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帰りの馬車の中も私と第二王子殿下と侍従殿だった。
第一王子殿下は今回は馬で移動されている。そして侯爵令息も新学期の為に一緒に王都に戻っているところだ。
プリシラが馬車内でギターモドキを奏でていると「プリシラの演奏、久しぶりに聞いた気がするな〜」と第二王子殿下が嬉しそうに言ってきた。
第二王子殿下は一緒に過ごした時間が長かったせいか、もうすっかり私に対する遠慮が無くなって、いつの間にか名前も呼び捨てに変わっている。
年下だが王子だし、ま〜いいか。自分もあまり王子扱いしてなかったし…。
「左様でございますね、アーノルド様。令嬢、魔法の練習をなさるのですか?」
「はい。うるさかったらいつでも言って下さい」
「練習でも、あなたの演奏が耳障りであった事はありませんよ。ねぇアーノルド様?」
「ああそうだな。遠慮なく練習してくれ」
「ありがとうございます」
不思議な事に魔法の練習は、毎回ヘビメタなのに、いつも誰もプリシラの練習をうるさがる人はいない。まあピアノのように叩くような演奏もできないからな。
そうやって道中、何事もなく穏やかに王都まで戻って行くのだと思っていた。
だけど、やはりそんな事にはならなかった。第一王子殿下の発言のせいで。
我々は初日の宿を早めに取って夕飯後、宿の宴会室のような小規模の広間に集まっていた。
メンバーは私達親子、第二王子殿下と侍従殿、侯爵令息に、この移動の団長でもある魔法騎士団の副騎士団長と、魔法師団の副師団長だ。
やはり今回の殿下の隣国訪問には凄いメンバーが厳選されていたんだな。
「皆、集まってくれてありがとう。この場に集まってもらった理由は、皆ももう察しているだろう。まだ皆に伝えていない本来の隣国への目的の事だ」
やっぱり!あの質問会で殿下が私に目でけん制した内容の事だよね?
「結論から言うなら、我々は夏に再び隣国に向かう」
予測はしていたが、やはり!という感じだ。
「それは…やはり遺跡の調査という事でしょうか?第一王子殿下」
父も私と同じように気付いていたんだろう。
「そうだ。あちらのジェイン王女と一緒に進める事になる。それにはプリシラ嬢の協力が必要不可欠だ。だから伯爵家には、まず最初にそれをことわっておきたい」
父は静かに頷いていた。
恐らく、私のライトアローとホーリーが必要になるのだろう。
「遺跡調査の理由だが、そもそも遺跡が何の遺跡なのか、そこからジェイン王女に聞いた話を皆に伝えよう。だがこの話は機密として扱ってくれ。まずそれが前提だ」
確かに凄い話だろう。
遺跡とは滅びた文明の跡だ。最古の王朝だとされる隣国に、更に古代の滅びた文明があったという事なのだ。それだけでも驚きの事実のはずだ。
「隣国にある遺跡とは、今の隣国の恐らく前身にあたる国なのだそうだ。今、遺跡の場所は悪意による汚染が酷い。それ故、強力な魔物が多数出る。だから隣国は、なぜその場所を祖先が放棄せねばならなかったのかも調査が出来ず、不明のままなのだそうだ」
「先祖からの伝承も文献もないと?」
「そうだ。先祖からは「新たな国興しに邁進せよ」としか伝わらなかったそうだ。恐らく元々遺跡のあった国の場所で、国を去らねばならない程の忌々しい大事件があって、先祖はその過去を忘れたかったのではないか?と、ジェイン王女は仰っていた」
国を捨てる程の忌々しい事件…もしや…
「もしや、それは彼らの呪いや魔力量が少ない事にも関係が?」
父が質問する。父も同じ事に気付いたようだ。
「ジェイン王女もそれを考えておられた。だから自分達の祖先に何があったのか知る必要があるのだと」
「第一王子殿下、遺跡にはエンジェルの壁画があるって仰ってた。殿下はそれはご覧になりました?」
「ああ。遺跡の直ぐ手前にその壁画はある。まるでそのエンジェル達が悪い者達と戦い、それを封印したから遺跡には入るな!と警告されているかのようにその壁画はある」
「では、その遺跡に入ることは悪い物の封印を解くことにはならないのですか?」
「遺跡に入る事自体は封印の解除にはならないだろう。すでにジェイン王女は遺跡の内部の可能な場所まで入っているそうだ。その封印の話も解明する為に調査がいる」
「第一王子殿下、その遺跡の話だけなら機密にするような内容ではないですよね?ただの隣国の話だし。だけどそうじゃない。もっと我々にも関係する重要な内容が遺跡にはあるかもしれないんでしょ?」
第一王子殿下は「気付いたか?」と言わんばかりにフッと口の端を上げた。
もったいぶるなよ!!




