第6話 歓迎
「はい、わたしはアニーです。どちら様ですか?」
インターフォンから聞こえてきたのは、ラクラミキオアラの声でした。ドイナは、地図を描いたときと同じようにラクラミキオアラがふざけているのだとすぐに分かりました。ペイズリーに小声で「ちょっと、わたしに返事させて!」と言い、インターフォンに顔を近づけました。
「アニーかい!わたしはハニガンだよ!!逃げ出したお前を、連れ戻しに来たよ!!たっぷりお仕置きをしてやるから、出てきな!」
ドイナは、わざとしゃがれた、意地悪そうな声を出して、そう言いました。ハニガンというのは『アニー』に出てくる孤児院の院長で、孤児のアニーたちを奴隷のように扱っている人です。
「キャハハハ!!」
インターフォンから、ラクラミキオアラが大爆笑している声が聞こえてきました。
「サンディも一緒に逃げただろう?分かっているんだからね!サンディも一緒にお仕置きしてやる!」
ドイナはインターフォンに顔を近づけたまま、いかにも意地悪そうな表情を作って、そう言いました。カメラ付きのインターフォンではないのでラクラミキオアラからドイナの顔は見えていないのですが、意地悪そうな声を出そうとしたら、自然とそういう顔になっていたのです。ペイズリーも横で爆笑して、「ドイナ、すごいな!劇団に入った方がいいよ!」と言いました。
「ワン!!ワン!!絶対に嫌だワン!!お前が支配している孤児院には二度と戻らないワン!!」
ラクラミキオアラが今度はサンディになりきっている声が、インターフォンから聞こえてきました。ドイナは腹をかかえて大笑いして、「ちょっと!もう、やめてよ!!ラクラミキオアラ!」と言いました。
「キャハハハ!いま、行くね!!」
ラクラミキオアラが玄関から出てきて、とっても楽しそうな顔で駆けてきました。ニコニコしながら門を開けて、ドイナとペイズリーを中に招き入れました。ドイナに抱きついて「待ってたよ〜!!ドイナ〜!!」と言ってから、ペイズリーの顔を見て、
「あ、あなたは…あなたはウォーバックスさんじゃありませんかっ!!ウォーバックスさぁああん!!」と言って、抱きつきました。ウォーバックスさんというのは、孤児のアニーを養子にした、優しいお金持ちのおじさんです。ラクラミキオアラは完全にふざけているだけなのですが、ペイズリーは突然、女の子に抱きつかれたので顔が真っ赤になりました。
「……!!ちょ、ちょっと待って!!おれ!ペイズリーだよ!ペイズリー!」
「キャハハハ!!分かってるよ!冗談に決まってるでしょ!!ペイズリーがウォーバックスさんなわけ、ないじゃん!!」
笑いながらラクラミキオアラは二人を玄関まで連れて行き、ドアを開けて、
「二人とも、入って!!どうぞどうぞ!!」
と言いました。
ドイナとペイズリーが玄関で靴を脱いでいると、リビングルームの方から、ラクラミキオアラのお母さんが二人を歓迎するために出て来ました。
「あら〜!!あなたたちが、ドイナちゃんと、ペイズリー君!?我が家のクリスマスパーティーに、ようこそ!!うふふっ」
そのときドイナとペイズリー3世は、同じことを思いました。
"さ、さすがラクラミキオアラのお母さんだ…すっごく明るい…!!"




