【第15話】夢の冒険者登録!
「うぅ......私って貴族なのに......」
スキル鑑定からずっとこう。俯き気味で、今にも泣きそうに下唇を噛み締めてる。教会を出て少し街を見て回ろうってときに、この様子じゃ楽しめないな。
「そうは言っても仕方ないよ。変えれるもんでもないんだし」
「タカハシのスキルはいいよね。強そうだし、カッコイイし......」
リズは、目も合わせずにそう言った。
("カッコイイ"か。正直、未だに実感が湧かない。決意が力になるなんて、僕には勿体ないスキルだ......)
「スキルはその人の人間性を表すと言われてますから。それだけに、相当ショックだったようですね。リズ嬢様」
スリムさんが僕に耳打ちする。
「ショックなぁ......。何か、元気の出る物でもあればいいんだけど」
チラッと街を見渡す。目に映るのは、魔導書販売、不動産賃貸の広告、魔獣召喚講座......。
(なんだか本当に異世界って感じ......)
その中にひとつ、豪華な看板が立っている。
『冒険者登録所』
「ねぇスリムさん、あれって?」
「あぁ、あれはですね。冒険者の......」
スリムさんが言いかけたところで、リズ顔がバッと前を向く。
「ぼ、冒険者登録!!」
目を丸くして、興奮気味に小さく震えている。
「この世界では、冒険者は理想の職業なのです。リズ嬢様の父ディフィン様も貴族である傍ら、S級冒険者としても名を馳せていましたからね」
スリムさんがボソボソっとそう言った。
「へ、へぇ......でも確か、小林くんも冒険者だったような」
(思ったより凄いんだ。小林くん)
「冒険者ってのはね、この世で最も自由な職業なんだよ!依頼所で依頼を受けたり、魔獣を退治して報酬を貰ったりして、とにかくめっちゃすごいの!!」
リズはいつにも増して子供っぽく熱心に語る。
「ほらほらタカハシ!じっとしてないで行こ!!」
さっきまでの落胆が嘘だったかのようにリズは僕の腕を引っ張る。今までにない強い力で。
「ちょ、ちょっと待ってよ!僕たちでもなれるものなの?」
「冒険者登録は原則誰でも可能ですよ。簡単な試験こそありますが」
「簡単な試験?」
「志望動機や学力検査をするだけです。現在のお二人でしたら、十分合格可能だと思いますよ。その場で受けれますから、行ってみては?私はこの場でお待ちしておりますので」
スリムさんは雛を見守る親鳥のように優しげに微笑んでいる。
「それなら行ってみる?特にこれからやることもないし」
「行く!これで夢だった冒険者になれるんだ〜!!」
リズはテンション高めにそう叫んだ。うるさかったけど、元気な方がリズらしいなと思った。
◆午後4時/冒険者登録所◆
「すいません。冒険者登録をお願いしたくて......」
受付の美人な女性が答える。
「分かりました。ではこちらにお進みください」
「は、はい」
ドアを開けると、思ったより普通の教室。ひとまず席に座ると、なんだか高校生活を思い出した。
「これから、試験を始めます!」
女性は声を張り上げて、教室中に響き渡った。
次回は5月9日19時頃投稿予定です!
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追記
諸事情により投稿日は延期になります!
来週までには投稿できると思うのでお待ちください!




