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第一章 第三話 ヒロインは人間でなくても成立する? 

ざっくり前回のあらすじ、

『ステータス』を知りました。

この世界のことを色々知りました。

蛙をたくさん殴りました。

冒険者には向いていないことが分かりました…

優生は両生類や爬虫類がそこそこ好きだ。それだけが理由ではないが。


「優生:よくわからない人間とパーティを組んで利用されるのも癪だし、『モンスターを仲間に』っていう作戦なら裏切りとか方向性の違いとかもなさそうだし。ある程度気持ち的にも楽だしさ。」


優生は転生前から人間の汚さを知っていた。もちろん全員が全員汚いわけではないことも優生は知っている。だがそれでも優生は『人間』というものに嫌悪感を抱いている。何より優生を殺した者らも『人間』だったのだから。


アイが質問に答えた。


「アイ:『モンスターを仲間にする』という行為は現状可能です。この世界で禁止されているわけでもないので大丈夫だと思います。しかし『モンスターを仲間にする』という行為自体がまず珍しいです。よくあるのは『契約』せずにモンスターと共存する、であったりモンスターと仲良くなるなどですね。


あとは『仲間』にするのではなく、家族やペットなどの関係になる契約はあります。契約といっても優生様が私にしてくださったように『名前』をつけるだけです!まあ失敗することもありますが。


『名付け』による契約には大きく分けて二つの種類があり、双方の同意の上で契約する『通常契約』と片方の同意なく無理やり契約する『奴隷契約』というのがあります。


『通常契約』の方は先ほど言った通り互いの同意の上で契約を結ぶというものです。仮に力量差が圧倒的であっても双方の同意がなければ契約できません。


そして双方の同意が得られない状況でも契約できるのが『奴隷契約』です。互いの同意がなくても一方的に契約できますが、代わりに手順が複雑であったり準備にかなり時間もコストも使うためあまり使われません。あと『奴隷契約』は禁止されています!なので『奴隷契約』を扱うものは基本的には犯罪者か国のトップくらいしかいません。もっとも、国の上層部が『奴隷契約』を使用している事実は公にされていませんが…。


なのでやるなら『通常契約』ですね。『通常契約』の中にも色々あって、『人科』以外のモンスターと契約する場合に使う『従魔(じゅうま)契約』というものがあります!これは『人科』の者が『人科』以外のモンスターを『従魔(じゅうま)』にする時に使う契約方法です!」


「優生:なるほどね。あれ『人科』って何?人間以外の人っぽいやつとかいるの?」


「アイ:はい!優生様のような人族以外の血が混じっていないものを『人族人科』といい、『魔族』の血が流れている『人科』のものは『魔族人科』。『獣属』の血が流れている『人科』のものは『獣族人科』など他にもたくさん種類があります!契約の話に戻りますが、大元の種族がどれであれ『人科』とつくものなら契約できます!」


優生は『魔族』や『獣族』という言葉に興味が湧いたが先に


「優生:なるほどね〜。人間以外にも人っぽいやつはいっぱいいるんだな〜。てか話遮ってごめんね。さっきの『従魔契約』のくだりから教えてくれる?」


「アイ:全然大丈夫です!分からないことがあったらいつでも聞いてください!では先程の続きからお話しします!


『従魔契約』というものがあり、意思を持たないモンスターの方が多いためこの契約方法ができました。契約の仕方はとてもシンプル!契約主とモンスターの力量差が圧倒的だった場合『従魔』にできます!目安は…そうですね…。とりあえず契約主の力量がモンスターを最低二回(ふたまわ)り以上上回っていると契約できると思います!


まあ一旦起こしてみますか、この蛙さん。おそらく優生様なら難なく契約できると思うので。」


アイに言われた通り早速蛙のようなモンスターを起こしてみる。


「優生:あのー。ちょっと起きてもらえる?…もしもーし。まず聞こえてんのか?これ。いやそもそも言葉とか分かるのか?」


優生が疑問に思っていると、ここですかさずアイが


「アイ:優生様には及びませんがここまで強力なモンスターなら普通に対話できると思います!まず起こさないとですが…。う〜ん…。くすぐってみるとかはどうです?もしかしたら起きるかもです!」


優生は半信半疑ながらも


「優生:それで起きたら起きたでなんともだがな…。ちなみにこいつ…。雄だよね?生まれてこのかた、女性とスキンシップを取ったことがないもんでね……初めてが雌蛙は…ちょっとね…。」


優生がそういうとアイは張り切って答えた


「アイ:雄蛙です!雌だったらまず従魔の提案を棄却しています!蛙といえどヒロイン枠を譲るつもりはありません!」


優生はホッとすると同時に


「優生:よかった〜雄か〜。え、ヒロイン狙ってたん?ま、まあ一旦こいつを起こすか…」


そうしてアイからの唐突な告白を聞かなかったことにして、早速蛙のようなモンスターをくすぐってみる優生だったが反応がなく別のことを考えようとした矢先とうとう反応があった。


「?:うげっ」


「優生:おお。起きたか?」


優生は手を止める


「優生:寝起きで申し訳ないけどちょっといい?話したいことがあって」


蛙のようなモンスターは一瞬で今まで起きたことがフラッシュバックした。

自分が喰おうとした人間に顔面を殴られ意識が飛び、やっと目が覚めてきたと思ったら下腹部をより強い一撃で殴られるもなんとか耐えた。しかし顔面を殴られた時に喉に負担がかかり一時的に声が出なくなっており、降参を伝えられずに殴打され続け、限界を超えてもなお止まない打撃の雨に新しい扉を開きそうになったところで意識が飛んだ。そして今に至る。


最初は捕食対象と思っていた。しかし次第に恐怖の対象となり、逆に今では恐怖を感じない。むしろ新たな考え方が育まれ、優生のことを自身の『所有者』と感じるまでとなっていた。


「?:喜んで!僕も兄貴と話したいと思ってました!」


あまりにも予想外の反応に、アイの時と同じように


「優生:えっ。ま、まあよろしくね。」


少し引き気味だが話を続ける


「優生:単刀直入で悪いんだが俺と従魔契約してくんね?いやならいいけど」


すると間髪入れず


「?:もちろん大丈夫です!むしろ嬉しいです!僕も兄貴に仕えたいと思ってました!」


「優生:まじかよ…。思ってたんと違うことが起きまくってる…。なんだこの異世界…蛙が舎弟みたいになる世界ってなんだよ…。


まあいいならよかった。てことで名前をつけたいがその前に。兄貴呼びはやめてくれ…お前も名前呼びでいいから。」


すると蛙のようなモンスターがぺこりと頷いて


「優生:まず特徴をおさらいするか。蛙っぽい、でかい、一本角、赤黒い配色、王冠、見た目の特徴はこんなもんか。あとは蛙の別の言い方…カワズとかだっけか。なら…お前の名前は『クリムレーズ』、なんてどうかな?ネーミングセンスは抜群にないから勘弁してほしいが。」


優生は、ゲームなどで名前をつけるときはいつもふざけているため、真面目に名前を考えることが苦手なのである。だが、割と真剣に考えていることはアイはもちろん目の前の蛙のようなモンスター、いや、今はもらった名前をとても喜んでいる『クリムレーズ』にも伝わっている。むしろ真剣に考えていたことが伝わっているからこそ嬉しいのだ。


「クリムレーズ:ありがとうございます!優生様!こんな僕ごときに真剣に名前を考えてくれるなんて…!優生様には遠く及びませんが、僕、優生様の力に絶対になってみせます!」


「優生:嬉しいこと言ってくれるね〜。自分でこの名前考えたけど、少し長いから呼ぶときは『クリム』か『レーズ』って呼ぶわ。それでいいかな?」


「クリム:もちろん大丈夫です!僕の名前はしっかりと心に刻んであるのでどんな呼び方でも構いません!僕はこれから『晴間優生・クリムレーズ』として精一杯頑張ります!」


クリムレーズが喜んでくれて嬉しかった優生だが最後に聞き流せないことを聞いた


「優生:『晴間優生・クリムレーズ』…俺の名前が名字みたいになってる…?」


「アイ:お答え致します!まず、この世界において優生様はご自身のお名前を再登録していないので前世の名前が仮で登録されています!なので今みたいに『従魔』を増やしたり『家族』が増えたりすると主人である優生様の名前か、登録した家名が『従魔』や『家族』の個体名の前に付きます!お気になさらないのであればこのまま再登録いたしますし、心機一転!変えるのもありですね!」


またしても新情報が入ってきてそろそろ頭がパンクしそうな優生だが


「優生:な…なるほどな。じゃあこれを機に名前変えてみるか。この世界だとみんなどんな感じの名前なんだ?」


「アイ:そうですね…。優生様の世界でいう『外国人』さんのような名前の方が多いですね。」


「優生:そういえば、俺の記憶を見ているかのような発言をしてるが…まあ今はいいか。疲れたし。でも『外国人』っぽい名前か…なんとなくカタカナが似合う名前ってことだよな…。今の名前も残しつつ、………………決めた。


 俺の名前は『サンドラ・ノーキル』


晴要素は『サン』を入れようと考えてて、そしたら何故か『ドラ』が付いたよね…『ノーキル』はそのまんま。誰も殺せないし誰も殺すつもりはない。俺の初キルがクリムになりそうだったけど、あれはまあ…異世界来てすぐだったしなぁ…思ったよりも俺の打撃が強かったこともびっくりだし…。


まぁとにかく、俺の名前は『サンドラ・ノーキル』。家名は『サンドラ』だ!


すると、表示されていた『ステータス』の名前の場所が変わっていく。


「ノーキル:グッバイ。晴間優生。一応忘れないと思うぜ、色々あったし…。」


こうして新たに『サンドラ・ノーキル』、『サンドラ・クリムレーズ』となった一行(いっこう)は


「ノーキル:じゃあ改めて。この後町に行こうと思うんだが、流石にこのいかにもモンスターの風貌で町には行けないし。人間みたいな姿になれたりしない?流石にそんな都合のいいことにはならんか」


そう言った優生、改めノーキルの期待をいい意味で裏切るように


「クリム:任せてください!よっと!」


クリムの掛け声とともに紫色にも見える魔素の煙が立ち込めた。その魔素の煙が晴れると、先の蛙のようなモンスターとは似ても似つかない、というか違いすぎる美少女?が目を瞑ったまま立っていた。赤髪ショートヘア、額(ひたい)の少し上には角、身長は150cmぐらいで、かなりスレンダー体型な女の子?という感じだ。


「ノーキル:...w。可愛い。」


「アイ:……ッチ」


「クリム:じゃーん!どうですか!これなら町にも入れますよね!」


「ノーキル:男の子なんだよねw...?」


ノーキルが驚きを通り越して半笑いしながら聞くと


「クリム:もちろんです!ほら!」


ここではとても表せないが『男』を証明できるモノを見せてきた。

ノーキルは『男の子』というのが分かった。


「ノーキル:ね。じゃあしまってもらってね。一旦話をしようか…。」


こうして新たに従魔……改め家族が増えた優生一行。異世界とのギャップに慣れるのはまだ時間がかかるだろう。

そろそろ町に向かいたいですよね。

クリムは男の子ですが男の娘になるかもしれません。

ヒロイン候補はまだ出てくるかもしれません

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