初仕事その2
今日は早めに投稿します。
世界が変わっても、使いやすさが求められる道具の形はそう変わらないものなんだろうな。
帝国の工作部隊のものと思われる工具箱には、ノコギリや金づちなどの見慣れた大工道具が収まっていた。
前世では、日曜大工が好きで椅子やらテーブル、本棚などをよく作っている。
太郎の日曜大工は趣味であったが、戦時中大工の同僚から塹壕掘りの合間に教わった本格的なもので、終戦後一緒に大工をやらないかと誘われたほどの腕前であった。
しばらく、攻城兵器の残骸を眺めつつ思案していたが、やおら、ノコギリを掴むとにやりと微笑む。
作業の合間に、その笑みをみてピノが変な誤解をしたようだったが、無視して作業にとりかかる。
ノコギリ、かなてこ等を手際よく使い分解をすすめていき、車輪、長さを揃えた材木、板などを揃えていく。
長い材木二本で車輪を挟み込むように固定し、車輪にふれないように板をのせる。
出来上がったのは、ねことよばれる一輪台車だった。
ぽーん♪(工作技能を獲得しました)
『すっごぉ〜い!なにこれ?面白い!』
押したり引いたりテストをしている太郎のところにピノが飛んでくる。
『ねこ、って言われる台車だけど…こっちにはない?』
便利な道具だから、ありそうなものだけどなぁ…
『なんで猫っていうの?ないね〜帝国なら似たような道具あるかもだけど』
ピノは太郎からねこをうばって押したら引いたりしはじめた。ピノには、少し大きいようだ。
『なんでだれろう?理由はわからないよ。ピノ分もつくるね』
太郎はふたたび残骸を分解し小さめのねこの作成にとりかかる。
スキルの効果なのが、前よりうまくできたような気がした。
遺体から装備をはがす手間は変わらないが、穴まで運ぶのは2台のねこ導入により格段に早く楽にできるようになった。
最初こそ吐き気に襲われたが、いまでは淡々と作業ができる自分に太郎は少し驚いている。
ぽーん♪(ギフト、武芸の才の効果と考えられます。闘うために必要な精神面が強化されているとおもわれます)
3人で戦場全体の10分の1にたっするか達しないかぐらいの片付けが終わったころ、さっそうとプレラが馬に乗ってあらわれ昼休憩となった。
お弁当を持ってきてくれたのだ。
河の近くで草の少し長いあたりに薄手のカーペットをひいて4人で昼食をとることにする。
プレラが持ってきたのは、朝と同じく少し酸味のある黒くて固いパンと壺にいれたスープ、それに野菜の酢漬けだった。
スープはジャガイモ、キャベツ、人参に肉が少し入っていて、濃いめの塩味がついている。よく煮込まれていて、野菜の旨味がスープにしっかり含まれ、パンをつけて食べると、パンの酸味とスープの旨味が絶妙なコントラストとなりかなり美味しく食がすすんだ。
そして、ほのかな甘味とすっきりした酸味のセロリやダイコン、玉ねぎの酢漬けが濃い塩味に満ちた口の中をさっぱりとしてくれる。
吐き気があり、昼食は無理と思っていた太郎であったが、プレラの腕前によりなんなく満腹にいたるのだった。
『そういえば、野犬とかはいませんね』
太郎はデザートの梨をほおばりながら尋ねる。
『そおっすね、ドラゴンの気配に当てられて今日明日ぐらいは、でないっすね。きっと』
同じく梨にかじりついていたレトリーが答える。
『それにしても、あんまり作業が進んでないわね。太郎くんがいるのに』
プレラさんは、小首をかしげながら言う。
『なんで私だとさぎょうが…あっアイテムボックス!?死体も入れられるんですか?』
ねこなんて作っている場合ではなかった。死体がいれられるなら、たしかにもっと作業が捗る。
『太郎さんは、アイテムボックスもちなんすか?狩りの獲物とかも入りますから、人の死体もいれられるっすよ』
レトリーは少し驚いたようだった。
『すみません、もっと早く気がついていれば…』
太郎は頭を下げる。自分の能力にまだ慣れていないようだ。
ゲセ、遺体とそれ以外の仕分けって出来ないかな?
ポーン♪(私とアイテムボックスをリンクすれば可能です。リンクしますか?)
できるんだ!!これはかなりに便利になる。
昼からの作業は、かなり楽なものとなった。
アイテムボックスの入り口を大きく広げると、戦場をなぞるように動かす。
ポーン♪(収納したアイテムを一覧で表示します)
遺体 35体
ネームタグ 35個
壊れた金属鎧 10個
壊れた革鎧 15個
金属鎧 5個
革鎧 3個
高品質の金属鎧 1個
高品質の革鎧 1個
壊れた盾 18個
盾 6個
折れた槍 10本
折れた剣 21本
槍 4本
高品質の槍 1本
剣 10本
高品質の剣 1本
その他武器 21個
汚れた衣服 123着
変身ベルト1 1本
革袋 59個
帝国金貨 26枚
王国金貨 19枚
帝国銀貨 198枚
王国銀貨 14
7枚
帝国銅貨 359枚
王国銅貨 291枚
金の腕輪 3個
銀の腕輪 8個
銀の指輪 16個
金の指輪 6個
宝石 18個
金の髪飾り 2個
銀の髪飾り 5個
高品質の櫛 2個
首飾り 6本
傷薬 20本
手紙類 48枚
食器類 61個
その他雑貨 43個
ゲセの報告をざっと流し読んでから、昼からは火葬に専念しているレトリーのもとへ向かう。
深く掘られた穴から大きな炎がまきあがっている。
レトリーは時おり薪を追加したり、魔法を使ったりしながら火力を落とさないようにしている。
『レトリーさん、36人です』
太郎はレトリーに声をかけると、アイテムボックスから直接、穴へと遺体をうつした。
太郎は静かに手をあわせて死者の冥福を祈る。
この世界に仏教はないだろうし、生きていたら自分を殺したかもしれない敵だったが、そうせずにはいられなかった。
お読みいただきありがとうございましたm(__)m




