第125話 瓶は硬かった
チョコフィエルの自宅でドルレットにメールを送信したクララは、保冷剤をタオルで包み、右手の拳面に当てて冷やしながら、ドルレットからの返信を待っていました。ドルレットとドルフの記者会見をテレビで観ていたクララは、動画配信者ゴロツキーの発言に腹を立て、「こいつ⋯デチェバルに向かって、なんてことを言うんだ!!ふざけるな!!」と言いながら拳を握り、思い切り真下に叩きつけたのです。クララとしては、フカフカの柔らかいソファを殴ったつもりだったのですが、運の悪いことに、ちょうどそこにはクララが大好きなジャックチョコダニエルの瓶が転がっており、クララの拳は極めて硬いガラスの瓶と衝突してしまったのです。
「⋯⋯いっ⋯⋯!!」
クララは悶絶しました。"骨にヒビが入ったかも"と思うくらいジンジン痛みましたが、クララは風邪の症状が出たときには「酒は百薬の長!ジャックチョコダニエルを飲めば、余裕!余裕!」と言ってお湯割りを作り、頭痛のときも「あれ⋯頭痛がする⋯これはジャックチョコダニエルが足りていないという、身体からの訴えに違いない!」と言ってお湯割りを作るような人なので、病院には行かず、自分で冷やしていたわけです。
"あっ!!メール来た!!"
携帯電話でメールの受信箱を確認したクララは、心の中で叫びました。件名には『デチェバルです』と書かれていました。開いてみると、こう書かれていました。
『チョコレツィカさん、お久しぶりです!返信ありがとうございます!あのスーツ、自分で選んだのですが⋯似合っていませんでしたか!?すみません、頑張ってセンスを磨きます。笑 僕は自分でチョコレツィカさんのチケットを用意していたのですが、チョコ-1 グランプリのスポンサーであるヤスミン・ディニクさんが、安全性などを考慮してくださり、マジックミラーの防弾ガラスで囲まれた特別観覧席をチョコレツィカさんに用意すると、おっしゃっています。僕もディニクさんも、チョコレツィカさんが、特別扱いを受けるのは好きじゃない人だと、分かっています。でも、ディニクさんはオティリア達も特別観覧席で観戦出来るようにしてくださるとおっしゃっているので、チョコレツィカさんが承諾してくだされば、オティリア達の安全性も高まります。チョコレツィカさんにとってそうであるのと同じように、オティリアにとっても、チョコレツィカさんと対面することは、人生における重要な区切りになると思うのです。だから僕は、騒々しい一般席で対面するよりも、静かな特別観覧席でオティリア、コドリナさん、マリオアラさんと対面する方が良いのではないかと思っています。もちろん、僕も一緒に行きますし、既にチョコレツィカさんと面識のあるレオンテも一緒です。どうでしょうか?ご検討、よろしくお願いします!』




