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「ねぇねぇお父様、侯爵令息、隣国の王族の方々にはお会いになりましたか?どんな方々でしたか?」
「ああ。お会いしたが、特別、変わった方々ではなかったと思うぞ?」
「侯爵令息も同じご意見ですか?」
「そうだな。でも王女殿下は…ちょっと変わってらした気もするな」
「へぇ。どんな感じなんだろ?」
「兄上の婚約者になりそうな女性か?」
「それはちょっと気が早いと思いますよ?」
「そうですな。殿下、今回の隣国の王族の訪問目的は、まだ我々には知らされておりません。それを伺ってから判断しても良いでしょう」
「そうだな。少し気が急いでしまったな」
舞踏会は夕方からだ。私達はお昼まで普通に過ごし、その後、各自、舞踏会の準備に入った。
途中、侯爵令息には何か荷物が届いていたから、実家から礼服が届いたのかもしれないなと思っていたら、プリシラが着替えている部屋がノックされる。
代わりに女性騎士が出てくれたんだけど、戻った時に何か大きな箱を抱えていた。
「何だったんですか?」
「それが令嬢にコレを渡してくれって…」
「良かったら、開けてみてくれませんか?」
私はちょうどコルセットを締められていて動けなかったので、女性騎士に頼む。
「令嬢、どうやらドレスみたいですよ?しかも…」
「しかも?」
私は向きを変えてもらって箱の中を見る。
「水色のドレスだ!」
水色の生地にシルバーのレースやリボンも付いている。
これって?!
「メッセージカードも入ってましたので読み上げますね「プリシラ嬢へ、先日はありがとう。お礼も言えずに申し訳なかったわ。あれから月のモノが戻ってきたの…まだ妊娠できるかは分からないけれど、これは礼よ。あなたならこの色を着ても良いわ。byミケランジェロ」だそうです」
「お嬢様、どうなさいますか?まだ下着の上にコルセットだけなので、どちらのドレスも着れますが?」
「まあピッタリじゃない?令嬢には紫はもちろん似合うけど、水色も合わなくはないわねぇ」
女性騎士がプリシラに水色のドレスをあててくる。
「ダメです!絶対ダメ。こんなの着たら絶対ヤバいに決まってる」
「でも紫も第二王子殿下の色じゃない?」
「これは本人もご存知ですし、良いんです。ここの令嬢も紫だと情報を得ていますので」
「そうなんだ!だったら紫を着て令嬢をけん制しないとね?」
「そうです。紫はお役目なのです!」
そう言ってドレスは紫になったけど、一体、どういうつもりで令息はこのドレスを届けたんだろう?
本人は知らないで届けられた可能性もあるな。
ミケランジェロのヤロー、全くヤベェ奴だな。でも月のモノが普通に戻ってきたんだな、それだけは良かったよ。
プリシラが着替え終わって部屋を出ようとすると、扉が再びノックされた。
「プリシラ〜着替えが終わったか?エスコートに来てやったぞぉ」
「どうしますか?」
「ん〜面倒くさいからお断りします」
「でもあの侯爵令息でしょう?氷の女王の弟なんでしょ?スゴ〜いイケメンじゃない」
「でも紫のドレスにしましたし」
「そうねぇ。じゃあパパの所まで、お姉さんが連れてってあげる」
やっぱりドレスを着ても子供扱い…。
「酷いな〜プリシラ」
「ドレスの事ですか?それともエスコートの事?」
私が女性騎士と手を繋いで出てきたので、侯爵令息は後ろから着いてきている。
「どっちもだよ。よりによって紫だし。少し離れている間に第二王子殿下と浮気してるなんて、第一王子殿下も悲しむぞ?」
「スゴ〜い!令嬢、こんな幼いナリして大物のイケメンばっかりじゃん!」
「お姉さんに、どれでもあげますよ?」
「本当?」
「ええ。何ならあの侍従も添えますよ?」
砦の階下に降りると、ホールで第二王子殿下と侍従殿、父が待っていてくれた。
「ほらっやっぱり侯爵令息はエスコートに失敗してますよ、アーノルド様」
「侍従、うるさいぞ!」
「伯爵様、お嬢様をお連れしましたわ。可愛いから迷子にしないようにね」
「お姉さん、ありがとう」
「何だ?プリシラは迷子になってたのか?」
本気で聞いているのか?王子は。
「第二王子殿下は、もう少し王族の処世術を学ばれると良いですよ?」
「令嬢、第一王子殿下にも、その旨は確実にお伝えしておきます」
「プリシラ…その…ドレスは何で紫なんだ?」
伯爵家のパーティ会場に向かう途中で、父が気まずそうに聞いてきた。
何で今さら?
「私と反対色なので似合うのですよ」
「ああ…確かに似合うが…ちとマズイと思うぞ?」
「第二王子殿下の色だからですか?」
「いや…」
「ああ俺もマズいと思う」
侯爵令息は水色を着せたいだけでは?
「お父様、それは水色のドレスよりもですか?」
「ああっ?何で水色のドレスがヤバいんだよぉ!」
「お二人とも、きちんと理由を説明しましょう。じゃないとお子様には遠回しでは伝わりませんよ?」
「じゃあ言うよ!でももう手遅れだからなっ!」
と侯爵令息が言ったタイミングで、パーティ会場に通されてしまった。
「プリシラ…その…」
侯爵令息よ…確かに手遅れだったな。
「兄上!」
「アーノルド、プリシラ、紹介しよう。彼らは隣国の第二王女ジェイン殿と、第二王子ジュリアン殿だ」
なんと隣国の第二王子殿下は、紫色の髪をしてらっしゃった…。




