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魔法少女は無理がある?!〜魔法の呪文をヘビメタにのせて♪〜  作者: 朱井笑美


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 父が魔法師団の団長に、次女殿下が使っていた杖について何か記録がないかと確認してくれたそうだ。

 魔法師団とは王宮騎士団と肩を並べる存在の魔法専門の部署だ。


 魔法師団の書庫には、初代聖女の伝記の写しがあったそうで、父は今回、それを見せてもらう事が出来たそうだ。

 伝記の冒頭部分には、かつて聖女がこの世界に来る時に、同時に神様がこの世界を人々の悪意から救う為の道具として、魔法の杖を授けたとあり、杖は元は聖女の物であったという話だ。


 魔法の杖の描写も我が家の杖とほぼ同じで、他の人間が持っても魔法は発動せず、聖女しか使えない杖だったらしい。

 聖女が当時の王太子と結婚し、産まれた子供達は全員が魔力が多く、その中でも二人の王女には光属性が受け継がれた。


 しかし次女だけが上手く魔法をコントロールできなかったらしい。そのため聖女は試しに自分の杖を次女に持たせてみたら、次女は上手に魔法を使えるようになったそうだ。

 だけど娘に杖を渡した後は、母親の聖女はもう杖を使えなくなっており、杖は1人にしか力を貸さないのだろうと書いてあったそうだ。


 つまり魔法の杖は持ち主を選び、持ち主以外は使えないという結論を父は持ち帰って来た。

 杖の主人が1人だけなのは分かった。だけど持ち主の更新基準が、イマイチ分かりませんお父様!

 できれば私も他の人に譲りたい。

 せめてデザインだけでもどうにかならないかしら?神様ヘルプ!


 聖女の杖は次女が使っていたとの記述はあったが、その後の杖の所在は行方不明となっており、今では杖の存在自体が、ただの言い伝えで幻の存在であるか、聖女が没した時に一緒に消滅したのではないかと王宮や魔法師団では考えられていたそうだ。


 それがまさか次女が持ったまま降嫁していたとは!!

 魔法師団長も驚いており、杖の件は直ぐに国王にも報告されたそうだ。


 次女殿下は、勝手に伯爵家に杖を持って来てしまったみたいだ。

 しかもその後、伯爵家に魔法に困った者がいなかったのもあって、聖女の杖はずっと伯爵家の宝物庫で眠っていたのだ。

 一応、当主には次女殿下の日記がある事と「魔法に困ったら宝物庫を探れ」的には細々と伝わっていたらしい。


 だから祖父が存在を思い出したのだ。

 プリシラは近日中に父と祖父と共に、聖女の杖を持参して王宮に参上することになった。

 もうプリシラが持ち主と定められたのは仕方がないが、魔法師団長も国王陛下も一度、聖女の杖をご覧になりたいそうだ。


 確かに実在するのだと驚かれたよね?

 それに私が杖の主人になってしまって、ごめんなさいだ。

 互いに不本意な結果なのかもしれない。


 プリシラ達が王宮に上がる日が来た。

 王宮の魔法騎士団の制服の父と、引退間近で有休消化中の祖父は伯爵家の騎士服を、そして私も伯爵家の女性用の騎士服を着て登城する。

 余談だが、我が家の騎士服は次女殿下がデザインしたと言われる騎士服で、白とオレンジを基調としており、デザインは当時のままなのだが、なかなかセンスがあってオシャレだった。


 ちなみに神殿の神官服は白とゴールドを基調としており、王宮騎士団は黒とブルーなんだけど、私の前世センスを基にしても我が家の騎士服は断トツでオシャレなので、次女殿下は良いセンスをお持ちだったのだろう。


 王宮の騎士団の制服も悪くはないが、我が家の騎士服の方がオシャレなのは、ちょっと残念だなぁと思っていると、馬車は王宮に到着した。


 プリシラの杖は、実はあれからなんと!本体の色も形も変化していた。

 “白と金とピンク色のハート”という乙女な杖から、白と水色に星(星の色は金)というメルヘンだが、少しだけマシなデザインになっていた。


 朝起きて見た時はビックリしたけど、神様が多少願いを聞いてくれたのだと思った。

 さすが神物。そして…やはりいるんだな神様。

 私の悪意のせいで魔物が生まれても困るもんね?


 そもそもなぜ悪意から魔物が生まれる仕組みなのか?

 原因は何なのか?誰か知っている人はいるのだろうか?その辺も王様に聞けたら聞いてみたい。

 到着後、我々一行は王宮の応接室のような場所に案内された。


 応接室に入ると、先に魔法師団長が待っておられたのでご挨拶をする。

 だが団長様は挨拶もそこそこ私に興味深々のご様子だ。

 私は王様にお会いするのは初めてなので少し緊張する。


 前世の父のステージで、ピアノを担当した時よりも緊張する。

 あの時は父のステージの余興で、サックスを担当する弟も一緒だったし。

 ただ曲の題名が”悪魔のララバイ”じゃなければ、尚良かったのだけどと、どうでも良いことを考えていたら国王陛下がお見えになると一報が入り、私達は腰を落として頭を下げる。


 これ、めっちゃキツいやつ。

 でも貴族はこれができないといけないので幼少から練習する。

 最低でも3分は維持が必須だ。騎士の訓練よりもキツかったイメージだ。


 お辞儀を始めて直ぐに陛下がいらっしゃった。

「おお助かった!」と誰もが思った事だろう。

 だけどプリシラは目線の先に高貴なお御御足(おみあし)が、もう1つあることに気付く。


 ん?誰だ?と思っていると「一同、顔を上げて楽にせよ」と陛下のお言葉があり、顔を上げると国王陛下とその横に、第一王子殿下と思しき人が立っておられた。

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