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翌日、プリシラは鍛錬の時間よりも早起きして砦の方に向かう。
途中で川にも寄って川沿い付近を眺めるが、魔物が潜んでいる気配もない。朝日も徐々に顔を出して水面もキラキラと輝き始める。
早春の少し肌寒い中、砦の演習場に到着すると騎士達がワラワラと出始めて、先に来た者から準備運動を始め出した。
「おはようございま〜す」プリシラは皆に挨拶する。
「プリシラちゃん、こっちに来たのか?伯爵家の鍛錬に加わるかと思ったよ」
「私もいずれ騎士団に入れてもらう予定ですから」
「魔法師じゃないのか?お父上と同じ魔法騎士になるのかい?」
「多分、魔法師かな〜。でも体を動かすのは好きなので」
「そうか。でもプリシラちゃんは光属性だから、地方に配属はきっとないな」
「そうですねぇ。でも呼ばれたらいつでも遠征しますよ」
「ハハハッ良い子だなぁ」皆に頭を撫でられる。
やっぱりお子様扱いだ。だけど実はそれが案外居心地が良い。
「皆、おはよう」
「殿下、第二王子殿下、おはようございます」
殿下もこっちに来たんだ。
「プリシラ嬢、おはよう」
「おはようございます。第二王子殿下もこちらにいらしたんですか?」
「ああ。私もいずれ騎士団に属して討伐に加わるから」
なるほど。
こっちに加わる建前も同じなら、伯爵家に加わることの面倒臭い気持ちも同じか〜。
同じ穴のムジナの二人で騎士団に加わって体を動かしていると、侍従殿が「令嬢、そろそろ小侯爵様が王都に戻られる時間になりますが、お見送りは宜しいのですか?」と聞いてきた。
「大丈夫です。王都でまた会えますし」
イノの見送りは要らんだろ。
きっとモネ達が丁重に見送ってくれるはずだ。
「令嬢は昨晩の晩餐にもお見えになりませんでしたし、小侯爵様のご機嫌が一層、悪くなりますよ?」
知るか!と思っていたら「プリシラ!」とイノが砦の演習場に現れた。
「小侯爵様?おはようございます」
「酷いな〜君は!私は今日、帰るのに見送りもしてくれないなんて!」
「また直ぐ王都で会えるじゃないですか」
「私のハニーは何でこんなにツンデレなの?」
いやツンはあってもデレは無いから!
「小侯爵様、令嬢は反抗期でございますよ?」
「そうだったな。ではなプリシラ!ナッツもまたな」
「はい。お気をつけて」
第二王子殿下も、なぜかイノの見送りに加わっている。
「やっと、面倒なのが一人消えたって顔をなさっておいでですね?令嬢」
「侍従殿!今はまだ鍛錬の途中です!」
図星を言われて、プリシラの木刀を握る手につい力が入る。
「ハイハイ。頑張って下さい」
そう言って侍従は下がるが、プリシラの心臓は微妙にバクバクだ。そんなに顔に出してたか?
隣で殿下が笑っている。おのれ!
「第二王子殿下、勝負だ!」
プリシラが殿下に向けて木刀を構えると、演習場の騎士達が二人を囲んで盛り上がる!
「ええっ!いいのか?」
殿下はプリシラの急な挑発に動揺なさっているが、本気でかかってきて欲しい。
昨日からのストレスをぶつけたい気分なのだ。
「アーノルド様、令嬢は学校内では、外見で一番油断してはならない人物ですよ。兄君が仰っておりましたよ」
「分かった!」
第一王子そんなこと言ってたの?分かってるじゃん!
「ヤアッ!」プリシラは先手で木刀を素早く振り下ろす。
さすが王子だ。剣を受け流す姿勢から、ちゃんと小さい頃から剣の指導を受けているんだなと分かる。
でもプリシラだって3歳頃から握ってきたのだ。
もういっちょ「そりゃっ」
また受け流されたが、殿下は私の次の出方を観察してるんだな?
反撃のタイミングを狙ってる。
あ〜本当に、アーモンドによく似ている。
殿下は間もなく15歳、ちょうどお互いのハイスクールが別れて、サヨナラした時のアーモンドと同じ歳だ。
その一年後、私は亡くなった。
あなたはきっとニュースで知ったよね?
大物ヘビメタロック歌手の事故死だもの。しかも飛行機事故だ。
地球上を駆け巡るビッグニュースになったはずだ。
少しは悲しんだ?
あなたとの約束を果たせなかった。
私もジュリアードに行きたかったよ。




