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閑話:探し人

 日本の年間行方不明者数は、おおよそ8万件と言われている。


 しかし、そのうち6万件ほどは大体1週間ほどで見つかっているらしい。 ……生死は問わないけど。


 それで、それ以降の日数をかけて見つかってるのが、大体1万件くらいで。


 つまりは1万件くらいは、所在が分からないそうだ。


 ついでに、行方不明の理由は、一番多いのが認知症とかの疾病関係で、次に家庭の事情、その次に事業関係が来て……


 まぁ、あとは細々とした分類が来て、原因不明は大体20%。


 なんでこんなことを知っているかっていうと、最近必要があって調べたからだ。


 ……兄貴が、行方不明になった。


 原因は不明で、いまだに見つかってない。


 ある日兄貴の会社から電話がかかってきて、会社に出社しないし電話も出ないから何か知らないかって聞かれたらしい。


 それでうちにも連絡来てないから、母さんが兄貴の家に行って合鍵使って入ってみたけど、家には兄貴はいなかった。


 母さんの電話にも出ないし、家の中も何か整理したりした様子もないし、何かおかしいってなって、そのあと二日経っても連絡がなかったから警察に捜索願を出すことになった。


 会社の話では仕事も真面目にやってて人間関係も特に問題はなし、何か思いつめた様子もなかったそうで、なんとなくわかってたけど女性関係も特に話は聞いてないそうだ。


 それに休日はちょくちょく実家にも帰ってきてたけど、特に変わった様子はなかった。


 とりあえず親戚中に話を聞いたけど、所在は分からないってことで、もしかしたら何かしらの事件に巻き込まれた可能性もあるってことで警察も探してくれている。


 ……だけど、兄貴が行方不明になってから2週間が経つけど、いまだに見つかってない。


 だけど一つだけ、情報とも言えない情報が見つかった。


 兄貴が消えたと思われる当日の監視カメラに、兄貴の最後の映像が写っていたのだ。


 それなら進展と言えるかもしれないけど、なんというか、奇妙な映像だったんだ。


 兄貴は道を歩いていたら、急に消えた。


 いつ消えたか、どうやって消えたか何度見てもよくわからなかったけど、気が付いたら映像からすっぽりと消えていたんだ。


 そこでこんなことがあるのかと信じられなかったけど、ある言葉が浮かんだ。




 『神隠し』




 もしかしたら、兄貴は超常現象的な、怪奇現象的な出来事に巻き込まれた可能性がある。


 そうでもないと、あの兄貴が誰にも言わず、仕事をほっぽり出してどこかに消えるなんて信じられない。


 ……もしかしたら犯罪に巻き込まれた可能性もある。


 でも、その場合は警察に任せるしかない。


 しかし、もし本当に兄貴が神隠しにあったのだとしたら、それは警察じゃどうしようもないと思う。


 だから、俺はそっちの方面で兄貴を探さないと、じゃないと……


「よし、準備終わり」


 学校に行く準備を終えて、靴を履き替える。


 たとえ兄貴がいなくなったとしても、世界は変わらない。相も変わらず地球は回って、時が流れる。


 本当は学校を休んで兄貴を探すために時間を使いたいけど、それは両親に迷惑だし、兄貴も望んでいないと思う。


「あら、小太郎。もう学校行くの?」


「あぁ、行ってくるよ、母さん」


 玄関まで出迎えてくれた母さんは、目の下にクマを作って、少しやつれていた。


 父さんは警察を信じて待ってようって言ってたけど、どうしても心配してしまうみたいだ。


「……母さん、あんまり無茶しないでよ」


「……そうね、アタルが帰ってきたら笑顔で出迎えてあげないといけないもんね」


「ありがとう、小太郎」


 涙ぐむ母さんを見て、やっぱり早く兄貴を見つけないといけないって決心をする。


 勝負は放課後だ。部活動の先生には事情を話して、しばらくの間部活を休ませてもらうことになっている。


 正直オカルト関連はさっぱりだけど、少しでも情報を集めるためにネットや図書館でそれらしい情報を片っ端から集めるしかない。


 ……それに、学校の友達にオカルトに詳しい人を紹介してもらえるように頼んでいる。


 そんな人に出会えるかわからないけど、少しでもできることはやっておきたい。




 そんなとき、事件は起きた。


「え~皆さん、隣のクラスの火野 雄二くんって知ってますか? 彼が昨日から行方不明みたいで……」


「誰か少しでも情報を知っている人は、先生に教えてくださいね」


 担任の先生の話を聞いて、悪寒を感じた。


 俺には、彼の行方不明事件が、兄貴の件と関係がないとは、何故か思えなかったからだ……


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