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平凡な男の平凡な転生  作者: みけ
36/44

完成!

お待たせしました。

今回は切れのいいところでということで短めです。

ひたすら刀匠を鍛える日々が続く。


刀、脇差し、槍、鎌、十手、手裏剣、和風の武器であればなんでも刀匠の範疇に入るようだ。


ウェットも鍛造を身に付けるために、手伝ってくれたり、自分だけで剣を打ったりしている。


ウェットの弟子たちが全面的に協力してくれて、玉鋼をせっせと作ってくれるのがありがたい。


一週間が瞬く間に過ぎ去り、玉鋼をつかった最高品質の刀を安定してつくれるようになった時、ついに刀匠がMasterになった。


いよいよ、自分の相棒と呼べる武器を鍛える時だ。


ウェットにもそう伝え、一日休養をとる。


万全のコンディションで迎えた朝、工房にいくと、すでにウェットが待っていてくれた。

「こいつを使ってくれないか」


ウェットが指差したのはいつもの鉄鉱石や玉鋼ではなく、濃い黒みがかった鉱石だった。


「こいつは黒鋼石、鉄鉱石にアダマンタイトが混じった鉱石だ。アダマンタイトってやつは鉄と同じように溶かせるんだが、鉄よりずっと固くて強ぇんだ。オリハリコン、ミスリルと並んで神の金属と言われてる。俺からの礼だ。つかってくれ」


アダマンタイト、ファンタジーで有名な金属がきた!

「感謝してるのはこちらの方ですよ。貴重なものなのでは?」


工房を好きに使わせてもらった上に貴重な金属までもらっては申し訳ない。


「初代が師匠のドワーフからもらったものの一部だが、いままでの方法では活かせなくて、倉庫の奥で埃をかぶってたんだ。魔法を通さないってのに、使い手の意志に答えるって伝説をもつ金属だ。どうも俺にはこいつがおめぇにつかってほしそうにしてる気がするんだ」


「ありがとうございます」

太郎は深々と頭をさげた。これ以上遠慮するのは失礼になるだろう。


作りおいていた、叩くと金属のような澄んだ音をだす木炭をたっぷりと魔力炉にいれ加熱を開始する。


炭に熱が行き渡ったころをみはからって黒鋼石を投入した。


出口をふさいでおき、炉のなかで、じっくりと溶かし木炭とも反応させる。


沸点ぎりぎりまで加熱された黒鋼石を型に流し込み、すかさず錬金術を発動した。


込めるイメージは原子レベルで混ざり結合し、折れず曲がらずよく切れる武器を鍛えるために究極で理想の地金となれだ。


限界を越える量の魔力をこめて発動した錬金術の魔方陣は地金に吸い込まれ強い光と小さな稲妻を迸らせる。


気絶して倒れる太郎をウェットが抱き止め、すかさずMP回復薬を飲ませた。


こうしておけば地金が冷めるまでの時間で、MPを回復することができる。


MPが回復し気がついたところで、ほどよく冷めた地金を鑑定してみた。


黒神鋼


究極、最高品質、最強の鋼材


鍛造用の炉に火をいれ鍛えはじめる。


不純物は含まれていないので折り返しのために叩き伸ばし、縦横縦の順番で折り返しをおこなった。

いよいよ刃の形を整えていく。外側の部分は固く鋭く強くなるような意志をこめて強く多く叩く、中心部はしなやかに強靭になるように柔らかく叩き、最後に溝をいれた。


ついに、焼き入れをおこなう。


鍛造用の炉で、刀身をかねつする。


その間に、焼き入れようの水に錬金術をかけて、最適な成分温度になるように調整した。


融解寸前まで加熱された刀身を一気に水につける。


瞬間、なにかギフトが発動したした感覚があったが迷わず水の沸く音に耳をかたむけ、最適とおもわれるタイミングで引き上げる。


錬金術を使い強化した砥石で刀身を研ぎあげると、艶のない真っ黒な地肌に鮮やかな澄んだ青い細い帯が波打つように幾重にもかさなり入った姿が浮かび上がった。


尖端から優美ともいえる曲線を描き柄に向かう笹の葉のような直刀ができあがる。

「刀じゃないのか?」

ウェットは不思議そうに問う。


「ええ、こいつは槍になるんです」


太郎は刀身の出来映えをたしかめながら答えた。


刀身は80センチほどで、同じぐらいの長さの柄がつくられている。


刃の根本に血止めになる小さな鍔をはめ込み、120センチほどの木製の柄にはむこんだ。


目釘を挿して固定すると錬金術を使い柄の材質をかえる。


カーボングラスファイバー、野球のバットにも使われている、強靭で軽量な素材へとへんかんする。


石突きを取り付けて全長2メートル、刃渡り80センチの大身槍が完成した。


庭を借りて振ってみる。


軽く手に馴染む。まるで手の延長のように縦横無人に振り回すことができた。


「ずいぶんと穂先の長い槍だな。見たことねぇ」


ウェットは珍しそうにながめている。


大身槍(おおみやり)といいます。地元でもそれほど一般的ではありませんが、名槍と呼ばれているものを真似てみました」


素槍はもちろん、片鎌や十文字が有名だが、日本号や蜻蛉切りといった有名な名槍はこの大身槍だ。


銘を考えなきゃな。


そう考えながら、鞘をつくる。


革で鍔まで被う鞘をつくりかぶせる。


少し大きかったのか、尖端が鞘に触れているようだ。

カシュ


鞘をとって調整しようと少し槍を揺らしたら、軽い音ともに、鞘が割れてしまう。


「触れば断つ、鞘割りか、恐ろしい切れ味だな」


ウェットが笑っている。


銘が決まってしまったような気がした。



お読みいただきありがとうございましたm(__)m

やっと完成しました。

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