モンスター
お待たせしました。しばらく短い更新がつづきます。
完成した空飛ぶスケードボードを「フライボード」と名付けてから三日がたった。
その三日間は、フライボードの練習や町のがれきの片づけを手伝い、たまの酒盛りに海産物に舌鼓をうって過ぎ去る。
太郎とピノは朝もやのけむる早朝、騎士団のいる中心部の公園へとやってきた。
昨日、街道の安全確認がおわったので、物資運搬の仕事のために王都へもどることになったのだ。
「朝早くから、すまないな。太郎殿、ピノ殿。先日は本当に世話になった。今回はあんな不覚を取らないので安心してほしい」
二人を出迎えたのは、ラッシュとレトリーだった。他に8人の騎士が同行するらしい。
レトリーをのぞく全員が板金鎧、五角形を逆にした形の盾を持っている。武器は、広刃の直刀を腰にさしているほかに、斧、手槍、メイス、柄の長い片手長剣などを所持していた。
レトリーは肩が広く空いた金属で補強した革の胸当てに、革の盾、魔法を使うための杖を装備している。
ピノはラッシュの後ろに乗り、太郎はフック付きのロープをレトリーの鞍にひっかけるとフライボードに乗った。
朝もやをけたてるように10騎は走り出す。太郎もモーターボートに引っ張られる水上スキーのようにフライボードでついていく。
ワォォォ~ン!
ワォォン!
何度かの小休止をはさみ、鬱蒼とした森の曲がりくねった道をぬけ、すこし森がひらけてきたあたりでそれは聞こえてきた。
オオカミの遠吠えのようだが、少し低いというか太い声質の吠え声だ。
あと少しで森を抜けるというところで、茂みから太郎が見たことのない生き物が5匹現れた。
子供よりやや大きいぐらいの小柄で、二足歩行ではあるがひどく猫背で服とは呼べないような布きれを体に巻きつけ、尖った石や枝などを手にもっている。
そして、頭部は茶色や黒の毛におおわれ、耳は頭部にぴんと立ち、張り出した口には牙が並び、涎を垂らしながら舌をだらしなく伸ばし荒い呼吸をしていてまさに野犬のようだった。
「モンスター!コボルトだ!すごい久しぶりにみた!」
ピノが驚きの声をあげる。
「馬が進まなくなる!駆逐するぞ!」
ラッシュの指示をうけて騎士達は一斉に馬をおり、戦闘態勢をととのえた。
片手斧、手槍、長剣の三人と広刃の剣を持った二人がコボルトに襲い掛かる。
ラッシュ、レトリー他三人の騎士は、フライボードを降りた太郎とそのそばにいるピノを囲むように展開しながら周囲を警戒していた。
「コボルトは10匹前後の群れをつくって行動するモンスターだから、きっとほかにも、ほらでた」
ピノの解説を聞いていると、後方の茂みからさらに5匹のコボルトが現れる。
「レトリーは、ここで待機、増援や危険があれば魔法をつかえ」
ラッシュはそう言い残すとほかの三人と後方のコボルトに突撃した。
コボルトと騎士たちの戦闘は一方的だった。
コボルトは手に持った尖った石や枝で乱暴に突きかかるか、接近して噛みつき攻撃をしてくる以外、互いに連携することもなく攻撃してくる。
対する騎士たちは、互いに高度な連携で互いの盾をつかい死角をカバーしながら、堅実に攻撃を加えていく。鎧も来ていないコボルトたちは瞬く間に傷だらけになり血を失って動きが鈍くなったところを次々と止めを刺されていった。
はっ!もしかして、ここは魔法を複数起動して一気に片づけて無双するところだったのでは・・・
何気に護衛されている場合じゃなかった。
太郎が気が付いた時には、コボルトは殲滅されていた。
ピノは素早く止めを刺さられたコボルトに駆け寄ってナイフで胸のあたりをえぐり手早く小さな石のようなものを取り出した。
「魔結晶だよ。モンスターからは天然の魔結晶が取れるんだよ。コボルトは雑魚だからあんまり魔力がたかくないけどね」
ピノは集めた魔結晶を見せてくれた確かに以前見たものよりも色が薄く緑色に透き通っている。
魔結晶・緑 低品質 コボルト産 天然物 魔力が結晶化したもの 品質が高く魔力が多いほど色が濃くなる。同一産は融合可能。
鑑定してみたら天然物はちょっと違う文面がでた。融合できるのか。
そんなことをやっている間に、騎士たちはコボルトの死体を街道脇に埋めて片づけ出発の準備を整える。
次にモンスターが出たら、魔法を使ってみようと心にきめた太郎はほかの騎士たちと一緒に再び移動を開始した。
お読みいただきありがとうございます。




