試合開始前
2月14日日曜日。朝9時。
『入塾期別夏期第二回魔法戦闘サバイバルゲームトーナメント』通称『夏期入塾トーナメント』の本戦が開催される。
『夏期入塾トーナメント』の参加者は夏季入塾の二回生。つまり夕斗達の先輩達となる。
この『夏期入塾トーナメント』は二回生時に格入塾期別に2回実施される大会である。1回目は<四台元素魔法>を覚えた後に、2回目は<規模変換魔法>と<上級魔法>を覚えた後にそれぞれ開催される。
ルールは大会名の通り、魔法を用いたチーム対抗のサバイバルゲームとなっている。選手は三人一組でチームを組み、相手チームを全員脱落させる事を目的に戦闘を行うこととなる。
予選の試合時間は30分。本戦の試合時間は1時間となっており、時間以内に決着が付かない場合は相手チームから得たポイントの多いほうが勝利となる。
このポイントには2つの意味がある。
1つはヒットポイントである。選手は指定の防具をつけなければならない。この防具に指定の武器で攻撃されると自身のポイントが減少する仕組みとなっている。そして、そのポイントが0以下になるとその試合に出る資格を失う。つまり脱落となる。
防具は頭、胸、胴、腕、足につけ、それぞれ攻撃が中ると10p、8p、5p、3p、3pのHPが減る仕組みとなっている。
もう1つは得点である。相手チームの選手に攻撃が成功すると相手選手の減ったポイント分だけ自身のチームの得点となる。これが終了時に多い方が勝利となる。
また、予選では100p、本戦では300pが各自の持ち点となっている。
例えば、Aチームの選手がBチームの頭に攻撃を中てたとするとAチームに10p入り、Bチームの選手のHPが10p減る。またこの場合、Bチームの選手の残りHPが5pだった場合はAチームには10p入り、Bチームの選手はHPが―5pとなり0以下となるので失格となる。
また、勝利条件は相手を全滅か得たポイントが多いということなので、残り人数が少ないチームが勝つこともある。
例えば、予選において、Aチームが残り1人、Bチームが残り3人の時点でタイムアップとなったする。この時、Aチームの選手が残りHPが100p、Bチームの選手の残りHPがそれぞれ10p、30p、30pだった場合、Bチームの得点は終了時最大でも218p(2人とも残りHPが1p時に10Pの攻撃を食らった場合)となり、Aチームの得点は230p(90p+70p+70p)となるため、残り人数が少なくてもAチームの勝ちとなる。
夕斗達はその10分前に屋上の試合場に足を運んでいた。
試合場は150m四方で、その周りに見下ろす形で観客席があった。観客席の入り口は東西に一個ずつある。また、南北には大きなスクリーンがあり、その前に階段があり試合場へと続いていた。
まだ、試合場は一カ月前にみたような、体育館の体をしていた。
観客席には結構な人数がいた。魔法関係者や保護者だけでなく、一般の人や塾生達もちらほらと見かけた。
「お、思ったより観客がいるんだな」
と、明が言った。
「そらそうよ。この『トーナメント』は進路にもかかわってるんだもの」
「ん?どういうこと?」
と茜の言葉に夕斗が続きを問うた。
「ほら、観客の中に魔法関係者がいるじゃない?彼らはこの『トーナメント』で逸材を探しているのよ」
「へー。よくそんなこと知っているね?茜ちゃん」
と桃が感心して頷いた。
「へへー。どうよ。これでも座学は優秀なのよ!」
「・・・。さっき、後ろの人が語ってた」
と百合がボソッと言った。
「ちょ、ユリ!人がせっかく・・・」
「ははは。百合ってたまに容赦ないよね・・・」
と歩は呆れて笑った。
この様に彼らが騒いでいると
「お、始まるみたいだな」
という観戦者の声が聞こえてきた。
それを合図に夕斗達は試合場に注目した。
試合場の北に二人の魔法塾の講師らしき人が立っていた。片方は橘だった。彼らが何かに手をのせ、呟き、目を瞑ると彼らの周りから徐々に体育館の床のようだった床が湿地に変わっていく。2秒もたたないうちにその湿地が床を覆い沼地が現れた。
北と南、それぞれに於いて、階段の前は湿地で階段から約20m離れた所から沼が約100m×10mと横に広がっている。さらにその沼どうしの間に階段から見てH型に沼が広がっている。Hの縦2本に当たる部分は幅10m、長さ50mとなっており、横の部分は幅5m長さ30mとなっている。つまり、東西の端からそれぞれ50m離れた所に横向きでにH型の沼地があることになる。
講師の2人はフィールドが整うと観客席に上がりマイクを握った。
「おまたせしました。これより、『入塾期別夏期第二回魔法戦闘サバイバルゲームトーナメント』、本戦第一回戦第三試合を開始します。第一試合、第二試合は地下競技場で行いますので、そちらに興味がある方は地下へとお願いします」
「今回のフィールドは沼地フィールドとなっております。屋上競技場でのフィールド維持、司会進行、審議審査は私、相川と橘が行います」
「それでは、選手の皆さん入場して、所定の位置について下さい」
橘の指示に従い北と南それぞれの階段から選手が降りてきた。そのまま彼らは階段の前に横一列に並んだ6人が3つの沼を挟んで3対3で相対する形となる。
「それでは、試合を開始します」
と合図の後、相川がブザーを鳴らした。




