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第一王子殿下ご一向が、無事に橋を渡って伯爵邸にご到着なさったそうだ。
それが夜の事だったので、プリシラが聞いたのは早朝の演習場の場でだった。なぜなら朝の鍛錬の為に演習場に行ってみたら、帰国した護衛の騎士団が演習場にテントを張っていたからだ。
昨晩、到着してからここにテントを張ったんだな。
全く気付かなかったわ〜。第一王子殿下と隣国の王族方は伯爵家にご滞在だそうだけど。
「プリシラ〜おはよう!」
「侯爵令息!おはようございます。無事にお戻りになられたようで良かったです。昨晩は遅かったのでは?ゆっくり休まれましたか?」
「ん?そこまで遅くはなかったぞ。夜の10時くらいかな。だから風呂に入って寝ても、その日中には寝れたぞ」
「え!そんな時間に到着してたのですか?」
「ああ君は気付かなかったのか?第二王子殿下は出迎えてくれたけど」
「‥‥‥」
「侯爵令息、良い子は寝ている時間なのですよ。成長期ですから!」
「プッ、そうか。そうだった」
…侍従殿のお子様扱いに、まさか助けられるとは…。
「プリシラ、おはよう」
「お父様!おはようございます。無事にお戻りで良かったです。道中、魔物は大丈夫でしたか?」
「ああ魔物な」と言いながら父は侯爵令息と顔を見合わせる。
「?」
「プリシラ、私も昨晩、同様の事を尋ねたのだが、魔物はこちら側では全く出なかったらしい」
第二王子殿下が仰る。
「本当ですか?!」
それはけっこう驚きだ。
ライトアローだけでも、この辺りの川では魔物は一切出ていないと漁師達から聞いている。
ホーリーはやはりそれ以上の効果だったのだ。
「魔物が一切、出なかったお陰で、第一王子殿下との待ち合わせ付近まで、あっという間に着いたんだ。だから、もっと先まで殿下達を迎えに行けるとなって、更に内陸まで進むとさすがに魔物は出てきた」
「そうだ。だからその地点を一旦拠点にして付近の魔物を狩りながら、殿下と合流したんだ」
「プリシラのお陰で殿下と合流した後も、魔物とは全く遭遇しなかったぞ。だからだいぶ早く帰れただろ?」
確かに予定より2、3日くらい早い。魔物が出ないだけでそんなに移動時間も変わるんだな。
「第一王子殿下達の方に死傷者は?」
「ああ第一王子殿下は、騎士団や魔法師団の中でも屈強の者達を連れていたから、死者はいなかったが怪我人は多少な。でも私の回復魔法で皆、回復済みだ」
「安心した。そうだお父様、今夜、伯爵家で舞踏会があるそうなんだけど」
「そうか。確かにそう聞いたな。だが騎士団は騎士服で良いと聞いている。それに私は伯爵家の騎士服も持って来ているからな〜。でもお前も騎士服ではマズイか?」
「お父様、大丈夫。伯爵領の街でドレスを買ったの」
「それは良かったが、支払いは大丈夫だったか?」
「うん。支払いは、全部殿下」
と言って私は第二王子殿下を見る。
「お前、まさか王家に支払いをさせたのか?!」
「伯爵、大丈夫だ。今回は経費にさせてもらう」
「ね?」
「へ〜プリシラのドレス姿が見れるのか?楽しみだなぁ」
「きっと、子リスように愛らしくてらっしゃいますよ?」
人をお子様扱いどころか、更に小動物の子どもにするのか?この侍従は!
「でもプリシラはダンスを踊れるのか?まあ踊れなくても、俺が君を抱えてグルグル回ってやってもいいぞ!」
「それは良かったですねぇ。令嬢」
「…私が令息を持ち上げて、グルグルでも良いですよ?」
何で皆、私が踊れないと思っているんだろう?
「プッハハハハッ!やめてよプリシラ。想像したら…クククククッ」
殿下はツボにハマったのか、先の言葉が言えずにお腹を抱え込んで笑っている。
「本当にヤレそうだから怖いよな…」
「でも侯爵令息は、恐らく要らぬご心配でございます。令嬢はきっとダンスはプロ並みの腕前をお持ちでらっしゃいますよ?」
「え?本当ですか?」
彼はなぜか、私の父に確認している。
でも父も静かに頷いている。だって父は私が宮廷楽師と王宮お抱えのダンス教師と、踊りまくっていたのを知っている人だ。
何なら流れの楽師とも踊っていたから、色んな国の踊りもドンと来い!なのだ。




