第一章 第二話 世界の仕組みとはみ出し者
ざっくり前回のあらすじ、
転生させました。
アイと出会い、びっくりしました。
『名前をつける』ということが恐らく特別なことだろうと何となく分かった優生は、気を取り直して
「優生:今アイちゃんが言ってた『神脳』も気になるけど一旦俺の基礎情報とかわかる?ステータスみたいなのがこの世界にもあるのかもまだ分からないけど。」
「アイ:お答え致します!実際に見ながら聞いた方が分かりやすいと思うのでステータスを表示します!」
アイの元気いっぱいの声と共に優生の目の前にうっすら地面に透けている水色っぽいパネルのようなものが現れた。そこには晴間優生という名前の他に『HP』『MP』『攻撃力』『守備力』『素早さ』などあり、優生は本当に異世界転生したのだと改めて実感した。
「優生:これは……ガチもんだな」
「アイ:はい!ご主人様からしたらガチガチの異世界要素です!」
「優生:あと今更だけどなんかムズムズするからご主人様呼びはやめてくれ……」
優生は気後れしつつも今後話していく相棒に『ご主人様』呼びされるのは少し小っ恥ずかしいため訂正を求めた。すると少し遅れてアイが
「アイ:……承知致しました……では先ほど使っていたマスターというのはいかがでしょうか……?」
(「優生:おーい明らかにテンションが下がったぞ…まだ出会ってすぐなのに悲しませてしまうとは…。流石に申し訳ないけどそれでもご主人様はちょっとなぁ。あ、なら」)
「優生:マスターでもいいけど主人様とかならいいよ。何なら名前で呼んでもらってもいいし、どうしてもって言うならご主人様でもまあ…いいよ」
優生がそう言うとアイは嬉しそうに
「アイ:承知致しました!ではお名前でお呼び致します!」
「優生:オッケーオッケー。機嫌も戻ったことだしさっきの続きから教えてくれる?あのーステータスとかそこら辺から。」
するとアイは自信満々に、声高らかに説明してくれた。
「アイ:任せてください!まず今優生様が見えているこちらのパネル。これは『ステータス』といって自身の基礎能力を数値化したものとその他自身の現在の情報などが表示されています!基本的にステータスは許可しない限り他人には見えません。中には魔法やアイテムを使い強制的に『ステータス』を開示させることも可能です。」
「優生:ステータス開示は怖いなぁ。基本誰にも見せたくないんだけど、どうにかなるか?」
「アイ:もちろんです!お任せください!ついでに『神脳』の効果の一部も説明致します!『神脳』の中には『隠蔽』という能力があります。『隠蔽』とは簡単にいうと様々なものを隠したり認識、感知させないようにできるという効果のスキルです!」
アイがそう言うと同時に晴間優生という名前の上にロック中という文字が現れた。
「アイ:これで優生様のステータスは開示されません。しかし『ステータス』は身分証明に使用するため、それ用のステータスを後で作りましょう!」
「優生:ありがとう!この世界はステータスが身分証明書の役割を担ってるのか。......え?作っていいの?てか作れるの?」
するとアイは自慢するかのように
「アイ:私は『神脳』ですよ!隠蔽するのも工作するのも朝飯前です!ちなみに『神脳』というスキルをこの世界において所持している方は優生様のみです!なので基本こんな凄い事を簡単にできるのは私たち二人を除いて存在しません!二人というのは私と優生様のことです!」
優生は少し引き気味に
「優生:『神脳』ってやばすぎるな...思ってた何倍もとんでもスキルだなこりゃ。人に会ってもこのスキルのことは誰にも言わないようにしよう...」
そうして『神脳』の凄まじさを実感した優生は、次に『ステータス』に表示されている自身のパラメーターについて質問した。
「優生:『神脳』はとりあえず色んなことができるんだなぁって思ってればいいか。じゃあさ、この『攻撃力』とかそこら辺のこと教えてくれる?この数値が高いのか低いのかもできれば教えてくれ。平均も知っておきたいしな。万が一もあるs...」
すると待ってましたと言わんばかりにアイが割り込んできて
「アイ:そこなんですよ優生様!私も聞きたかったんです!まず聞かれたことをお答え致しますが、『攻撃力』『守備力』『素早さ』は優生様の身体能力を数値化したものです!聞きたいことはありますが一旦他を説明致します。
次に『HP』は優生様の生命力を数値化したものです。ダメージを受けたり物理的に命を脅かす怪我などをした場合この数字が減ります。減り方は様々ありますが例えば、何者かによる攻撃の場合、攻撃者の『攻撃力』と優生様の『守備力』を参照して『HP』が減ります。
後、『HP』の値が低いからといって行動に制限がかかるなどはありません。しかし怪我などは『HP』の値とは別に肉体に負荷がかかります。例えば、骨折や欠損などは『HP』の値が回復してもその怪我が治るとは限らないという事です。
最後に『MP』です。『MP』とは、この世界で『魔法』を使う時や『魔力』を使う道具やシステム、行為をする時に消費するポイントです。『MP』が0でも『魔法』などは使えますが代わりに『HP』を多く消費します。そのため『魔法』や『魔力』が広く浸透しているこの世界において『MP』は『HP』と同様、生活する上でかなり大事な要素の一つです!
と、こんな感じで説明してみましたが、私からも質問していいですか!というか質問します!優生様の『MP』は年齢的に見たら平均より少し多いくらいです!でもでも!それ以外の『HP』、『攻撃力』、『守備力』、『素早さ』に関しては現在のレベルと釣り合ってない!というか高すぎます!なんですかこのふざけた数値は!この数値は『冒険者ランク』で言ったらプラチナ級…いやダイヤモンド級…もしかしたらそれ以上の等級の数値にレベル1の時点でなってますよ!こんなの見たことも聞いたこともありません!』
そう興奮気味にアイが言うと優生は、『冒険者ランク』という言葉に興味を持ち
「優生:『冒険者』、なんてものがこの世界にはあるのかぁ。面白そうだなぁ〜。」
なんて呑気なことを言っている優生に対しアイが
「アイ:優生様!私の質問に答えてください!その後ちゃんと教えるので先に私の質問に答えてください!」
「優生:分かった分かった。俺も分からないけど、もしかしたらこの世界に来る前の情報が引き継がれているかもしれないって事かな。
俺は前の世界でジジイにしごかれまくってたから体は割と強かったんだ。こう見えても熊が跋扈する山を丸腰で一週間サバイバルできるぐらいには強かったんだぞ〜。何回も死にかけたけど。まだガキの時だったからな〜ジジイにしごかれる方が嫌で怖すぎて熊とか眼中に無かったわ。今思うとデカくて怖いな、熊。」
優生が軽く不幸自慢をするとアイが
「アイ:魔法も武器もない状態でそんなとこに…優生様のお祖父様は死刑の執行人か何かですか?でもまぁ、前世の肉体の情報などが引き継がれているというのは正解かもですね。むしろそういうとんでもエピソードとかがないと納得できませんし。私は無理やり納得できたので優生様の質問にお答え致します…。』
「優生:なんか…その…まぁ…うん…お願いします。」
「アイ:今更ですがここは『シトの平原』といって『危険度Fランク』の平原エリアです。見晴らしが良く、モンスターも群れをなさず、そのモンスター自体も『危険度Fランク』と最低ランクの平原です。新米冒険者や商人など強いモンスターと戦うことを目的としない人たちにとっては最高の平原です。基本平坦ですし。」
「優生:ほほーならここに転生できてよかったのか。ワンチャン他のとこなら転生した瞬間にお陀仏だったかもしんねーし。」
「アイ:はい!しかもここの平原は色んなエリアと繋がっているためどこの国から来たのかと問われてもある程度誤魔化せます!まあ『神脳』というスキルがあれば誤魔化す必要もありませんけどね。誰にも見抜けない『嘘ステータス』を簡単に作れますし。とにかく、ここはモンスターが蔓延るエリアの中では危険度最低ランクの平原です!
そして優生様が気になっていた『冒険者』というものは、ほぼ全ての国から村や町にかけて存在している『冒険者ギルド』に所属している方達のことを指します。『冒険者』の主な仕事内容は、『国際冒険者組合』という『冒険者ギルド』の大元の組織が発行した依頼や『各冒険者ギルド』がそれぞれ発行している依頼などを、個人またはパーティーを組んで依頼達成をする、というのが基本的な仕事内容です。
優生様が冒険者になりたいとお考えなら、まず支部でいいので『冒険者ギルド』に向かい冒険者登録をしましょう!登録に必要なものは今ご覧になっている『ステータス』と登録料の『銀貨2枚』です!『ステータス』は後で一緒に作る嘘の方を使いましょう!」
「優生:『ステータス』の方は後でやるとして、無一文だしきついな…まず銀貨2枚ってどれくらいなんだ?」
「アイ:そうですね…銀貨2枚は、日本円にすると大体200円ぐらいの感覚ですね。後、無一文じゃありませんよ。インベントリを見てみてください!」
「優生:え?うん」
言われるがまま、優生がインベントリを開く
「アイ:この通り、金貨10枚、日本円にすると約10万円相当を持っています!おそらく転生する際に受け取った『餞別?』とかでしょうか」
優生は10万円相当を持っていると聞いた途端、目の色を一瞬で変え
「優生:10万円持った状態からのスタートは流石に熱いぞ!『冒険者登録』もできそうだし!この世界の物価はわからんが数日は生活できそうだ!」
ほんの数十分前に死んでいたとは思えないほど活力に満ちた優生は
「優生:よし!早速だがギルドのある町に行こう!早い方がいいしな!てことでアイちゃん…道案内とかって…」
優生が少しへりくだって聞くとアイは嬉しそうに
「アイ:もちろんいけますよ!任せてください!なんならもっと頼ってもらっても大丈夫ですよ!それはそうと道案内はしますがまず目の前のこれをどうにかしましょうか…」
アイの言っている『これ』とは転生した瞬間にぶん殴って気絶させた、冠をかぶり、大きな角が生えている悍ましい配色をした蛙のことだ。転生した際に一発、その蛙の顔面にパンチをぶち込んだことを思い出し、優生がここで
「優生:こいつはもう…逝っちゃった?モンスターって倒しても姿形とか残るタイプの世界?」
「アイ:一つずつお答え致します…。まずこのモンスターはまだ生きています。『HP』は1だけ残ってますね。こんな綺麗に1だけ残すのも聞いたことありませんが…後この世界は仮に倒し切ったとしてもモンスターの体は残ります!なのでそこから素材を採取したり色んなことに使ったりします!モンスターによってはそのモンスターのお肉を食べたりもするらしいです!
今回のこの蛙は、『シトの平原』ではよく出現している『バルフログ』の『亜種』の『キング個体』です!簡単に言えば『突然変異個体』ですね。通常種とは別格の強さを誇る、それが『亜種』であり、さらにその『亜種』の『キング個体』、元がワースト上位を争うモンスターとは思えないほどに災厄級の個体です。
『亜種』も『キング個体』もどちらも出現率がかなり低く、素材もレアなので見つけたらすぐに討伐されます。しかし『亜種』か『キング個体』なら今まで報告は上がってますが、『亜種』で『キング個体』というのは前例がありません。
まあ『ステータス』を見ればわかりやすいですね!この数値なら『オリハルコン級』か『アダマンタイト級』の冒険者を最低一人は必要とするかなりの緊急事態です!でも優生様が倒しちゃったのでどれくらい強いのか分からず終いですね。早く倒して素材にしちゃいましょう!」
「優生:それもそうだね。どうせならスキルとかで倒してみたいけど、無いみたいだしね...。じゃあ殴るか」
そうして優生は拳を強く握りしめる
「優生:もし人間に転生したら、その時はめっちゃ謝るよ...悪いね...俺も死ぬわけにはいかないもんでっと」
ゴンッ!と鈍い音が周囲に響いた。手応えはあった。しかし
「アイ:あれ?」
「優生:んあ?」
確かに殴った。一切の手加減もなく、最初に殴った時と同じくらいの力で殴った。しかし、まだこの蛙は生きている。気を失ってはいるが呼吸はしている。
「優生:えーっと。モッカイイッテミヨー。」
苦しまないよう、一撃で終わらせるためにかなり強めに殴ったが、倒せてないとわかると優生は気まずくなった。名付けられたことでより人っぽくなったアイにもその気まずさは伝播し
「アイ:…テイク2…いきましょうか…」
「優生:…気を取り直して。
あんたが人間に転生できたなら、そん時は一杯奢らせてくれ…じゃあな!」
再びドンッと、鈍い音がした。さっきよりも少し強めに殴ったため今度こそとどめは刺せたと思った。
「優生:やったか…よしっ。…命に感謝して、素材とろっか…。」
「アイ:そ…そうですね!手順、教ちゃいます!」
少しテンポが悪いが今度こそ倒せたと思い恐る恐る確認してみると
「優生:こりゃぁ…あきまへんなぁ…」
関西圏の人間ではない優生が関西弁をこぼすほど全く倒せていなかった。
「アイ:もう何発かやってみましょう…」
「優生:...だね...。」
アイに促されるまま優生は何発か打撃を加えた。
しかし一向に倒せる気配がしない。ダメージが通っている、が倒せない。
「優生:えっと、どうしよっか…なんか無駄に苦しめてるだけだよね?これ。」
「アイ:モンスターといえど少しかわいそうになってきましたね…。『神脳』の私でもなぜ『倒せない』か全く分かりません。現状を整理し様々な観点から考えてみた結果、今分かることは、優生様は『命を奪う行為、行動』が、何か不思議な力によってできない状態になっているということ。あくまで私の考えですが、おそらくこれも転生する際に授かった『ギフト』、あるいは『縛り』だと考えました。現状デメリットしかありませんけどね。
この仮説が正しいのなら優生様は一生モンスターを討伐することができません。もちろん人の命も奪えません。優生様は違う世界から来ているのでおそらく優生様に加護を授けた神はそちら側の世界の神だと考えられます。その場合、違う世界の神からの『ギフト』となるのでこちらでどうこうできません...なので優生様はこの呪いの可能性もある『ギフト』を背負ってこの世界で生きていくことになります。
この場合ソロで『冒険者』として生きていくのはほぼ不可能になりましたね...。パーティを組めば優生様が弱らせて別の方が倒す、という形をとれますがまあ難しいでしょうね...」
アイから衝撃的なことを言われショックを受けるもここで優生は逆転の発想を出す。
「優生:...アイちゃん。この世界ってモンスターを仲間にすることってできる?」
そう、優生が思いついた逆転の一手とはモンスターを従え、モンスターと共に『冒険者』になることだった。
蛙に迫らせます。
投稿ができてませんでした。
申し訳ない…
次のところはもうできてるのですぐ出します。




