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第二王子殿下との対決は私が負けた。私が木刀を落としたからだ。
仕方ない、昨日の鞭の練習のせいで筋肉痛だったんだよ。鞭の操作は普段使わない筋肉を使うんだな〜。
鍛錬の後、伯爵家に戻って朝食を食べに食堂に行くと、セザンヌが私を待っていた。
「プリシラ〜。もう昨夜の晩餐は何で来なかったのよ?今朝の鞭の鍛錬も来ないし!」
「慣れない鞭を使ったから疲労困ぱいしてたの。それに今朝から筋肉痛でもう鞭は持てないわ」
「えっプリシラ嬢は筋肉痛だったのか?!」
おっと殿下に聞かれちゃったか〜。
「だから木刀を落としたのか?!」
「ちょっと!あなた朝の鞭の訓練に来なさいって言っといたわよね?部屋に呼びに行ってもいないし、逃げたんでしょ!」
モネまで来た…。
「おや?令嬢は朝から相変わらず人気者ですねぇ。席までエスコート致しましょう」
侍従殿サンキューだ!だけどエスコートの仕方が違う!
「何で手をつなぐの?」
「姪っ子を連れて歩く時は、いつもこれですよ?」
そうだった…私はこの人の姪っ子枠だった…もういいや…昨日は夕飯を食べてないしお腹も空いた。余計な神経は使うまい。
「プリシラ、第一王子殿下が無事に戻って来られたら、叔父はパーティをやるつもりよ?もちろん殿下は派手な催しをお嫌いになる方だから、多分、慰労会みたいな感じで晩餐会をやるわよ」
朝食を食べながらセザンヌが小声で教えてくれる。
「じゃあ私はまた不参加で〜」
「ちょっと!そんな訳にはいかないでしょ?」
「何で?」
「あなたのお父様もいらっしゃるんでしょ?それに二人の男どもが、あなたの不参加を許すと思うの?」
二人の男?…第一王子と侯爵令息ってこと?
「う〜ん…じゃあ全員で参加なしで」
「伯爵家的にそれは無理だわ!殿下もさすがに貴族の対面は守られるはずよ」
「じゃあセザンヌは私に、どうしても参加しろって言うの?」
「あなたドレスが無いでしょう?私のを貸したいけど身長がねぇ」
どうせチビだよ!
「だから今日は一緒に買い物に行かない?」
「えっ?」
「伯爵領のブティックになっちゃうけど、王都と比べてもそんなに悪くはないわ。伯爵夫人もモネもファッションは敏感だから」
女の子と買い物…なんかその響きが久しぶりだ。
むしろ今世では姉や母としかやった事がない!ドレスなんて欲しくないけど、女の子とショッピングはしたい!
「フフッ少し興味を持ったみたいね?良かったわ。あなたにも少しは令嬢らしいところがあって」
「セザンヌ、ブティックの近くにはオシャレな雑貨屋やカフェとか、食べ歩きできるスイーツショップなんかもある?」
「あるわよ。ショコラティエもドーナツ屋もジェラートの店だってあるわ」
お年頃女子の必須行動、ウインドウショッピングと食べ歩き!前世に敵わなくたって、それだけあれば十分だ。
プリシラは俄然ショッピングに行く気になった!
「はあ?これから買い物に行くのか?こんな時に?兄上や君の父君に留守番を命ぜられている立場で?」
その通りだ!だけど過ごし方まで決められていない。
「そんなに言うなら仕方ないです。第二王子殿下も一緒に行きたいんですね?連れて行ってあげますよ」
「そんな訳ないだろう!」
「オシャレなカフェにスイーツの食べ歩きですよ?」
「その前にドレスを見るんだろ!」
「ドレスを買う前に食べ歩きしたら、サイズが変わるじゃないですか!」
「そんなの知るか!」
「ははぁ〜ん?殿下は私のドレスを選びたいんですか?」
「そんな訳…分かった。もう好きに行って来い…」
勝った!
「大丈夫ですよ。何かあったら直ぐに戻って来れますので連絡下さい。ちゃ〜んとお土産も買って来ますよ。チョコレートですか?ドーナツ?」
「私はあなたが、大きな棒付きキャンディを握っている姿をお土産に欲しいですねぇ」
ナニッ?!
「アーノルド様、反撃とはこうやって返すのですよ?まだまだ王族としての処世術が足りておりませんね?」
チッ!侍従…。
私達が殿下の部屋で、そんなやり取りをしているとモネの侍女がやって来た。
「伯爵令嬢と男爵令嬢、お二方はこれからお買い物に出られるとの事。ですので我が主人、モネ様はその間、第二王子殿下をお茶会にご招待したいと仰せでございます」
「そうか。その誘いは嬉しいが、残念ながら私も二人の令嬢とともに買い物がてら領地見学をする事になった。だからまた次の機会にと、そなたの主人に伝えよ」
「地方の領地見学は重要でございますね」
って侍従!殿下も来るの?
「モネと遊んであげなよ、殿下」
「お前たちの方が下心が無い」
それで結局、殿下も一緒にお出掛けする事になった。




