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「さすがにお嬢ちゃんに頼る訳にはな〜」
「確かにな。まだ子供だもんな」
「年一回の浄化でも正直、有難いって訳か〜」
だが皆、各々勝手に納得してくれている。
今年、成人を迎える旨は絶対、秘密が良さそうだ。なんなら侍従殿の姪っ子とお揃いの緑のデッカいリボンを着けとくか?
そうか帽子だ、ウサ耳の!とプリシラが考えていると、横の父も「まさかお前の童顔が役に立つとはな…」と小声で呟いた。
「保護者同伴なのも良かったのかもよ?」
「そうだな。一生分かと思われるダンスを踊ったがな…」
父よ、お疲れ様。
第二王子殿下は笑いを堪えるのに必死そうだな〜コイツは後でお仕置きコースだ。
侯爵令息はオロオロと成り行きを見守っている。
この人は、時々、己れの容姿を利用してこようとする以外は、良いヤツだったりするんだよな。
一番、胡散臭いのは第一王子だ。
この状況だってアイツの策略なんじゃないか?って思える。マジ真っ黒ウサギだ。
ああいかん!今は「私はまだ幼いの!」の演技が重要な場面じゃん!と正気に戻る。
「それでは次の話題に移る。今回、隣国の王族の来訪目的だが…まあ彼らは、こちらには買い物と観光目的に来た」
『は〜っ?!』
そりゃ「は〜?」となるわ。
こっちは隣国のせいで、余計な魔物討伐を行なっているのだから。
「彼らもこの状況は知っている。我々に迷惑をかけている事も知っていて申し訳ないという気持ちも抱いている。だが彼らは自分達を守るだけで必死な状態だという事を、私は実際に彼らの居住区を訪れてそう理解した。彼らの戦力に関してはそうだ」
戦力に関してだけ?何か他に含みがありそうだな?
「今回、彼らには塀の外の土地は我々が自由に活用して良いとの許可を取った。国境は河川のままだが、対岸の資源探索や森林の大規模な伐採以外の利用、土地の活用は構わないと言ってきた。その代わり魔物の対策は自分達でやらねばならないし、内陸に行くほど強い魔物が出ることの覚悟は要る」
それを聞いて皆「シ〜ン」っとなっている。
「それって魔物討伐の見返りになるのか?」
という算段に、領主達は頭を働かせ始めたようだ。
プリシラ的には、そう利益にはならないような気もしないでもない。
「伯爵、そうなったら伯爵領からかかっている橋は、今まで通り通行料は無料か?」
「いやうちの領地からも橋をかけるか…」
案外、皆さん前向きなの?
領主達が対岸の利用方法を考え出したので、彼らへの説明はそれで終了し解散となった。
だが私達はまだ残って殿下に話を聞く事がある。
そう隣国の王族のお二人との話し合いもだが、隣国の戦力以外のお話もあるよね?
「プップリシラ…その帽子かぶる事にしたんだな?」
おっと!常に冷静沈着な第一王子殿下が動揺を見せたな?
30分ほどの小休憩の後、再び会議室に集まる時、プリシラは侍従殿に渡されていた白ウサギのニット帽をかぶる決断をしたのだ。
「令嬢はお亡くなりになる日まで、ウサギ帽は意地でもかぶらないと思っておりましたのに。私は今、感動で涙が止まりません」
侍従が目頭を押さえている。
「名を捨てて実を取ることにしました」
「その変わり身の素早さ、見習うべきところがあるな」
そうだぞ!第二王子殿下、見習いたまえ!
「俺も!かぶってこようかな?青いやつ。そしたらプリシラとお揃いだ!」
「令息!そんな事をしたら私の父にもかぶせますよ?あなたは私の父ともお揃いをしたいのですかっ?」
「わっマジで?!感動なんだけど!殿下、帽子取って来ていい?」
逆効果だった!
「私は令嬢の葬儀の際、棺桶に永眠されている令嬢に、そっと白ウサ帽をかぶせるつもりでおりました」
おい侍従!何で私はお前より先に死ぬ予定なの?
「お陰で休憩から戻る時、領主達からたくさんお菓子をもらいました」
父が皆でも食べれるように、もらったお菓子をテーブルに広げる。
「俺もかぶったら、もらえるかな?」
「あなたは学校でかぶれば、令嬢方から大量のお菓子が届くと思いますよ?手作りとか」
「あ…俺、ちょっとプリシラの気持ちが分かった。ゴメン…プリシラは好きで帽子をかぶった訳じゃないのに…」
侯爵令息、あなたのその素直なところは好感が持てます。
この場には殿下方お二人と侍従殿、侯爵令息と私と父だけだ。
家主の伯爵は、帰路につく領主達のお見送りを夫人と共にしている。
恐らく私達にとって本題はこれからだ。
だけど侯爵令息は一緒に帰らなくても良かったの?
「なあ殿下、プリシラも聞いたか?姉上の月のモノが先月から戻ってきたんだって!医師の診察でも、きっと妊娠に問題ないだろうって!」
令息、嬉しいのは分かりますが、月のモノのお話は、このような場ではいかがなものかと思いますよ?
私、以外は男性ですし、皆、気まずそうな顔をなさっておいでですよ。




