ここはUFM撲滅機構 クリアースです。
「ここはどこかって質問について答えるとすると、鏡花ちゃんと俺が属しているUFM撲滅機構クリアースっていう秘密機関の医務室ってとこだな」
「医務室・・・。いや、病院とかそんな感じのとこだろうとは普通に推測してましたが、秘密機関って・・・」
「そんな、何言ってんだ大の大人が、みたいに蔑む目で俺を見るなって」
「いや、だって。質問に答えたやるって言ったと思ったら、今度は急に秘密機関とか言いだすんですもん」
「あい、分かった。んじゃ、なぜ秘密なのかについて、これからレクチャーしてやるよ。いいだろ、鏡花ちゃん」
「ええ、もうすべて話すことに決めたので構いませんよ」
「よし、夕斗、よーく聞け!この世にはな、人を襲っている生命体がいます。と言われたらどう思う?」
「んー。まず信じないですね。突然現れたり、自分たちが属しているのが秘密機関だ!とか言っちゃう大人くらいには」
「お、皮肉が言えるくらい元気なのは結構、結構。でも実際いるんだよ、そういう化け物が・・・。そこを信じてもらわんことには何も始まらない」
「なら、突然現れた方法の種を教えてくださいよ。そしたら少しは信じますよ」
「んー、分かったよ。それなら、実際にもう一回見てもらったほうが早いだろうから、いったん目をつぶってくれ」
夕斗は赤根にいわれる通り目を閉じた。しばらくして
「夕斗君、目を開けていいわよ」
と、赤根でなく藤崎から声をかけられた。
夕斗は言われた通りに目を開けた。
「あれ?赤根さんは?」
「夕斗君よく見て、あなたの目の前にいるわよ」
「???」
藤崎を訝しんで見てから、言われた通りにしてみる。すると
「・・・っ!!!」
驚くことにうっすらと赤根の輪郭が見えてきた。
「どういう事ですか!?いまの!赤根さん、透けてみえたんですけど」
「これがさっき言った、魔法ってやつだ」
「魔法?さっきも言ってましたよね。いわゆるRPGやファンタジー小説に出てる魔法ですか?」
「ん、まぁーそんな感じかな?ルールというか決まりごとは多々あるが、それは後で説明してやるよ。んで、どうよ、俺のこと少しは信じてくれるか?」
「目の前で2度目も人がいきなり現れることを体験すれば魔法に関しては信じるしかありませんね」
「魔法に関しては、か。意外と頑固だなお前。まぁいいか、話進めるぞ。いいか?」
「ええ、すべて聞き終わるまで信じるかどうか保留することにしましたから」
「んじゃ、進めるぞ。えーと、どこまで話ったけか?脱線したから忘れてしまった」
「《unfading monster》についてからよ」
「ああ、そうだった。さっき、人間を襲う化け物がいるっていったろ。そいつが今言った《unfading monster》ってやつだ。略してUFMだな」
「つまりここは、その、《unfading monster》だかUFMだかをこの世から消しさろう!みたいな感じの組織って事ですか?」
「そんな感じだ」
「そんな感じって・・・」
「んで、この話には続きがあってな、お前と日向ちゃんを襲った奴がUFMなんだよ」
「はい?」
「つまり、鏡花ちゃんがさっき言ったようにあれは夢ではなく現実であり、その犯人?ちょっと違うか。とにかくお前らを襲った奴の正体がUFMってこと。ちなみに、姿が見えなかったのはさっきの俺の魔法と同じ原理な。んで、日向ちゃんについては、俺たちはわからないが、君が気絶して、UFMの餌食になろうとしているところに駆けつけて助けたってわけ」
さっきから赤根が言っていることは夕斗にとって信じがたいことばかりだ。自分の理解の範疇を超えている。
「ほかになんか質問は?」
「・・・やっぱ信じるのやめていいですか?」
夕斗は胡散臭げに赤根を見ながら言った。
「それは質問ではないだろ。お前がどう思おうが勝手だが、これが真実ってやつだな。他には?」
「ほかですか?そうですね・・・。では4つほど。具体的にUFMとはなんなのか。と、赤根さんがさっき言った、見た目より若いってどういうことなのか。と、なぜ僕の名字である秋雨が出てきたのか。と、魔法について。ですね」
「お、信じるのやめるとか言いながら結構質問するんだな」
そういい、赤根は夕斗を値踏みするように見た。
「あまり、夕斗君をからかうんじゃないの。そういうのがいけないと思うのよ」
と、赤根の態度に鏡花が釘を刺した。
「ん、それもそうか。んじゃ、一個一個答えてやるよ」
「はい」
「まず、UFMについてだったな。UFM、正式名称《unfading monster》はその名の通り時がたっても姿形が変わらない生き物なんだよ。んで、魔法が使える。最初に発見されたのが150年前だな。150年前と聞いて何か思い当たる出来事はないかい?」
「150年前・・・。あっ!巨大隕石!」
「そう、ユーグラウンっていう大陸に巨大な隕石が降ってきたて大陸が2つに割れたってやつだ。歴史上ではそういうことになってるが、実際は違う。ユーグラウンにUFMが現れ、人類との戦闘で大陸は2つに割れたんだ。んで、その時にこいつを排除するため、または、UFMがなんなのかを調べるために二つの団体が立ち上がった。そのうちの一つがここだ」
「いま、UFMの研究って言いましたよね。なにかわかったことはあるんですか?」
「そーだな、150年で分かったことはさっき上げた2つと、一体のUFMはだいたい2年周期で人を襲うってことだな。2年周期の理由はわからんし、人を襲っていないときはどこにいるかもわからん。んで、今までに倒したUFMは43体で、今現在、姿と能力が確認されているのは6体だな。これで、いいか?」
「ありがとうございます」
「んじゃ、次の質問についてだ。お前が見た目より若いってやつだな。これは言葉の通りだ」
夕斗は首をかしげる。
「???。質問の答えになってないですよ」
「まぁそうなんだが、次の質問の答えを聞けば納得すると思うから、次行くぞ。」
夕斗は釈然としないままにうなずいた。
「よし、次はお前の名字、秋雨についてだな。秋雨家は強力な魔法師の家系なんだよ」
「はい?!なんですかそれ?僕、何にも知らないんですけど!!」
赤根の言葉に夕斗は驚いた。
「だから、見た目より若いって言ったんだよ。お前、何歳だ?」
「14ですけど・・・」
「それなら、知らないで当たり前だ」
「???」
「いいか、魔法ってのはな、16まで子供に教えてはいけない決まりになってんだ。教えるどころか、子供に感づかれてもダメなんだ。危険だからな・・・」
「どういうことですか?」
「それは、後で話す。まぁ、今知ってほしいことは本来なら16まで魔法の存在自体大人に隠蔽されているってことだ。よし、つぎ移るぞ!魔法についてだ」
「ちょっと待って、仁君」
「ん?どうした鏡花ちゃん?」
「ここで、夕斗君に選んでもらいましょう?」
「はっ!なんで?」
「使う気もないのに魔法を教えるのはやっぱ危険よ。魔法って意識するだけ暴走することもあるんだから」
「まぁ、そらそうだろうけど、ここで答えないってのは俺のジンクスに反するというかなんというか・・・」
藤崎と赤根が小声でなにか話し合っている。
夕斗はただそれを呆然と眺めていた。すると
「わかったよ。それで行こう」
赤根が折れることで結果が出たようだ。
藤崎は笑顔で
「よし、夕斗君、ここで君に選んでもらうわ。あなたの魔法の適正は高いの。だからうちの組織に入ってくれたら魔法については実戦も含めてしっかりと教えてあげるわ」
そういって藤崎は右手を差し出した。
「逆に、入らないっていう場合はここでいろいろカウンセリングを受けた後に好きにかえっていいわよ。魔法については、どうせ16歳になったら学ぶだろうから、その時までお預けね」
そういって今度は左手を差し出した。
「どうする?」
夕斗は迷わず藤崎の右手を握った。
「そう、よろしくね」
「あんだけ、信じられないとか、信じるのやめるって言ったのに、迷わず手をとるのな、お前」
「日向の復讐のチャンスがあるなら何だってやりますよ。そこさえ本当なら大丈夫です」
「・・・そうか、これからよろしくな」
そう言って、赤根も手を差し出した。




