あの人、準備が良すぎじゃないか?
あの話のあと、藤崎と赤根は医務室を出て、カウンセリング室に向かった。
扉が開くと部屋の中に、白衣を着た長髪でメガネをかけたやせ気味の男性が椅子に座って、隣の椅子を回し遊んでいた。
「うちのユウ君はどうだったかな?」
「修さん・・・。夕斗の年くらい教えてくれったてよかったじゃないですか。俺、魔法のことしゃべっちゃいましたよ」
「ああ、いいよ別に。だって彼は秋雨の人間だよ。いずれにしても関わらずにはいられないんだ。感情の制御のやり方くらい教えてるさ」
「そうは見えなかったんすけど」
「どんな感じだった?」
「復讐に燃えてましたよ。そしてそれとは逆に全く悲しんでないんですよ、あいつ」
それを聞いて、修弥はニンマリと、笑った。
「なんですか?その顔。」
その顔を見た藤崎が修弥のことを訝しんだ。
「いや、なんでもないよ」
そういって修弥は笑った。
「???」
「ほんと、なんでもないから気にしないで」
「はぁ・・・」
聞いてもそれ以上答えてくれそうになかったので、藤崎はうなずいて話を進めることにした。
「修弥さん。さっき、仁君が夕斗君に魔法の使い方を教えるって勝手に約束しちゃったんですけど、大丈夫ですかね?」
「んー、大丈夫なんじゃないかな?ジン君ならなんとかしてくれるでしょ」
「へ!?俺ですか?」
「だって、約束取り付けたの君なんでしょ?」
「まぁ、そうなんですけど・・・」
「んじゃ、よろしくね。キョウちゃん使っていいからさ」
「は!?私もですか?」
「ん?なんか不満でもある?」
「仁君の勝手な発言に巻き込まれるのだけは勘弁願いたいかと・・・」
「そんなことは、本人にいいなよ。隣にいるんだしさ。あ、そうそう、僕がココで働いていることはユウ君には黙っといてね。いろいろと面倒だから」
「了解しました」
「おう、任せとけ」
2人の言葉を聞き修弥はうなずいた。
「うん、よろしく。さっそくだけど、ユウ君の新しい住む場所と学校はもうこっちで用意しといたからユウ君に教えてあげて。理由を聞かれたら、魔法を学ぶためだ、とでも言っといてくれればいいよ。だいたいあってるし。あ、これ資料ね」
そういって紙の束を仁に差し出し、立ち上がって
「んじゃ、2人ともよろしくねー」
と言いカウンセリング室から出ていった。断る暇も質問する時間さえもなかった。
残された2人は顔を見合わせ
「なあ、あの人、準備よすぎないか?」
「ええ、私もそう思うわ」
「たぶん、こりゃ仕組まれてたな」
「あの人、こういうの得意ですしね・・・。人の思っていること読んだり・・・」
「はぁ、やるしかないか」
「ええ、頑張りましょう」
そういって二人は嘆息するしかなかった。




