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「わ〜なかなか栄えてるんですね?」
「そうでしょう?何気に侯爵領よりもショッピングは楽しいのよ。こういうのは領主の趣味や特色が強く出るのよね〜」
「侯爵領も街中は栄えてましたけど、ここほど華やかじゃなかった」
「そうなの。ミケランジェロお姉様も、あまりファッションに興味のない方だったし。辺境伯も同様よ。それにここは川に橋もあるでしょ?だから時々、隣国の貴族が買い物に来るの。それも理由にあるわね」
「隣国の貴族とはどんな感じだ?我々と何か違いはあるか?」
殿下はそちらに興味があるようだ。でも私も気になる。
「特に一見、違いはないわ。今は隣国との貿易もないから出入国管理もしてないし、税関なんかも無いしね」
「わーセザンヌからそんなワードが出てくるとは思わなかった」
「ちょっと!レストランの経営だって食品を仕入れるんだから、その辺は勉強するのよ!」
「でも一見って言ったよな?よく見ると分かるのか?」
「そうね〜隣国の人は春の半ばから夏にかけて来るわ。魔物が道中に出るはずだから護衛を伴える大貴族だけが来てると思うの。彼らはこちらの通貨が必要になるから、いつも大量の金塊や宝石などを換金して買い物するの。だから彼らが来たら、噂になるし直ぐに分かるのよ」
なるほど。セザンヌの家は河川一帯の地域の複数の領地で、レストラン経営を何軒もしているから情報も早いんだろう。
「着いたわよ!ドレスショップ。第二王子殿下はどうなさるの?一緒にいらっしゃるかしら」
「私はぜひ令嬢のドレスをお選びしたいですね。同じデザインのエプロンや帽子、リボンも選ばないと!」
おい侍従!何を選ぶ気だ?!
「ここはちゃんと子供服やおもちゃも扱っているのか?」
「あっ!アーノルド様、今のは王子としてはダメな発言です。ダイレクトな言葉でプリシラ嬢を子供扱いしてはいけません」
微妙なディスりも禁止したいんだが?
「難しいな…」
「殿下はそのままで良いです。腹黒担当は兄君と侍従殿に任せとけば良いですよ」
「君は本当に言葉に容赦がないんだな…」
「そこの侍従殿もね」
「‥‥‥」
「セザンヌ行こう!」
ご機嫌でドレスショップに入って行く、二人を見ながらアーノルドは呟く。
「兄上が時々、言い負かされるって言ってたの分かった」
「口も行動も、とにかくよく回る方でしょう?」
「でも嫌な気はしない。それにとても面白い」
「ですね。さあ令嬢に似合う面白ドレスを選びましょう殿下?」
「面白ドレスか、それいいな」
二人もショップ内に入って行く。
「まあまあまあっ!なんて可愛らしいお嬢様!ミルクティの髪にマリーゴールドの瞳!まるで光属性のお嬢様みたいだわ!」
“光属性みたい!”とは土属性や雷属性の女性を褒める言葉としても、たまに使われるので、あまり深い意味は無い。
「でしょう?ルノワール夫人、この娘に似合うドレスを持って来てちょうだい!」
「はい!セザンヌお嬢様、お任せをって…もしかしてお隣のボーイは令嬢のコレなの?」
親指上げるな!ルノワールのくせに下品だぞ!
一応、私も殿下も素性は隠していて、殿下は茶髪のカツラをかぶっている。黒髪は王族だと直ぐにバレてしまう。紫の瞳もきっと彼だけだろうけど、この瞳の属性はほとんど知られていないので隠さなくても良いそうだ。
しかし、持って来られたドレスのフリルが多くないか?
前世も今世でもこのフリルの量はあり得ない。
「セザンヌ、もう少しシンプルなドレスが良いんだけど」
「何を言ってるの?!そんな服、あなたのミルキーフェイスを存分に活かせないでしょう?!」
「誠にそうですね!セザンヌ嬢。令嬢にはきっと、あなたが厳選する可憐なフリフリドレスが似合うでしょう!」
「侍従殿!あなたの期待にきっと応えてみせるわ!」
「クククククッ」
「殿下、笑ってますけど…大丈夫ですか?」
「ククッ何が?あと俺のこと殿下って、小声でも呼ぶなよ」
「はいはい。アーモンド」
「またナッツ…」
「だって他に呼び名が思い付かない。でもホラッあの娘、紫のドレスを選んでますよ?」
「えっ?それはちょっとマズくないか?セザンヌ嬢!」
殿下がセザンヌの方に走って行く。
「ハッハッハッ!」
プリシラが「ザマァ」と笑っていると「そうやって笑ってらっしゃいますけど、あなたは紫にされても良いのですか?」と侍従殿が聞いてくる。
「うん。私と紫は反対色で相性が良いんですよ」
「そういう意味では…」
「分かってますよ。でも緑や水色より遥かに良いわ」
「左様で?」




