おねしょとどっちがましだろうか
師匠に励まされリネに癒してもらった次の日の朝、夢にみんなが出てきてくれなかったことをに寂しさを覚えながらも身体を起こすと、図ったみたいにこんこんと扉を叩く音がする。
「おはようございますナズナさん。起きていますか?」
「アリシアさんおはようございます」
「失礼しますね」
「おはよーナズナちゃん」
扉が開いてアリシアさんが部屋に入ってきて、その後ろからグーデルさんが顔を覗かせる。
「グーデルさんもおはようございます」
「うんうん顔色が良くなったね」
「そうですね」
「ありがとうございます」
「診てもよろしいですか?」
みる?見る、視る、診るかな?
「はい」
私は毛布を捲って再びベッドに横になるとアリシアさんがベッドの足側から身を乗り上げて、私の膝を立てて股を開いて寝間着のスカートを捲り、股につけられていた当て布を剥がす。
薬が塗られていたのか、汗をたくさん掻いていたのか、スースーとした感じがする。
「くすぐったいかもしれませんが我慢してくださいね」
「わかりました」
触れられる覚悟をしていたのに何も来ない。
「ちょっとこの手では無理そうでしたね」
「それならー私が代わりに」
グーデルさんがアリシアに代わってベッドに上がり、私の股に触れて優しく左右に開かれる。
スースーとするせいか空気に触れるだけでむずむずとしてくすぐったい。
「もう血も腫れも無いねー流石精霊なのかな」
響くほどの声量じゃないはずなのに、グーデルさんの声と吐息がむずむず感を強めていく。
「膜も無事だしエリュちゃんも流石みたい」
「そうですね。もうお風呂に入っても良さそうです」
アリシアさんが上からかけた声に何かが奥から込み上げてくる。
「でもー昨日の今日だし今日はやめといた方がいいかも」
「それもそうですね」
二人の声がむずむずじんじんと股間に響き、我慢の限界を超えそうになる。
そしてわふっと聞こえた瞬間に驚いて気が散った瞬間に溢れでてしまう。
「あらー…」
「おや…」
「ごめんなさい…そういえば昨日トイレに行ってなかったです…」
「大丈夫。寝起きにごめんねーすぐに綺麗にしてあげるよ」
上体を起こしてグーデルさんを見ると不思議そうに手を振っている。
「あれー?杖が出ない…」
「私のおしっこのせいかも…寝惚けて師匠の服を食べて服に涎をつけてしまった時、師匠も魔法が使えなくなりました」
「今タオルを持ってきます」
濡れずにすんだアリシアさんが部屋を出ていき、リネがくぅーんと悲しげに鳴いて縮こまる。
「おはようリネ。リネのせいじゃないから気にしないで」
「そうだよーナズナちゃんはとりあえず寝間着を脱ごうか」
「はい…」
そうしてあれやこれやと私は結局身体を洗うためにお風呂に来ていた。
「唾液と尿に魔力が含まれているのか…不思議だな。血に魔力が含まれているのは有名だけど唾液と尿は初耳だな」
私の髪を洗ってくれながらヘゼルさんが呟く。
大きいお風呂が好きらしくお城に来ると必ず入っているらしい。
「流すぞ」
頭からお湯がかけられていき、手早く髪をまとめてタオルを巻かれていく。
「アストルさんもカルグレロさんもヘゼルさんもなんだか手慣れてますね」
「子供の相手はなんだかんだ多いからかな」
「ペーチャさんともお風呂に?」
「小さい時はな。さっお湯に浸かろうぜ」
「はい」
念のため恐る恐るお湯に浸かるけど別に股が滲みたりすることもなく、とりあえず大丈夫そうだ。
リネは今日も元気に犬掻きで泳いでいて、私を見てわふっと吠えるので手を振って応える。
「ペーチャがさ、俺達に魔法を教えてくれって言い始めたんだけど…何か知らないか?」
ヘゼルさんが隣に座ってリネを見ながら言う。
「何か…わからないですね…」
「そうか…」
「教えてあげないんですか?」
「迷ってる…フィシェルからの報告次第だな」
フィシェルさんは今王子様が教えてくれた村の調査に行っている。
セイレーンが本当にいるのかどうかの。
「もしもセイレーンさんがいなかったら…」
「教えてやろうかな?その方がペーチャもきっと気が紛れる」
「それは違うと思います…ペーチャさん約束を守って毎朝歌ってるって言ってました。気を紛らわすとか、そんな軽い気持ちで言ったんじゃないと思います…」
「そうだな…今日もちゃんと歌ってた。熱を出して寝込んだ時も欠かしたことがない」
つい失礼なことを言ってしまったかと思ったけど、怒ってはいなさそう。
「でも理由くらいは正直に話してもらいたいもんだよ。ナズナかお姫様になら話してくれるのかな」
「それは…理由によるんじゃ?少なくともヘゼルさんとグーデルさんに言えないってことは恥ずかしいからか、二人に関係する理由だからとか?」
「そうだろうな。でもな家族や同胞がいるならそっちに習うべきなんだ。特殊な魔族は特に」
「大師匠も似たようなことを男の子に言っていました」
「まあ教えてこなかったのそういうことなんだ。ペーチャのために怒ってくれてありがとう」
「いえそんな…」
まさかお礼を言われるとは思わなかった。恥ずかしくなって顔を湯につけて誤魔化す。
「ペーチャとまた近いうちに遊んであげてくれ。いつか海に帰ったら簡単には会えなくなるだろうからさ」
もしかしてペーチャさんが魔法を習いたい理由ってそれなんじゃ?
「さてと、上がろうぜ」
「ぷはぁっはい…リネ上がろう?」
浴場を出て脱衣場でヘゼルさんが髪を乾かしてくれて服まで着せてくれて、リネのこともふっさふさに乾かしてくれる。
そしてヘゼルさんと別れて食堂で朝食をいただき、今日は何をしたらいいか聞きにアリシアさんと大師匠を探してリネの案内で実験室に向かう。
「おはようございますナズナです。お時間よろしいでしょうか?」
扉が開いてグーデルさんが中に入れてくれるけど、中にはヘゼルさんとアリシアさん、大師匠にフィシェルさんもいて邪魔だったかもしれないと感じると、リネも同じことを思ったのか身体を狼大から子犬大に縮めて私の肩に飛び乗る。
「どうかしたか?ナズナ」
「今日は何をお手伝いしたらいいかなと思いまして」
大師匠の問いに正直に答えると、大師匠が顎に手を当てて視線を泳がせる。
「そうだな…やはり三人の治療が急務か」
「エリンの砲身を真似りゃいいんだろ?」
「ああ、わしも手伝うから強度の心配はいらん」
「わかりました」
とりあえず今日の予定は治療に専念することになりそうだ。
お腹の紋様も残ったままだから魔力が足りるといいんだけどなぁ。
セイレーンに会えたのか聞きたいけど、今は気持ちを彼女らに向けないと。




