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英霊集結・極点の連合艦隊

6月12日、大幅にブラッシュアップ(加筆・修正)いたしました。

キャラクターの心情や設定をより深く掘り下げていますので、初見の方も、再読の方も楽しんでいただければ幸いです!

南極の地下深くから、地球の血潮として噴き上がる黄金の龍脈。

リーファスの突き立てた愛刀の身を伝い、この星が数万年かけて蓄えてきた膨大なマナの奔流が、凍てつく沈黙の大気を熱狂的なまでの黄金の霊気へと瞬く間に塗り替えていく。


「急々如律令――『全英霊・光人憑依』!!」


リーファスの魂を絞り出すような咆哮に応え、百体のまばゆい光人たちが、人類の歴史の荒波を越えてきた本物の英雄たちの魂を受け入れるための絶対的な「器」となった。

地鳴りのような轟音と共に、南極点の上空を覆っていた漆黒の暗雲が、天の意志によって真っ二つに裂け散る。そこに出現したのは、海のない極限の極地に現れた、前代未聞の「空飛ぶ鋼鉄の艦隊」だった。


「……信じられない。あんなに大きな鉄の船が、空にいっぱい浮いているなんて……!」


西施が白く美しい吐息を漏らし、信じられないものを見る目で空を見上げた。その瞳には、恐怖を完全に塗りつぶした、戦う女の子としての可憐な勇ましさが満ち溢れている。


吹き荒れる吹雪の空中に泰然と静止するのは、近代地球の最高峰、戦艦『大和』を旗艦とする第一機動艦隊。

世界最大の巨砲を誇る『武蔵』や『長門』、高速戦艦の『金剛』に『榛名』。その周囲の空間を、九隻の空母、九隻の重巡洋艦、そして三十隻もの軽巡洋艦や駆逐艦の群れが、隙間なく埋め尽くしていく。

数万の将兵の英霊たちの意志を乗せた無敵の鉄の城群が、地上と空を埋め尽くす異界の悪魔の軍勢を、一斉に鋭くロックオンした。


戦艦大和の艦橋から、一人の威厳に満ちた将帥がリーファスを見下ろし、胸元へと静かに敬礼を捧げる。


「我が主よ。連合艦隊、全艦抜錨いたしました。これより我が艦隊は空中からの圧倒的な砲火を以て、空を埋める魔軍を完全に掃討いたします。閣下の進むべき路を切り拓きましょう」


――英霊:山本五十六。

その重厚な号令が響き渡った瞬間、戦艦大和の四十六センチ主砲が一斉に火を噴き、極点の極寒の空を、眩い黄金の面制圧の光が貫いた。空間の亀裂から湧き出していた飛行悪魔たちが、その絶対的な火力によって一瞬で消滅していく。空母からは無数の艦上機が発艦し、機銃掃射で空を焦がし始めた。


◇◇◇◇◇


一方、白銀の大地の上でも、顕現した伝説の英雄たちが次々とリーファスへと視線を向け、それぞれの武器を構えた。


「我が主よ、しかと御覧じろ。私の拳、私の神速。……この不毛の凍土を、武の極致で満たしてみせましょう」


――英霊:李書文。

白髪の老人は鋭い眼光を爛々と放つと、残存する魔導ゴーレムの群れに向かって雷の如き踏み込みを見せた。

放たれるは八極拳の奥義『猛虎硬爬山』。一切の予備動作のない掌打が魔導ゴーレムの胸部装甲に触れた瞬間、激しい衝撃波がその巨体を突き抜け、背後の雪山ごと内部機構を粉々に爆砕し、一撃で鉄の塵へと変えていく。


「あんたの選ぶ道なら……俺は何度でも、この極寒の地で革命の炎を燃やしてみせるさ」


――英霊:エル・チェ。

緑のベレー帽を不敵に直した革命家が、愛銃の自動小銃を構えて引き金を引いた。龍脈の霊力を弾丸へと変えた無尽蔵の掃射が、押し寄せる地上悪魔たちの眉間を正確に撃ち抜き、戦場に血の代わりに光の爆鳴を響かせる。


「この関雲長、青龍偃月刀にかけて誓おう。我が主君の御前を汚す有象無象、一兵たりともこの先へは通しはせぬ」


――英霊:関羽雲長。

見事な美髭を風に揺らした義将が、重厚な威圧感と共に最前線へと踏み出す。大気を震わせて振り下ろされた大刀の一閃は、地を這う悪魔の群れを数十体まとめて一刀両断にし、南極の氷原に巨大なV字の亀裂を刻み込んだ。


「はるばる南極まで遠征に来た甲斐があったというもの。世界を統べるのは魔神などではない……余と、余が友たるお前の夢だ!」


――英霊:アレクサンドロス。

若き征服王が愛馬ブケファロスに跨り、剣を掲げて吼える。彼の呼びかけに応じ、背後の光人たちが古代マケドニアの無敵の重装歩兵集団ファランクスへと姿を変え、長い槍の林を突き出して悪魔の波を正面から力強く押し返していく。


「スパルタの教えをその魂に刻み込め! 敵がどれほど多かろうと関係ない。ここで奴らを一歩も通さず、勝利を王へと報告しようではないか!」


――英霊:レオニダス一世。

青銅の盾を激しく叩き、闘志を爆発させるレオニダス。彼の背後には、死をも恐れぬ三百のスパルタ精鋭兵の魂が燃え上がっていた。彼らが組んだ絶対防御の盾陣は、悪魔たちの苛烈な爪牙を完璧に弾き返し、完璧な前線ラインを維持し続ける。


◇◇◇◇◇


「おのれぇ……ッ! なぜだ、なぜ、たった一人の人間がこれほど規格外の膨大な術を一度に行使できる……ッ! 私の魔法科学の計算を、どれだけ超越すれば気が済むのだ!」


『機巧卿』レオナルドが、自身の魔法科学の計算を遥かに超越した戦況の狂いに、初めてその顔を醜く歪ませた。

上空からは連合艦隊の容赦のない大口径砲撃と対空掃射が降り注ぎ、地上では伝説の英雄たちが率いる光の軍勢が、異界から無限に溢れ出る悪魔の群れを完全に圧倒し、すり潰していく。


「ハサン、レオナルド……! お前たちが何を信じていようと勝手だよ」


リーファスは碧眼から血の涙を流しながらも、己の魂を繋ぎ止める触媒であるジャンヌ・ダルクの聖旗を、目の前の漆黒の塔へと向けて力強く真っ直ぐに突き出した。


「だけど、クリスを……大切な仲間の未来を犠牲にする権利なんて、世界のどこを探したって誰にもない! いや私が許さない!!全軍、突撃! 押し寄せる闇を切り裂き、クリスを私たちの元へ連れ戻す!」


「うんっ! ボクだって、絶対に負けてられないよ!」


西施の全身から放たれた鮮烈な雷鳴が白銀の氷原を縦横無尽に駆け抜け、エリーの放つ神聖な聖光結界が、突撃する英霊たちの軍勢を優しく包み込んでその力をさらに強化する。


人類の紡いだ歴史上の最強兵器と、神話に並び立つ伝説の英雄たちが一堂に共演する、世界の果ての南極点。

圧倒的な人類の光の暴風を受け、魔神復活の揺り籠たる漆黒の塔が、みしり、と大きく揺らいだ。

囚われの仲間を奪還するための、真の最終決戦の幕が、今ここに鮮烈に切って落とされた。


本日もお読みいただきありがとうございます!

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