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この後は我が国の貴族達が、二人の隣国の殿下方を囲んで賑やかに談笑している。
だが誰も二人にダンスの申し込みをしていない。
そりゃあ先に、あんなダンスを踊っちまったからな…。
誘ったらヤバい事になる!という雰囲気になってしまっている。
令嬢方は、最初はあんなにジュリアン殿下の事を、目を輝かせて見ていたのに、今は目を合わせてはいけない人になっている。
代わりに侯爵令息や第二王子殿下が大人気だ。
そう言えばモネはせっかくオシャレをしたのに、紫では私に出し抜かれ…ダンスでも私にパートナーを奪われ‥‥原因は全部、私じゃん。
ちょっと可哀想な事をしたと、モネの姿を探す。
さっき逃げて行った時、庭園の方に向かった気がするなと、パーティ用にライトアップされた庭に出るが、まだパーティが始まったばかりだから、誰もいないように見える。
だけど無人の庭に、存在感タップリに空に浮かぶ大きな星、ニコラ‥‥。
そう赤い天体がまるで夜の主役のように、頭上で赤光りしている。
昇ったばかりのニコラは手が届きそうなくらい大きい。
実際はシエラより遠いクセに。
プリシラが夜空を見上げていると、声を掛けられる。
「プリシラ嬢…」
モネだ。やっぱり庭にいたんだ。
「モネ嬢、私、あなたに謝る気は全く無いですけど、でも一度、あなたとはサシで話しておきたいと思ってたんだ」
「そうね。でも多分、謝るのは私の方ね。あなたを夏休み前にけん制した事もだし、春休み前に校舎裏に呼びつけた事もだわ。それに…あなたが光魔法を放つ姿を何度も見たわ。あなたに敵うはずなんてない!侯爵令息にもセザンヌにも言われたのに、私は素直になれなかったわ。そして今日、あなたのダンスを見て…とうとう完敗を決めたわ」
「私はモネ嬢と競っていたつもりは無かったのですけど」
「そうね。でもそれもムカつくわ。私は全く相手にもされてなかったんだってね!」
「それも誤解ですってば」
「分かってるわ。私が勝手にライバル視してただけだもの。だけど何一つあなたに敵わないなんて悔しいわ」
「身長!身長は勝ってますよ!」
「…あなたふざけてるの?」
「ごめんなさい。そんなつもりは…」
「まあいいわ。うちの伯爵家は代々土属性なの。建築や土方が生業なのよ。主に船で資材を輸出したり運んだり。建築家や大工を送り込んだりもしているし」
「そうか!だから橋も?」
「そうね。たまたま対岸が近いという理由もあったけど、伯爵家の技術だから出来たと自負しているわ」
「それは凄い事です!」
「そうなのよ。でも魔物の討伐では土属性は、あまり頭角を現さないわ」
「でも今回、第一王子殿下を迎えに行った騎士団のリーダーは伯爵家の…」
「彼は姉の夫で、入婿なのよ。だから彼は火属性なの。伯爵家の騎士団は入婿が団長になることが多いわ。まあそれは良いのよ。どうせ本業は建築土木業だしね」
「そうですか」
「ねえあなた、主な貴族の魔法騎士を多く輩出する家門は、戦える嫁が至上主義なのは知っている?」
「はい。でも結局は非戦闘員に持ってかれている事も知ってます」
「えっ!?本当なの?」
「知らなかったんですか?私の知ってる大物で、夫婦で戦っているのって辺境伯家くらいです」
「……そう言えばそうねぇ?」
「うちも母も祖母も姉も魔法薬師ですし、王妃様も風属性ですが、ご出身の侯爵家は王都に本店があるクリーニングチェーン店です。侯爵である大神官の奥様は、実は部屋の掃除のメイドでした。潔癖の大神官を唸らせた掃除の腕前だったという話です。そして今も侯爵夫人は現役で屋敷を掃除しまくっています」
「それは本当なの?!」
「はいそうです。ちなみに聖女様のご主人は神殿に出入りしている職人で、神殿の家具や調度品などを修理、補修する、幼い頃からの幼馴染みさんです」
「何てこと!聖女様なら高位貴族の令息なんて、より取り見取りの美女じゃない!」
「あの家も不思議なんです。好きな人と結ばれないと光属性が遺伝しないそうです」
「そういう話を聞くと、何だか希望が持てるわね?」
「で、モネ嬢は何がしたかったんでしたっけ?婿探しですか?」
「それはね、男漁りよ!」
男漁り…その言い方ダイレクト過ぎない?




