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第38話 解放

 チョコレツィカは第一機動隊の車両に乗りブラックカカオ図書館に向かっているとき、館長を務める女性、チョコレバダに電話をかけました。そのときには既にテレビ局の中継車が爆破されたブラックハウスを囲み、生中継で現場の様子を伝えていたので、チョコレバダはチョコレツィカから「遺体を確認したわけではないが、ブラックカカオが死んだことは間違いない。確信している」と聞いたときも、さして驚きませんでした。また、ほとんどの国民がそうであるのと同じように、彼女もブラックカカオを嫌悪していたので、「これから国民を集め、テレビ局に中継してもらって演説を行いたいので、広場を使わせてくれないか?」とチョコレツィカに言われたときも、二つ返事で大喜びして、「是非、お使い下さい!!」と答えました。これからチョコレツィカが図書館前の広場で演説を行うという情報は、ブラックハウスの周りに集まっていたマスコミにも伝えられました。どんどん報じてもらって、出来るだけたくさんの国民を集めたいと思っていたチョコレツィカは、機動隊員の一人に頼んで、拡声器で伝えてもらったのです。マスコミの人達からは、「おお〜!」と、どよめきが起こりました。その声は、国が大きく変わる歴史的な転換点にいま自分達は立っているという、上気の色を帯びていました。

 

 二時間後、チョコレツィカは、ブラックカカオ図書館前の広場とその周辺に集まった、30万人近い群衆の前で登壇しようとしていました。演壇が無かったので、第一機動隊の大型装甲車を長方形の広場の図書館側の長辺の中点に当たる位置に駐め、中に積まれている折り畳み式の梯子を使って装甲車の屋根に登り、演説を行うことになりました。

 集まった群衆の様子を、テレビ局は生中継で放送していました。レポーターがマイクを向けて、集まった人々にインタビューしている映像を、チョコレツィカは登壇前に図書館の中で観ていました。テレビ局は報道特別番組を放送しており、ブラックハウスを爆破して自らも爆死したのはレジスタンスに所属するチョコレート計画担当副大臣チョコクラージュであること、大臣チョコレツィカもレジスタンスに所属していること。ブラックカカオと悪名高い四名の閣僚、同じく悪の限りを尽くしてきた親衛隊は間違いなく全員死亡したこと。チョコレツィカが、チョコの国で最強の集団である機動隊の隊長をレジスタンスのメンバーで固めていたこと。隊員も元々ブラックカカオに不満を抱いていた者ばかりだったので、チョコレツィカを全面的に支持しており、チョコの国の圧政に終止符が打たれることは確定的であることなどが報じられていました。それらの情報は、車両に乗り込む前にチョコレツィカが秘書官を通してマスコミに流したものでした。


 インタビューに答える人々は一様に笑顔で、とても嬉しそうにインタビューに答えていました。

「信じられない!恐怖に怯える生活は、今日で終わるんですよね!?夢みたい!!」(38歳・主婦)

「これからはブラックカカオを批判しても、逮捕されないんですよね!!嬉し過ぎる!!」(22歳・学生)

「ああ…この、解放感!!生きてて良かった!!」(45歳・会社員)

「ぶらっくかかお…さいてい、バーブー」(2歳・自由業)

「おぎゃー!おぎゃー!ぶらっく…かかお、さいてい、おぎゃーーー!」(0歳・自由業)


 ちょうどその頃、全国18箇所の収容所では、収容されている人々の解放と、病院への搬送が進んでいました。テレビの報道によってブラックカカオの死を既に知っていた収容所の守衛や看守たちは、抵抗することなく、収容所に機動隊を招き入れました。心からブラックカカオを敬愛しているわけではなく、お金を稼ぐために収容所で働いているだけの人達だったので、今更、抵抗する理由が無かったのです。

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