第4話 お友達招待計画
「星占いの本だよ!そう言えば、ペイズリーって何座なの?というか、魔法使いの世界にも星占いってあるの?ギリシャ神話って魔法使いがたくさん出てくるし、ペイズリーが星占いをチェックしてたら、なんかちょっと変だけど…」
「なんで変なの?」
「だってペイズリーは魔法使いだから、神話に登場する側じゃん?神話を聞いたり、読んだりする側じゃなくて。トラが動物占いをやって、"おれ、動物占いだとコアラだ"とか言ってるような違和感があるよ!?」
「いやいや!確かにギリシャ神話に魔法使いは出てくるけど、別に"魔法使い座"があるわけじゃないから!魔法使いの女の子の中にも、普通に星占いが好きな子はいるよ。ていうか、それを言うならドイナだって妖精なんだから、似たようなもんでしょ!」
「あっ、そうだった!すっかり忘れてた…。なんかね、わたし、ラクラミキオアラと仲良くなってから、だんだん、自分が妖精だっていう自覚が薄くなってるんだよね。アハハハ!…で、ペイズリーって何座なの?」
「え〜と、おれは五月十一日生まれだから、おうし座だよ!」
「そうなんだ!?おうし座、おうし座…」
ドイナはパラパラとページをめくり、おうし座のページを探しました。
「あ、あった!え〜と…ふむふむ、なるほど!」
「どう?なんて書いてある?」
「"争いごとを好まない平和主義者。穏やかで、マイペース。相手の意見を受け入れる懐の深さがあるので、男性の場合、尻に敷かれやすいタイプだと言えます"…だって。すっごい当たってるじゃん!ペイズリーって、ラクラミキオアラとわたしの尻に敷かれてる感じだもんね、いつも!」
ドイナにそう言われたペイズリー3世は、本当はちょっと悔しかったのですが、心当たりがあり過ぎて言い返すことが出来ず、ジト〜っとした目つきでドイナを見ました。
「アハハハ!冗談だよ、冗談!早く、ラクラミキオアラのお家、行こ!?」
その日は十二月二十四日で、ラクラミキオアラのお家ではクリスマスパーティーを開くことになっていました。ドイナやペイズリーとも楽しい時間を過ごしたいと思ったラクラミキオアラは一週間ほど前に、お母さんに、こんなお願いをしたのです。
「お母さん!二十四日、お友達を二人、お家に呼んでもいい?ちゃんと、明るいうちにお家に帰すようにするから。その代わり、早めに来てもらうの。お昼くらいに来てもらって、四時半くらいにはバイバイするから!…ね?いいでしょ!?お願いっ!!」
そのときお母さんは、こう答えました。
「別にいいけど、なんていうお友達?同じクラスの子?」
「えっ!?えっと…違うの!違う小学校に通ってる子なんだけど、公園で知り合って、すっごく仲良くなったの。ドイナちゃんと、ペイズリー君!!ペイズリーっていうのは、ネクタイの模様からとった、あだ名だけどね!彼はそう呼ばれるのが好きだから、お母さんも、"ペイズリー君"って呼んであげてね!!」
「へえ〜、そうなの?変わったあだ名ね!分かったわ!クリスマスイブはサルマーレとかトバを作ろうと思ってるから、早めにたくさん作っておいて、ドイナちゃんとペイズリー君にも食べさせてあげましょう」
サルマーレもトバも、豚肉を使った料理です。ルーマニアではクリスマスイブに七面鳥ではなく、豚肉の料理を食べる伝統があるのです。ラクラミキオアラはお母さんの言葉を聞いて、こう思いました。
"こ…ここがルーマニアで良かった…。もしイギリスとかアメリカだったら、鳥の妖精であるドイナにお母さんが、こんがり焼いた七面鳥を出して、ドイナが失神していたかも知れない…!"
思わず冷や汗をかいたラクラミキオアラでしたが、平静をよそおって、お母さんに笑顔を向けました。
「ありがとうっ!!お母さんの料理は最高だから、二人もきっと喜ぶと思う!!」
「あら〜!ラクラミキオアラったら。ほんと、お上手なんだからっ!」
お母さんは嬉しそうにニッコリ笑って、そう言いました。
ドイナとペイズリーは、待ち合わせをしていたピシカ・ドルミンダ書店を出て、一緒にラクラミキオアラの家に向かいました。書店からラクラミキオアラの家までは歩いて行ける距離なので、魔法のステッキを使ったりせずに、歩いて向かいました。




