初仕事その1
遅くなってすみません。今回、ちょっと残酷なシーンがありますのでご注意ください。
朝、目を覚ますと隣で裸のプレラが艶やかな微笑みでちろりと舌を出して…
『うふふ、ご・ち・そ・う・さ・ま』
というような事はなかった。
なにやら、夜中にドアががたがたいったような気がするが、閂をしっかりかけてあったせいか、無事に朝をむかえられた。
下に降りると、プレラが妙に悔しそうな顔で迎えてくれた。
『おはよう♪ゆっくり眠れたようね。朝ごはんできてるわよ…まったく用心深いんだから』
太郎は最後のほうを聞き取れなかったふりをして、テーブルについた。
朝食は、ライ麦パンらしきパンとベーコンとスクランブルエッグである。
かりかりのベーコンとふわふわのスクランブルエッグを楽しんでいると、ピノがやってきた。
『おっはよ〜♪今日も頑張って稼ぎましょう!』
朝からハイテンションな調子でやってくる。
『こっちの朝食のほうが美味しそうだなぁ〜♪私にもちょうだい!』
答えを聞かずに、ピノは太郎のスクランブルエッグをつまみ食いする。
しばらくして、朝食を食べ終えた頃、淡い蜂蜜色の髪に、髪より少し濃い色のペタリとした大きい耳とふさふさの尻尾のある若い青年がギルドにやってきた。
『ちぃ〜す!騎士団からきたレトリー準騎士っす。戦場片付けの冒険者はあつまってますかぁ?』
綺麗に磨かれた金属の胸甲をつけ、広刃の直剣をおびたレトリーは、プレラとは知り合いらしく軽い口調で挨拶をしている。
『今日はあいにく、そこにいる太郎くんとピノしかいないわ。まだ、ほとんどの冒険者が戻ってきてないのよ。もどりしだい派遣するから、とりあえず3人でがんばって』
プレラの笑顔に見送られて3人は場外へとむかった。
門番をしていたマクバに軽く挨拶をして城門をでると吐き気を催すような光景が広がっていた。
城門を攻略しようとしていた帝国兵の亡骸が、山のようにつみあがっている。岩に潰されたもの、ドラゴンによるものか、形をとどめないほど潰されたもの、焼け焦げたもの、半身を失ったもの、地獄絵図のような惨禍と濃くまとわりつような死臭がただよう。
『わずかにいた王国の戦死者は、騎士団で回収して弔いの準備がすすめられてるっす。これから片付けるのは帝国の連中ってことっすね。これで鼻と口を被うと楽になるっすよ』
レトリーは厚手のスカーフのような布を二人に渡し自分も身に付けた。
ピノは慣れているのが、平然としていたが、太郎は込み上げる吐き気をこらえるので必死になっている。
ポーン!
(スキル状態異常耐性を獲得しました)
少し楽になってきた。
レトリーの先導で戦場を縫うように、南側の街からも河からも少し離れたところにやってきた。そこには、昨日のうちに片付けたのか、家二軒分ほどの空き地が広がっている。
『我が魔力を糧に、深く大きな穴を穿て!』
レトリーが両手を広げ短い詠唱と共に魔法を使うと、空き地に大きな穴がうまれた。
レトリーがいきなり、魔法を使ったので、太郎はよく見ていなかった。よく魔力の流れとか見ておけば、魔法スキルが獲得できたかもしれない。
そんな太郎の思わくもしらず、レトリーは作業の説明を始める。
『ここに遺体を集めて火葬するっす。できるだけ深い穴をほったけど、なるべく、剣や鎧、盾なんかは外していれてほしいっす。あと、タグを首から下げてるので見つかれば回収してほしいっす』
3人は作業にとりかかった。
装備品を外しても、遺体は重たい。ピノと二人でも引きずらねば運べない遺体もあった。
疲労も積み重なって来たとき、攻城兵器の一種だろうか、車輪のついた壊れた櫓を見つける。あたりを探してみると工兵部隊のものか大工道具一式が入った箱も見つけた。
太郎は、おもむろに鋸を手にしてにやりと笑う。
『のっのこぎりで、なにをするの?まさか…』
それをみたピノは少し怯えながら尋ねる。遺体をばらして運ぶつもりなのだろうか?
かなり短めでごめんなさい。『引き』をやってみたかったのです。
お読みいただきありがとうございましたm(__)m




