どこまでが現実ですか?
「夕斗君、入るわよ」
「藤崎さんですか?どうぞ」
扉が開き、藤崎が部屋に入ってきて、椅子をベットの脇から出し腰かけた。
「まずは結果を報告するわね。上と話し合った結果、あなたはまだ14歳だけど特別に魔法を学べる事になったわ。それに伴って学校を転校してもらうけどいいかしら?」
「いいかしらって・・・。僕、中学生なんですけど、周りは高校生ですよね?」
「それは心配ないわ。学校っていても魔法を習うための塾みたいなとこなの。だけどそこがあなたの学校からだと遠いのよ。だから、学校を転校してもらって、その塾に通ってもらいたいの」
「あ、そういうことですか・・・。わかりました。その転校っていつからですか?」
「そうね・・・。今ちょうど7月の頭だから夏休み明けからがちょうどいいわね。でも、療養のためもう今の学校に行くことはないと思うわ。なにか、他に質問ある?」
「学校とか全く関係ないですけどいいですか?」
「ん?なんでもいいわよ」
「質問なんですけど、あの出来事が夢ではないとしたら、どこまでが現実なんですか?」
「どうしてそんなことを質問するの?」
「あれが本当に現実だったら、右足の膝から下が今の僕についているはずがないんです。だから堂なんだろうと・・・」
「ああ、そういうことね。夕斗君を保護した時の映像があるけど、それ見てみる?」
「そんなのあるんですか?見せてください」
「ええ、いいわよ。ちょっと待ってて、準備するから」
そう言って藤崎は立ち上がり部屋から出て行った。
そろそろ日は沈み夜になろうとしている時のこと。ある公園内の歩道に倒れた少年と思われる人影があった。そこへ二人の全身黒一色の男女2人が駆け寄った。
「おい、大丈夫か?」
そのうち男が声をかけた。それと同時に女は脈や瞳孔を調べた。
「大丈夫。気を失っているだけ。周りに気をつけて、まだ近くにいる可能性が高い」
「おう」
しばらく二人はその場でじっとし、周りを注意深く眺めた。すると、男が
「いた!!」
と女にささやいた。
「どこ?」
「あそこの木の下だ」
そう言い男は右手ですぐ近くにある木を指差した。
すると、女の目に先ほどまで何もなかった空間に人型のシルエットが浮かびあがった。
「うん、見えた。奏は攻撃してこないか警戒に当たって。あたしは彼を安全なところに送る」
そう言い女は奏と呼んだ男に警戒を頼み、しゃがんでから倒れている少年の足に小瓶に入った液体を振り掛け、目を閉じた。すると少年の足から流れる血が止まった。
「よし、次は移動」
そう呟き女はカラスの羽らしきものと何かを取り出し少年の上に置き、再び目を閉じようとした。
ガキン
隣で金属同士がぶつかる音がなった。そちらを向くと、刃物の腕を持った怪物の振り下ろされた右腕を奏がさっきまでは持って無かった大きな剣で防いでいた。
「唯!!少年は送れたか!?」
奏は叫んだ。
「あと少し。集中させて」
「オーケー」
そう言い怪物の腕を押し返した。そのことにより怪物は数歩後ろに下がり、二人に間合いができ数秒対峙した。
「送れた。加勢する」
そう言い唯が立ち上がりナイフを右手に持ち、目を閉じる。すると右手のナイフが刀に変わる。その変化を確認することなく唯は駆け出し、怪物の懐に入り込み刀を横一線に振る。しかし後ろに交わされる。しかし、唯の顔は笑った。
「頼む、奏!」
「あいよ!」
怪物の後ろから奏が剣を振り下ろす。
ドン!!
「ちっ。かわされたか・・・。唯!」
その声を聞く前に駆け出していた唯は再び怪物の懐を目指す。怪物が左腕を振るい応戦する。それをかわしその腕にふれ
「こんなやつ折ってやる!」
唯は目を閉じる。
その言葉を理解したのか、怪物はすぐに左腕を引こうとする。それを見て、奏がにやりと笑い地面に手をついて目を閉じる。すると地面が盛り上がり引かれた腕を追い宙に固定し
バキン!
怪物の腕が折れる。
怪物は痛がる様子もなく、そのまま後退し煙を口から吐き出し姿をくらました。
2人は最初のように注意深く再び目を凝らした。しかし、見当たる気配がないとわかると緊張を解いた。すると、二人の大剣と刀がナイフに変化した。
「どうする?追う?」
「いや、いいだろ。一般人も助けたし、どうせあいつら次人を襲うの2年後だろ?それに、探そうにもどの辺りにいるか検討がつかないと見つけられないしな」
「わかった。そう本部に連絡する」
「これが、今回の戦闘の映像よ」
「ちょ、ちょっと待ってください。整理します。えーと・・・。倒れていたのは僕だよな・・・。だって服装からしてもそうだし。でも、やっぱり足は無いわけで・・・。ていうか、そうだとしたら僕途中で画面からいきなり消えたことになるよな・・・。」
そう、夕斗はぶつぶつつぶやきだした。藤崎はしばらくそんな夕斗を眺めてから
「そろそろいいかしら?何か質問ある?」
「この映像が本物だとしたらやっぱり夢も現実だったんでしょうけど、その場合、今現在僕の足がついているのが何故なのかわかりません。その辺どうなんですか?」
「あの映像は本物よ。ここの資料だもの。足の件については魔法で生やしたわ」
「はい!?魔法ってそんなこともできるんですか?」
「ええ、断面がきれな場合に限るけどね。他には?」
「僕が消えたり、刃物の形が変わったりしたのもすべて魔法なんですか?あと映像の二人と戦ってたのがUFM?」
「ご明察!まさにその通りよ、おめでとう」
「はぁ、ありがとうございます?」
そう夕斗が返すと藤崎はうなずき、器械を片付けはじめ
「今度の夏明けからは、今見た映像のような魔法やUFMについて学ぶことになるわ」
と言い残し、映像を映した器械を片づけるために出て行った。




