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「やあ令嬢、今日はドレスじゃないんだな?」
「ご機嫌よう、ジュリアン第二王子殿下。うちは魔法騎士の家系ですから。普段は騎士服です」
「でもその制服、すごく素敵だわ。デザインが良いのね。それにあなたに凄く似合ってる!」
ジェイン殿下も褒めて下さるが、殿下は今日は黄色のドレスをご着用だ。ご本人の黄緑色の髪のせいで全体的に蛍光色かのように眩しい!
「ありがとうございます。でもどっちも良く言われます」
「プリシラ、謙遜ゼロ!」
うっせぇぞ第二王子!やっぱり君はお仕置き確定だな。
新学期を楽しみにしていたまえ。
「プリシラ、ウサギ帽子もやめちゃったの?」
「領主達が帰ったら必要ありませんから」
「え〜、一瞬だったな」
「代わりに侯爵令息がかぶれば良いじゃないですか」
「それもある意味、癒しとなりそうですね〜」
侍従殿!もしや新たな境地を開発なさるのですか?!
「皆、そろそろ本題に入る。余計な会話は後でやってくれ」
第一王子殿下、やっぱり一人冷静だ。
きっと、これまでだって彼がいなきゃ、いつまで経っても本題が始まらなかった事も多いはずだ。腹黒だけど尊敬できる。
「今回は第一王子殿下のお陰で、とても楽しく過ごせたわ。こちらが迷惑を掛けているにもかかわらずね。だから私達に聞きたい事があるなら全て答えるわ。それが約束だったしね」
「私は事前に質問には答えてもらっている。だから皆の質問が優先だ。知りたい事があれば遠慮なく尋ねると良い」
え?殿下がした質問の方が本題じゃないの?だけど他にも聞きたい事はある。
「こちらへの来訪目的は、本当に観光と買い物だったのですか?」
「そうね。それもあるけど私達は塀の外にはほとんど出ないから。特に外国に行ける機会なんて無いから無理を言って便乗させてもらったわ」
「でもそちらの国から時々、来訪者があると伺っておりましたが?」
「塀の出入りを厳重にしていないのは知っているかしら?だから魔物に対応できる力を持つ者達は、時折、自己責任でお出掛けをしているの。でも我々、王族は国民を塀の中に囲っている側だから。それに国民を守る為の兵力を自分達の楽しみの為になんて使えないわ」
「王家にかかっている呪いとは何ですか?それは聞いても大丈夫ですか?」
この質問には、皆、息を飲む。
「ええ。話しても問題ないわ。我々の国では光属性の者が生まれる事はないの。我が国の長い歴史の中で、かつてはいたのよ。だけどもうずっと生まれてないの。それを我々は“呪い”と呼んでいる」
「光属性が生まれないだけで?」
「それはきっと光属性が生まれないだけではないんだ。私が君の家に婿に入ったとする。そしたら君の家の光属性は君の代で断絶するだろう。恐らく君が私に嫁いでも、君から産まれる子供が光属性になる事はない」
「それは原因は分かっているのですか?」
「恐らくその答えは遺跡にある」
『遺跡?!』
「エンジェルの壁画があるという?」
「そう。私は我が国の歴史と遺跡の研究もしているのだけど、遺跡には強い魔物が多く出るの。だから調査は年に一回ほどしかできないし、短時間だから、いつも手前までしかできないの。我々の兵力では遺跡内部の調査が厳しいのよ」
私は、なぜかつい第一王子殿下を見てしまう。
すると殿下は私と目を合わせてきて何かを訴えてきた。殿下の目は「その話はそれ以上、深掘りするな!」と言っている気がする。
きっと殿下の目的に遺跡の件もあったんだ!
他には…歴史の古い国…だったらニコラ!ニコラについても何か文献や言い伝えはないの?そちらの国にも研究者はいるはずだ。でもその質問も殿下の許可が必要そうだ。だってニコラが赤色巨星だという事は国家機密なんだと殿下は仰っていた。
プリシラが押し黙ると、他の人達からも二、三、質問があったが、それ以上はもうなさそうだった。
翌日、我々も王都に戻ることになっていたが、隣国の王族のお二人も帰国されるとの事で、私達が先に出発されるお二人を見送る事になった。
「お二人とも、お会いできて良かったです。お元気でお過ごし下さい」
殿下方の挨拶が終わった後、私もお二人に声を掛ける。
「ああ、こちらこそ。君らも元気でな」
「第一王子殿下、プリシラ嬢、あなた方のお陰で、帰りの旅路もまた楽になる事でしょう。どうもありがとう」
確かにこちらからホーリーを放っているので、しばらくは魔物も出ないはずだ。
お二人を乗せた馬車と護衛の皆さんが橋を渡って行くのを見送る。
彼らの姿が見えなくなると、我々も王都に向け帰路についた。




