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【第14話】二人のスキル

バサッ


「はぁ......はぁ......」


 意識が無くなったあと、また変な夢を見てしまった。あの日、テントで見た悪夢、それと今回の悪夢。この世界、少しは慣れた気がしてたけど、やっぱり疲れてるのかもしれない。


(頭痛い......)


 隣でリズが寝ている。そういえば、スキル鑑定してたんだった。


「起きて、リズ!」


 リズの肩を揺らす。リズはぼーっと目を開けた。


「ん......な、なに......寝てた?」


 リズが辺りを見渡す。僕も同じように後ろを見ると、執事服を着た、細身で高身長の男が立っていた。若々しくて、見た目も中身もスマートな感じだ。

 その男は、これまたスマートに微笑んで言った。


「スキル鑑定のため、就寝魔法を使わせていただきました。睡眠中でないとスキル鑑定ができないのでして」


(それ、先に説明しとけよ......)


「そ、それより貴方は誰?」


リズは目を擦りながら問いかける。


「こ、これは失礼しました!私、スマート・スリムと申します。貴族担当のスキル鑑定士兼街の案内人をしております」


("スマート"で"スリム"......)


 スマートと名乗るその男性は、これまたスマートに一枚の封筒を渡してきた。


「ニヒリスター家のリズ嬢様がディオスへいらっしゃったとの知らせを受け、参らせていただきました。以後、お見知り置きを」


「こ、こちらこそお願いします!」


 スリムさんに合わせて、僕らもぎこちなく一礼した。


「し、しかし困ったわね......」


リズが小声でそう言った。


「ん、何が?」


「そりゃ、私がディオスに来てるのが世間にバレてるってことよ!一応私たち、家出中なのよ?もしおばさまの刺客でも来たら......」


「そんなドレス着てよく言うよ......自分からバラしにいってるじゃん」


「貴族にとってドレスは"すてーたす"なの!そんなしょぼい服着てるタカハシに言われたくないも〜ん」


(しょ、しょぼい服......)


「ま、まぁまぁお二人とも。スキルの結果が出てますよ?」


 スマートさんは二枚の封筒を渡してくれた。ひとつには『高橋』もうひとつには『リズお嬢様』と書かれている。なんか僕とリズで対応違くないかなぁ。


「ま、まぁいいや。これでやっと分かるんだね......僕らのスキル!」


 リズと顔を合わせて、恐る恐る封筒を開ける。


「ど、ドキドキするわね......いくわよ?」


「「せーの!」」


 バンッ!と机に置かれた二枚の鑑定書。ひとまず、自分のスキルに目を通した。


「高橋 蒼空:スキル『能動的虚無主義』」


能動的虚無主義(アクティブ・ニヒリズム)。決意や物事への執念、ありとあらゆる"心の強さ"が、そのまま"身体の強さ"として表れる。己の限界を信じなければ、必ずや無限の強さを手に入れるだろう」


(......びみょう)


 そう思った。きっと悪くないスキルなんだろう。オオドラゴンを倒せたのも、リズを救いたいという決意の表れだったのなら納得だ。

 でもなんだか、なんとも言えない。期待しすぎていたのかもしれない。


「り、リズはどう?」


 気持ちの昂りを取り戻すようにリズの方を見る。


「が、ガーン......」


「ん?」


「こ、これ見て......」


「リズ・ニヒリスター:スキル『道連れ』」


道連(みちづ)れ。このスキルを持っている者が命を失ったとき、その者は死に際に任意の対象者一人の命を無差別に奪うことができる」


(な、中々に酷いスキルだな......)


「こ、こんなスキル......もうお嫁にいけないよぉ!!」


「あー......スペーロスペーロスペーロスペーロぼそぼそ......」


 鑑定書相手に必死に祈りを捧げるリズ。そんなリズを見て、やっぱり自分のスキルを誇らしく思った。

【異世界豆知識】

"スキル鑑定"

スキル鑑定には特別な技術が必要で専用の資格がある。

スキル鑑定士は給料や安定性などの待遇が良い。

鑑定家の専門学校や塾があり、目指す人が多い。

スキルや魔法は田舎の村ではあまり普及しておらず、都会のイメージが強い。そのため、田舎の方ではスキル鑑定士というだけで結婚には困らないと言われている。

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