を抱き起こしたのは三男のビンセントだった。

彼もまた側室の子だが、風属性の魔力を持ち、本来なら私と関わる必要のない立場にいる。


「マケール兄さん、やめてください! リーファスはまだ五歳じゃないですか!」 「フン、負け犬同士仲良く傷でも舐め合ってろ」


 マケールたちは興味を失ったように去っていく。

ビンセントは私の服についた埃を丁寧に払いながら、痛ましそうな顔をした。


「ごめんな、リーファス。僕がもっと強ければ……」

「いいえ、ビンセント兄さん。お気遣い感謝します」


 ビンセントは、この腐った家の中で唯一の良心だ。

彼は私が魔力を持たないことを心底憐れみ、守ろうとしてくれている。

……だが、彼も知らない。

私が守られる必要など微塵もないことを。



本日もお読みいただきありがとうございます!

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