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「そうそう。我が国は高い塀で囲っている狭い土地だから、皆が運動不足になりやすいの。だからこのダンスはとても良い運動になるわ」
王女殿下もそう仰るが…。
だから少しでも塀から出て、皆で魔物を倒せってば!
私が余計なことを言い出さないようにする為か、第一王子殿下がさっさと楽団に開始合図を送る。それにより前奏が終わり、ダンスが始まった。
ホント毎日、走り込みしといて良かったわ。
私は最初はジュリアン第二王子殿下と踊る。
足の動きと反比例して顔は穏やかな笑顔だ。体幹はブレずに腰に手を置き、殿下と向かい合って足だけが高速ステップだ。
そしてその後、ジュリアン殿下と腕を組みグルグルその場で回る。回りながらパートナーチェンジ!
次は第一王子殿下と向かい合い、先程の腰に手を当てたステップでまたグルグル。
再度パートナーチェンジの後、コサックダンス!
私はジュリアン殿下の足を避けながらステップを踏む。
踏んだら色んな意味で怖い。
でも第一王子殿下の足なら踏んでやりたい。
私もまだ余裕があるが、さすがこのダンスの本家本元のお二人も、息を上げるどころか爽やかな笑顔だ。
王女殿下は体力無さそうなのに!
男性のコサックはそのままで、女性だけステップ移動でまたパートナーチェンジ。
女性はステップのハードルが、男性は体力のハードルが高い。
パートナーが変わると足回しだ。
これはジャンプで躱すのだが、人によってはタイミングや高さを変化させるという意地悪をしてくる。
第一王子殿下はそこまで意地悪ではなかった。もしかすると、そんな変化をつける余裕が無いのかもしれない。
だが踊り慣れたヤツは違う。
ホラッ危ない!ジュリアンめ、タイミング変えてきたな?
高さっおいっ!いきなり頭上近く足を振り上げるのはナシだろう!
プリシラは慌てて屈んで躱す。
もうダンスと言うよりバトルではないか!
そしてそのままジュリアンとジャンプ!これは奴もタイミングを合わせてきた!お陰で高さが出る。
ジャンプに合わせて女性は両手を上げたり、足を広げたり、片足上げたりしてポーズを決めると、また場が盛り上がる。
当然、我々が踊り出してからギャラリー達は「おぉ!」という感嘆の声や「わぁ!」と歓声を上げて拍手などで盛り上がっている。
良いよね〜見てるだけの人は。
最後のジャンプの時、ジュリアンが言いやがった。
「最後、君を放り投げるよ?ちゃんと決めてね!」
バカヤロー!!
ちびっ子を放り投げたら虐待だからな!
でも私はただ投げられたりはしないけど。でも覚えてろよ!
プリシラはジュリアン殿下に放り投げられたタイミングで、一回転して着地する。そこで音楽も終わりだ。
プリシラは着地と同時に、両手をYの字にバンザイ姿で立っている。これって金メダルじゃない?気分はソレだ。
「わー君って凄いね?僕の踊りに着いて来れた人は久しぶりだ!」
「本当!ジュリアンの踊りは意地悪なのに。凄いわ。大勢の令嬢が泣かされたのよ?」
「…私、騎士なんで!」
って言った瞬間、第一王子殿下が吹いた。
「プッ!」あなたはどっちの味方なの?
「プハハッごめん!プリシラ。相変わらず君は面白い」
それって絶対、褒めてない。
もう第一王子とは、しばらく口を利いてやんないから!
音楽も変わったので私は第二王子殿下の元に行く。
彼は私の癒し担当だ。しかし第二王子殿下の側には、なんとモネが居た!
モネ!ちょっと目を離すとすぐコレだ!やっぱりお前の紫は、こっちの第二王子殿下狙いだろ?
だが、私が来たことに気付いたモネが「ビクッ」となって、そそくさと逃げて行く。
私…そんなに怖かった?
「どうやらモネ嬢は、令嬢に後ろめたいご様子ですね?」
「ダンスのこと?あんなの踊れる方がおかしいわ」
「じゃあプリシラは、おかしいって事?」
私は自分で墓穴を掘ったぞ。
「第二王子殿下は、私がおかしいと思われますか?」
自分から自分への明言は避けるべし。
「いいや?でもプリシラは面白い」
第一王子殿下と同じ感想は欲しくないぞ!




