第十六章
メイが彼のところへ来たのは、夜だった。
戦いの中でも、訓練中でも、ダンジョンでもなく、ギルドの受付でもなかった。そこでは彼女はもう、入口と、彼と、リニと、近すぎる手がナイフへ伸びる気配を同時に見られるよう、彼の右側に立つことを覚えていた。
部屋で。
遅い時間に。
アステルが、ダンジョンのある街としてはようやく静まったと言える程度に静まった頃だった。窓の外ではまだ、まばらな声、通りの足音、酒場の看板が軋む音、遠くの犬の低い唸りが聞こえていた。廊下では誰かが通り、立ち止まり、それからまた歩き去った。隣の部屋では、おそらくリニがまだ眠っていなかった。壁があるのに、なぜか彼にはそれが分かった。
彼は寝台に座り、剣帯を調整していた。
若返った身体は、今でも時々、他人のもののように感じられた。特に、重い一日の終わりに疲労が昔の鈍い痛みへ変わらない夜には。筋肉は訓練の後でうずいたが、そのうずきは生きていた。背中は痛まない。膝も軋まない。呼吸は深く、心臓は強い。身体は動き、食べ、眠り、温もり、そして生を、彼が長い間忘れていたほどまっすぐで図々しい強さで求めていた。
若い身体の中の、古い意識。
滑稽で、危険な組み合わせだった。
メイは、ノックもせずに入ってきた。
彼は顔を上げた。
彼女は背後で扉を閉め、入口に立ったまま動かなかった。銀色の髪はほどけ、耳は張り詰め、尾は動かない。身につけているのは、アステルで最初の稼ぎの後、まともな服と一緒に買った簡素な長いシャツだった。首の首輪は、白い肌と毛の上でいっそう暗く見えた。武器は腿の短剣一本だけだったが、たとえそれがなくても、彼女はこの宿にいる武装した者の大半より危険だろうと、彼は思った。
「何があった?」
彼は尋ねた。
「何も」
悪い答えだった。
あまりに平らすぎた。
「なら、なぜここにいる?」
メイはまっすぐ見ていた。
いつもの笑みはなかった。
「私が主人に仕えるなら、こういう形ではなぜ駄目なんだ?」
彼は固まった。
そう来たか。
遠回りもなく。
飾りもなく。
宮殿の者たちのほうが持ちそうな羞恥もなく。
だが緊張がないわけではなかった。彼には分かった。彼女の肩の置き方。右手の指が握られ、開かれること。尾が一度だけ揺れ、それからまた止まったこと。メイは、どうでもいいから来たのではない。逆だった。この決断は、彼女が見せたがるより、ずっと重かった。
彼はゆっくり、剣帯を床へ置いた。
「メイ」
「何?」
「これは義務じゃない」
彼女は眉をひそめた。
「私は奴隷だ」
「お前は俺の組の一員だ」
「そして奴隷だ」
「ああ。だが、そのための奴隷じゃない」
彼女は一歩前へ出た。
「もし私が望むなら?」
部屋が狭くなった。
彼は長く黙りすぎた。
メイは牙を見せたが、そこにあったのは挑発よりも防御だった。
「怖いのか?」
「ああ」
彼女は明らかに、正直な答えを予想していなかった。
「私が?」
「俺が間違えることが怖い。お前が、そうしなければならないと思っているかもしれないことが怖い。自由に渡していないものを、俺が受け取ることが怖い」
メイは長く彼を見ていた。
それから、低く鼻を鳴らした。
「主人兼師匠は、また考えすぎる」
「それが、畜生にならないための主な方法だからな」
彼女はさらに近づいた。
もう跳びかかるような動きではなかった。
狩りでもなかった。
ただ近づき、彼の前で止まった。
「私は鎖で引かれてくる檻の女じゃない。私は自分で首輪をつけた。自分で契約を受け入れた。自分でこの部屋へ入ってきた」
彼は遮らなかった。
「あなたは強い」
彼女は言った。
「誰よりも上手く斬れるからじゃない。命令できるからでもない。別の強さだ。あなたは保つ。リニを保つ。私を保つ。自分自身を保つ。内側から痛みと迷いの匂いがして、鼻なんかなくても分かる時でさえ」
彼は思わず苦笑した。
「ずいぶんロマンチックだな」
「私はロマンチックじゃない」
「気づいている」
「もしあなたがもっと弱ければ、私は受け入れなかった。もし残酷なら、喉を食い破る機会を待っていた。もし空っぽの優しいだけの男なら、それでも受け入れなかった。あなたは合っている」
その言葉は彼女の口から、ほとんど判決のように響いた。
合っている。
強い。
彼女に必要な者。
別の男なら、本当の意味で彼女の主人にはなれなかったのかもしれない。紙の所有者としてではない。買い手としてでもない。檻の中で彼女が視線を下げ、自分で首輪をつけることを受け入れた相手として。
彼は立ち上がった。
今、二人の高さはほとんど同じだった。
メイが顔を上げた。
「出ていけと言うなら、出ていく」
声は低くなっていた。
「でも、望んでいないからじゃない」
それが、それまでのどの言葉よりも多くを決めた。
彼は彼女の頬に触れた。
慎重に。離れる時間を与えるように。
彼女は離れなかった。
ただ、ほんの短い一瞬、目を閉じた。まるで、自分がその触れ方をどれほど待っていたのかに、彼女自身が驚いたように。
「なら、いろ」
彼は言った。
メイは息を吐いた。
柔らかくではない。
ほとんど唸るように。
そして、彼の方へ踏み込んだ。
二人の夜は、普通の意味で優しいものではなかった。
そこには、積もりすぎたものが多かった。彼女の怒り、彼の抑制、道、檻、訓練、ダンジョンの血、最初は打撃のように受け止め、やがて待つようになった褒め言葉。メイは柔らかく求めることを知らなかった。確かめ、ぶつかり、止まり、また進み、親密さの中でさえ、自分が壊されず、拒まれないことを確かめなければならないようだった。
彼は急がなかった。
それは、情熱よりも大事だった。
もっとも、情熱もあった。
鮮やかで、生々しく、ほとんど圧倒されるほどで――彼にとってもそうだった。若い身体は強すぎるほど、正直すぎるほど反応した。疲労、年齢、何か新しいものを期待しない習慣によって、何年も鈍っていたものが、突然、熱い波となって立ち上がった。彼はそれを驚きと、不安と、ほとんど怒りに近い歓喜で感じていた。身体は本当に戻ってきたのだ。殻としてではなく。力として。飢えとして。背中の痛み、疲労、古い故障に目を向けずに望む力として。
その夜は、この新しい身体の彼にとってだけでなく、初めてだった。
彼はそれを言葉で知ったのではない。
彼女が突然、自信を装うことをやめたことで分かった。鋭い吸気で。彼の肩に食い込む指で。短く怒ったような囁きで。その中にあったのは「やめて」ではなく、「私を弱いと思うな」だった。身体が望むより慎重でなければならなかった。そして、憐れみが望むより硬くいなければならなかった。
彼女は憐れまれたくなかった。
受け入れられたかった。
そして彼は受け入れた。
鎖なしで。
役割なしで。
市場の汚れた後味はまだ二人の間にあったが、もうすべてを定義する権利はなかった。
ずっと後になって、メイは彼の隣に横たわり、額を彼の肩へ押しつけていた。呼吸は深く、不規則だった。誇りを忘れた尾が、彼の腿の上に横たわっていた。片手の鉤爪がシーツをわずかに引っかいていたが、そこに脅威はなかった。
「痛むか?」
彼は静かに尋ねた。
彼女は彼の肌に顔を押しつけたまま、鼻を鳴らした。
「生きている」
「答えになっていない」
「答えだ。あなたが欲しい答えではないだけ」
彼は彼女の髪に掌を滑らせた。
彼女が固まった。
それから、ほとんど聞こえない声で言った。
「もう一度」
彼はもう一度撫でた。
メイは目を閉じた。
「いい娘だ」
彼は言った。
彼女は全身で震えた。
リニのような羞恥ではなかった。
違う。
もっと深い。
その言葉が今、戦いだけでも、訓練だけでも、「できた」という意味だけでもなく、彼女のすべて――怒り、危険、頑固さ、望み、そして選んだこと――に触れたようだった。
「うん」
彼女は囁いた。
「あなたの」
壁の向こうは静かだった。
静かすぎた。
そして彼は、リニが眠っていないと悟った。
森で嵐の近づく気配を理解した時と同じくらい、はっきりと分かった。彼女は聞いていた。すべてではないかもしれない。だが十分に。誰が入り、なぜ出ていかず、この夜に彼らの組がどう変わったのかを理解するには、十分に。
リニは何も言わなかった。
ノックもしなかった。
出てもこなかった。
割って入らなかった。
その沈黙もまた、夜の一部になった。
朝、メイはほとんど普段通りに振る舞った。
ほとんど。
彼女は階下の卓に座り、肉とパンと濃い粥を、間違った見方をした者なら誰でも噛みつくと言わんばかりの顔で食べていた。だが以前より、彼の近くに座っていた。押しつけがましくはない。甘くもない。ただ、今や彼女の右側の位置は戦闘用だけではなくなっていた。
リニは少し遅れて来た。
濃い緑のマントをまとい、髪をまとめ、袖口のそばには訓練の形――石、木、鉄、骨、穀粒。彼女は静かに挨拶した。メイを短く見た。彼を、少し長く見た。
問いはない。
非難もない。
祝福もない。
ただ理解があった。
そして、まだ外へ出すつもりのない何かも。
メイも、リニが知っていることを悟った。
数秒、二人は見つめ合った。
それからメイが言った。
「謝らない」
リニは向かいに座った。
「求めていません」
「よし」
「はい」
彼は薬草茶の杯を取り、朝食はもっと悪くなり得たのだと思った。
かなり、悪くなり得た。
「今日は訓練だ」
彼は言った。
「その後、ルシアが合う依頼をくれれば、依頼へ行く」
メイが笑った。
「主人は何も変わっていないふりをするんだな」
「変わった。だがダンジョンの魔物が、俺たちの私生活を尊重する義務はない」
リニが薬草茶でむせた。
最初に笑ったのはメイだった。
短く、掠れた、ほとんど幸せそうな笑いだった。
その後、緊張は少し軽くなった。
消えたわけではない。
だが、空気を得た。
訓練は変わった。
急にではない。
すぐにでもない。
だが、線が変わった。
リニとは、もう空気だけに限らなかった。
空気は彼女にとって最も難しかった。まさに繊細さを求めるからだ。簡単に強く圧縮しすぎ、刃や打撃や裂け目に変わる。リニの莫大な魔力は規模を好み、空気はほとんど抵抗を返さない。強すぎる人間の手に持たれた、軽すぎる筆のようなものだった。ほんの少し押しただけで、線はもう台無しになる。
「火だ」
彼は石の地面に、湿った木片をいくつか並べながら言った。
「小さな一撃」
リニは疑わしそうに見た。
「火は空気より危険です」
「火事のことを考えればな。だが、マッチだと思えば違う」
「マッチ?」
「小さな火をつける道具だ。俺の世界のものだ」
彼女は頷いた。
「つまり、炎ではなく、火花ですか?」
「火花。それから細い舌。それから短い一撃。球ではない。壁ではない。『敵を焼く』でもない。ただ、自分で決めた一点へ熱を与える」
彼女は手を上げた。
最初の木片は激しく燃え上がり、黒い炭になって崩れた。
メイが口笛を吹いた。
「いいマッチだな。納屋に火をつけるには」
リニが赤くなった。
彼は指を一本立てた。
「昨日、押せば開く扉を肩で開けようとした獣人の言うことは聞くな」
メイが牙を見せた。
「扉が悪かった」
リニは息を吐き、微笑み、もう一度試した。
二本目の木片は、ただ煙を上げた。
三本目は小さな火をつけた。
「そこだ」
彼は言った。
「杯だ」
「火の杯ですか?」
「そうだ。馬鹿みたいに聞こえるが、効く」
次は土だった。
土は空気より彼女に向いていた。おそらく、抵抗するからだ。石、粘土、土には重さと形がある。つまり彼女の力が掴むものがある。彼が提案したのは、大岩を持ち上げることでも、地面を裂くことでもなく、小さな棘を作ることだった。掌ほどのもの。それから指ほど。それからさらに細いもの。
「そんなに小さくして何のため?」
メイが尋ねた。
「リニが敵を止めるためだ。挽き肉にせず、ダンジョンの床を半分壊さずに」
「挽き肉は時々役に立つ」
「その後で天井が崩れなければな」
メイは考えた。
「よし。小さな棘だ」
リニは集中して作業した。地面から細い石の針が伸びた。最初は曲がり、あまりに大きかったが、だんだん整っていった。戦いでは非常に役立ち得る。足運びを崩す。足裏を貫く。通路を塞ぐ。敵を望む方向へ向かせる。
必ずしも破壊する必要はない。
時には、軌道を変えるだけで十分だ。
メイとは、別のやり方で訓練した。
彼女に鉤爪と牙を完全に禁じることはできなかった。それは、リニに魔法を禁じるのと同じくらい愚かだ。メイの身体そのものが武器だった。速く、柔らかく、近距離では恐ろしい。だが今、彼は切り替えを求めた。
「シミターだけ」
彼は言った。
メイは、手が勝手に短剣へ向かい、あるいは踏み込んだ後で鉤爪が開くたびに唸った。
「剣だけ」
彼は繰り返した。
そして彼女は剣へ戻った。
長さを覚える。
弧を覚える。
体幹の使い方を覚える。
喉へ跳びつくのではなく、腕を斬る。牙で食いつくのではなく、腿を開いて離れる。身体が強いからといって受けるのではなく、打たれる場所にいない。
次に。
「短剣だけ」
すると彼女は別物になった。
低く。
速く。
苛烈に。
より本性に近いが、それでも鉄を手にしたまま。双短剣は、ほとんどすぐに気に入ったようだった。彼女の速度と喧嘩しない。間合いの内側へ入り、斬り、突き、引っかけ、腕の下を抜けることができる。時々、それでも肘、膝、あるいは牙が混じった。
「短剣だけと言った」
「牙も短剣だ」
「違う」
「小さい」
「メイ」
「はい、主人」
そしてまた。
また。
彼女の学ぶ速さは、恐ろしくもあり、見事でもあった。
学問的にではない。リニのようにではない。メイは身体で学ぶ。一度見せる。二度直す。三度目にはすでに自分のやり方でやり、四度目には教えた者よりよくなっている。もし幼い頃から、引き裂いて生き延びることだけでなく、本当の武器の使い方を教えられていたなら、彼女は化け物になっていただろう。
おそらく、今からでもなる。
うまくいった訓練の後には、彼は二人を撫でた。
最初、それはほとんど偶然だった。
やがて、一日の一部になった。
厳密な意味での儀式ではない。規則でもない。「できたら受け取る」でもない。むしろ、彼らの関係が自分で見つけた形だった。彼はいつも同じ言い方をしたわけではない。「よくやった」もあれば、「よく保った」もある。「そうだ、賢い」もある。けれど、「いい娘だ」は別に定着した。
リニはそれを柔らかく受け取った。静かな照れと、内側の光とともに。その光はすぐ彼女の形を安定させた。
メイは違った。どうでもいいふりをして、それから自分から手の下へ入ってきた。時には、唸るように言った。
「私は小さくない」
「知っている」
「飼いならされてもいない」
「見えている」
「ただ、続けろ」
そして彼は続けた。
少しずつ、それは奇妙に思えなくなった。
それこそが、一番奇妙だった。
「死の静寂」は、目立ち始めた。
有名になったわけではない。
そこまでは遠い。
だが、アステルではもう、彼らを覚える者が出てきた。
最初はギルドで。次に市場で。それからダンジョンの入口で。小さな組。曲がった刃を持ち、妙に大人びた目をした若い男。緑のマントをまとい、袖口に違う素材の小さな物を浮かべる静かな魔導士。首輪をつけ、シミターと短剣を帯び、その視線だけで商人たちがあまり露骨に値を釣り上げるのをやめる銀色の獣人。
彼らは慎重に、しかし定期的に依頼を受けた。
地上。
ダンジョンの第一層。
危険な斜面へ薬草採りを護衛すること。
古い倉庫から小型の魔物を排除すること。
森の魔法的な染みを確認すること。
伝説的なことは何もない。
だが、彼らは帰ってきた。完了した。装備の代金を払った。報告した。酔って喧嘩しなかった。仲間を失わなかった。ルシアと規則について、必要以上に長くは言い争わなかった。
組は実用になっていった。
だが、うまく動くほど、彼には問題がはっきり見えた。
ある夕方、珍しく余裕があった。傷もなく、急ぎの用事もなく、すぐ眠らなければならないほどでもなかった。三人はギルドの脇の卓に座っていた。リニは薬草茶を飲み、メイは肉を食べ、骨をあまりに丁寧にしゃぶっていて、それがほとんど挑発のように見えた。彼は羊皮紙の切れ端を広げ、最後のダンジョンでの戦闘を簡単な図にしていた。
「まだ均衡がない」
彼は言った。
メイが目を上げた。
「勝った」
「だから問題ないという意味じゃない」
リニが図を見た。
「どこが間違いですか?」
「間違いではない。構造だ。俺たちには火力がある。かなりの火力だ。お前は魔法で撃つ。メイは近距離を裂く。俺は刃と魔法で殴り、庇い、止めを刺せる。だが、敵を自分に引き受ける者がいない」
メイが眉をひそめた。
「私が引き受けている」
「お前は攻撃している。違う」
「敵が私を見ていれば、リニを見ない」
「お前がそばにいる間はな。だがお前は速い。入って、斬って、離れる。敵が複数なら、いくつかは抜ける。大物が、お前を見ようとしなければ、傷つけることはできても、必ずしも自分へ集中させられるわけじゃない。お前はダメージ役だ」
メイが目を細めた。
「何?」
彼は疲れたように鼻筋を揉んだ。
戦術を考える時、以前の世界の言葉がどうしても出てくる。
「ダメージを与える役だ。大きく。速く」
「いい」
「そうだ。だが俺たちにはタンクが必要だ」
リニが瞬いた。
メイは杯を見た。
「何だ、そのタンクって」
「俺の世界では……いや、そこはどうでもいい。組の中で、敵の注意と攻撃を引き受ける者のことだ。頑丈な戦士。盾。倒れにくく、殺しにくく、無視しにくい者。必ずしも一番大きなダメージを出す必要はない。役目は脅威を保つこと。ほかの者が働けるように」
リニは考え込んだ。
「大きな盾を持った護衛のようなものですか?」
「そうだ。ただし盾だけではない。敵に、どうしても自分を殴らせる技術も要る」
メイが鼻を鳴らした。
「侮辱を叫ぶ」
「時には効く。全員には効かない」
「顔を殴る」
「それも時には」
「噛む」
「メイ」
「何だ? 私なら腹が立つ」
リニが静かに微笑んだ。
彼は図を指で叩いた。
「ここだ。最後の戦闘で、もしそういう人間がいれば、リニは通路の制御に注意の半分を使わなくて済んだ。メイは側面へ入れた。俺は弱点を狙えた。今の俺たちは、互いで穴を塞ぎ続けている。今はそれで何とかなっている。だがいつか、それを罰する相手に出会う」
「遅くて、太くて、大きな盾を持った奴が欲しいんだな」
メイが言った。
「太い必要はない」
隣の卓から、女の声がした。
「太くはないけれど、盾なら?」
三人は振り向いた。
隣の卓に、一人の少女が座っていた。
ギルドで見たことはあったが、よく見たことはなかった。若い。美しいが、脆い美しさではない。メイのような捕食者めいた危険さでも、リニのような抑えた細さと隠れた力でもない。その少女は、普通より少しだけ頑丈に見えた。肩が少し広い。座り方に密度がある。足場が落ち着いている。腕は強い。首もしっかりしている。顔は柔らかく、一見すると少し素朴にさえ見えるが、目は注意深く、疲れていた。
彼女の前には杯があったが、ほとんど手つかずだった。
壁際には大きな盾が置かれていた。
飾りではない。
使うための盾だ。
それと短い槍。
「聞いていたな」
メイが言った。
「囁き声ではありませんでしたから」
少女は答えた。
声は平らだったが、緊張があった。もう口を挟んだことを後悔しているが、引くには遅すぎる人間の声だった。
「名は?」
彼が尋ねた。
「ベラ」
リニは彼女をより注意深く見た。
「冒険者ですか?」
ベラは頷いた。
「今のところは」
「今のところ?」
彼女は楽しさのない笑みを浮かべた。
「二度目は、あまり誘われません」
メイが興味深そうに耳を動かした。
「なぜ?」
ベラは自分の盾を見た。
「遅いから」
その言葉は、明らかに彼女自身のものではなかった。
他人の言葉。
何度も繰り返された言葉。
「攻撃が遅い。槍だと速い人たちについていけません。剣だともっと悪い。組が速く進むと遅れます。魔物に止めを刺す必要がある時は、誰かが先にやります。逃げなければいけない時は、邪魔になります。分け前の話になると、皆、私があまり殺していないことを思い出します」
彼女は落ち着いて話していた。
落ち着きすぎていた。
「重荷だと言われます。丁寧な言い方で言われることもあります。そうでないことも」
メイがゆっくり牙を見せた。
「誰が?」
「関係ありません」
「ある」
「ありません」
ベラは言った。
「泣き言を言いに来たわけではありません」
彼は黙って彼女を見ていた。
今、何を見るべきか分かると、もっと見えた。
彼女は確かに攻撃役より遅い。ただ、弱いからではない。別の形に組まれているからだ。そこには何か、基礎のようなものがあった。密度があり、安定している。なぜか剣や矢と速さを競わされていた、人間の壁。
負けていたのは、駄目だからではない。
立つ場所が違っていたからだ。
「打撃を受けるのは得意か?」
彼は尋ねた。
ベラは、ほとんど慎重な希望を浮かべて彼を見た。
「はい」
「どのくらい?」
「多くの人よりは。私は倒れにくいです。大きな魔物でも。盾を構えられれば、すぐにはほとんど無理です」
「痛みは怖いか?」
「誰でも怖いです」
よい答えだった。
「それでも保つか?」
「はい」
「なら、どうして追い出される?」
彼女は歪んだ笑みを浮かべた。
「皆、もっと速く殺せる人を欲しがるからです。それで盾が必要になったら、もっと大柄な男を取ります。私を見ると、ただの重い盾を持った不器用な女だと思うんです」
メイが彼女を注意深く眺めた。
「ただの、ではない」
ベラが驚いた。
「え?」
「ただ不器用なだけじゃない」
「ありがとう……たぶん。でも、どうして男を取らないのですか?」
彼は少し皮肉に笑った。
「たぶん、俺が男向けじゃないし、男についてよく分かっていないからだ。それに――」
彼はリニとメイへ顎を向けた。
「俺はな、この二人――リニとメイを、夜に仲間から守るより、昼に魔物から守るほうを選ぶ」
ベラは少し呆然とした顔になり、リニは赤くなり、メイは鼻を鳴らした。冗談を評価し、同時に何かを想像したようだった。
リニが静かに尋ねた。
「私たちのところへ入りたいのですか?」
ベラは三人全員を見た。
ここで初めて、絶望が見えた。
大きなものではない。みっともないものでもない。抑えられ、長く抱え込まれたものだ。彼女はもう、ほとんど誰にも近づかないよう自分を説得していたのだろう。申し出ない。もう一度「考えておく」と言われ、その後誰も戻ってこないのを聞かないように。それでも、タンクという話があまりに正確すぎて、黙っていられなかった。
「試すことはできます」
彼女は言った。
「本当に、攻撃を受け止める者が必要なら。邪魔はしません。信用してもらえるまで、取り分を少なくしてもいいです。私は……」
「待て」
彼は言った。
彼女は黙った。
「自分の値段を下げるところから始めるな」
ベラは目を伏せた。
「癖です」
「悪い癖だ」
メイが鼻を鳴らした。
「私にも、こいつはそう言う」
「真実だからだ」
彼は立ち上がった。
壁際の盾へ近づき、しゃがんで確かめた。重い。バランスはいい。打撃の跡が多い。つまり飾りではない。槍も新しくはないが、手入れされている。ベラは怠け者には見えなかった。自分の役目を理解されない場所へ、何度も入り込もうとしてきた人間に見えた。
頭の中で、ハズレットの記憶が動いた。
もちろん、ベラについてではない。
魔法についてだ。こういうものはあるはずだった。魔物の注意へ働きかける術。挑発の印。単純な魔物が、印を持つ者を主な脅威として認識するようになる、刺激的な回路。意志の支配ではない。精神操作でもない。人間には安定しない。だが獣、ダンジョンの魔物、単純な反応で動く存在には効く。魔導士たちは時々、負傷者から魔物を引き離すために、盾持ちや囮にそういう印を掛けていた。
敵意。
注意の吸引。
問題は、ベラがそれに耐えられるかどうかだった。
彼は卓へ戻った。
「手を見せてくれ」
ベラは警戒した。
「なぜですか?」
「少し確かめたい。痛くはしない。嫌ならしない」
彼女は手を差し出した。
硬い掌。まめの跡。古い青痣。彼は指を彼女の手首に置き、慎重に魔力を伸ばした。
深くはない。
彼女に魔力源があるなら、そこへではない。
身体の構造、密度、外からの圧に対する反応へ。
返ってきた答えは予想外だった。
ベラはただ頑丈なだけではなかった。
内側に、生まれつきの安定がある。リニの魔力のような眩しさではない。メイの身体のような捕食者の鋭さでもない。静かなものだ。土のような。よく打ち込まれた柱のような。強化の魔法は、彼女へ完璧に乗るだろう。そして誘引の印も、正しく作れば、彼女を焼きも歪めもせず、裂きもしない。
「面白い」
彼は言った。
ベラが強張った。
「悪いのですか?」
「逆だ」
彼は手を離した。
「お前に技能を渡せる。全部ではない。基礎だ。単純な敵の注意を、自分へ引きつけるものだ。強い意志を持つ人間や魔導士、何もかもに効くわけではない。だが獣、ダンジョンの魔物、一部の魔物には効く。お前は奴らにとって、一番苛立たしく、一番危険で、一番近い敵になる。奴らはお前を殴りたがる」
ベラは瞬きもせずに彼を見ていた。
「なぜ?」
「お前は攻撃を受け止められる。俺たちは受け止められない」
メイが牙を見せた。
「私は保てる」
「お前は避けて殺す」
「それも保つだ」
「お前を壁に立てるのは向いていない。動きが良すぎる。そこへ使うのはもったいない」
メイは考え込んだ。
どうやら褒め言葉は通った。
リニは、もう興味を持ってベラを見ていた。
「彼女が魔物を自分に留められるなら、私はもっと正確に動けます」
「そうだ」
彼は言った。
「メイは側面へ回れる」
「そうだ」
「あなたは私を庇い、ベラが押し切られそうになった時に助ける」
「その通りだ」
ベラは、彼らが戦術ではなく、自分が初めてそのままで必要とされる可能性について話しているかのように聞いていた。
「危険です」
彼女は言った。
「とても危険だ」
「私が最初に死ぬかもしれません」
「そうだ」
「でも成功すれば、私は重荷ではなくなります」
彼はまっすぐ彼女を見た。
「成功すれば、お前は組の中心になる」
それは彼女の予想になかった。
彼女はわずかに身を引いたほどだった。
「中心?」
「そうだ。戦いを、お前の周りに組み立てる。お前がいなければ、ほかは多くの火力を出せるが崩れやすい。お前がいれば、形ができる」
ベラは黙っていた。
顔の中で、とても大事な何かがゆっくり変わっていった。
喜びではない。
まだ信じていない。
むしろ、信じることへの恐怖だった。
「同意します」
彼女は言った。
「急ぐな」
「同意します」
「まだ条件を言っていない」
「言ってください」
彼は向かいに座った。
「試用期間だ。訓練を何度か。それから軽い依頼。合わなければ、正直に別れる。最初の取り分は少なめにする。お前が組でどう動くかを見るまでだ。ただし装備と治療は共用から出す。議論は戦闘後。戦闘中の命令は即座に聞く。俺が退くと言ったら退く。リニが言ったら聞く。メイが言葉なしに唸った時も、時々それは情報だ」
メイが満足そうに耳を動かした。
ベラは一人一人へ視線を移した。
「もし私が失敗したら?」
彼はほとんど自動的に答えた。
「落としたら、拾う」
リニが微笑んだ。
メイが鼻を鳴らした。
ベラは意味が分かっていなかったが、それでもなぜか少しだけ微笑んだ。
「分かりました」
技能の受け渡しは、ハズレットが彼へ一つの図書館を投げ込んだ時より、ずっと短く済んだ。
そして、はるかに丁寧だった。
彼はもう、自分が何をしているのかをより分かっていた。知識をぶちまけるのではなく、形を渡した。中心としての盾の感覚。短い魔法の衝撃を外へ放つこと。自分へ刺激的な印を乗せること。注意を引き裂かず、その印を保つ方法。さらに、断片的な知識も添えた。構え。呼吸。肩ではなく脚で打撃を受けること。盾を角度で回すこと。少し雑ではあったが、短く、要点はあった。
ベラは青ざめた。
だが叫ばなかった。
ただ、卓の端を握りしめた。木が小さく軋むほどに。
受付のルシアが顔を上げた。
「全員、生きていますか?」
「今のところは」
彼は答えた。
「変なことをするなら、後で卓を直さずに済む範囲でお願いします」
ベラはゆっくり目を開けた。
「感じます……」
声は小さかった。
「何を?」
彼女は自分の手を見ていた。
それから壁際の盾を見た。
「今までは、盾は物でした。でも今は、体の一部みたいです」
彼は頷いた。
「いい表現だ」
「それに、私は……攻撃を呼べる」
メイが牙を見せた。
「変な願望だな」
ベラは彼女を見た。
「でも攻撃が私に来るなら、あなたたちには行きません」
メイは一瞬、笑みを失った。
それから頷いた。
「正しい」
リニが静かに言った。
「ようこそ」
ベラは、その言葉もまた慣れていないもののように、彼女を見た。
「私はまだ受け入れられていません」
彼は自分の認識票を取り、卓の上へ置いた。
「受け入れた。あとは、お前がどれだけ保てるかを確かめるだけだ」
ベラはゆっくり息を吐いた。
彼女はまだ、自分の人生がどれほど変わったのか理解していなかった。
それは見れば分かった。
今の彼女にとっては、これは一つの機会に見えているのだろう。最後の一つかもしれない機会。新しい組。変な長。静かな目の魔導士。首輪をつけた獣人。そして、また失望に終わるかもしれない依頼。
彼女はまだ、自分たちがもう、彼女を重荷としては見ていないことを知らない。
足りなかった土台として見ていることを。
メイがリニの方へ身を寄せ、低く言った。
「つまり、立って頭を殴られる担当ができたんだな?」
ベラには聞こえていた。
「盾を、です」
彼女は訂正した。
メイが牙を見せた。
「見てみよう」
リニが手で笑みを隠した。
彼は三人を見て、ふと卓が狭くなったと感じた。
組はまた変わった。
「死の静寂」は、もう道の上の二人の話でも、ダンジョンの三人の話でもなくなった。
今、重心ができた。
打撃を保つ者が。
そしてベラが耐えられるなら、彼らの戦いはまったく別のものになる。




