第15話 生まれて初めて見た魔法
ペイズリー3世は、いつも着ているジレのポケットから、スネークウッドのステッキを取り出しました。と言っても、手のひらに全体が収まるほど魔法で小さくしてあるステッキです。ペイズリーは「バストナシュ、フィー・ラ・マリメア・タ・イニツィアラ!」と言って、それを空中に放り投げました。するとステッキは一瞬で元の大きさに戻り、ペイズリーはそれを空中でキャッチしました。
「えっ!!えええ〜〜っ!!!」
驚いたのはもちろんチョコ姫です。ラクラミキオアラとドイナはペイズリー3世が魔法使いであることを知っていたので平然としていましたが、正体がラクラミキオアラのお母さんであるチョコ姫は、ペイズリーを"天才的な魔法使い"と紹介したラクラミキオアラの言葉をただの冗談だと思っていたので、息が止まるほど驚きました。
「ほ…本当に、魔法使いだったの…!?」
チョコ姫がペイズリーの顔を見て言いました。
「え?あ、うん!びっくりさせちゃって、ごめん!本物の魔法使い見たの、初めて?」
ペイズリーがニコニコしながら訊きました。
「も…もちろん初めてだよ…!ちょ、ちょっと待って!てことは、ドイナも、本当に鳥の妖精なの!?」
「あ、うん!もちろん!!」
ドイナも、無邪気な笑顔で答えました。チョコ姫は、母親である自分の知らないうちに魔法使いと妖精の友達を作っていた娘の行動力に、驚嘆しました。
「ラ、ラクラミキオアラ…あなたって、意外と交友関係広いのね…!!」
「え!?"意外と"!?なんかチョコ姫、前からわたしのこと、知ってたみたいな言い方するね!?」
ラクラミキオアラが不思議そうな顔で言いました。
「いっ、いや!別にそういう意味じゃなくて…あの、その…ほら!ドイナを紹介してくれたときに、"わたしと同じで本を読むのが大好きな女の子"って言ってたからさ!ラクラミキオアラも本が好きで、インドア派なのかな〜、って!」
チョコ姫はアタフタしながらそう言って、ごまかそうとしました。ラクラミキオアラは、
「あ、そういう意味?まあインドア派といえばインドア派だけど、お散歩は大好きだよ!?ドイナと出会ったのも、お散歩で本屋さんに行ったときだったし!」
と言って、微笑みました。
それからラクラミキオアラとドイナ、チョコ姫の三人は、ペイズリー3世が魔法で少し長くしたステッキに跨って空を飛び、チョコのお城を目指しました。チョコ姫は生まれて初めてステッキで空を飛んだので、
「きゃ〜〜〜!!!!!」
と、この世の終わりのような叫び声をあげました。ラクラミキオアラは"この人、気絶しちゃうんじゃない!?"と心配になりましたが、ギリギリのところでチョコ姫は正気を保ちました。




