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「この橋を渡ると、向こう側は隣国の領土となる。国同士のやり取りや物流などは、ほぼこの橋を使って向こう側に行くんだ」
私達一向は隣国と我が国を結ぶ橋の手前に来ている。
「そうか船で渡っても、あちらの国は川沿いに街は無いからな」
「この橋を使って陸路で隣国に行くのは危険じゃないの?」
「危険だよ。だってあちらは塀の外の魔物討伐をしていないからな。隣国側はいつも自分達は絶対、塀の外には出て来ないし、来るなら危険を承知で来いという感じだ」
「それでも国交は必要なの?」
「今回は仕方がない。兄上が特使として隣国に向かったのは川の件だけじゃないんだ」
「それは?」
「ああ悪いな。まだちゃんと言えるほど確かな話ではないんだ。だけど兄が戻ってきたら説明があるはずだよ」
「そうですか。それで…私はどこで…って!もしかしてこの橋を渡った先でホーリーを?」
「そうだ。本来は予定していなかった事なのだが、君が光の中級攻撃魔法を撃てる見通しがついたと連絡が来た。だから急遽、この作戦が立てられたんだ。成功させたら、恐らく兄の帰国時の魔物討伐が、少しは楽になるのではないかという話になった」
つまり第一王子殿下を無事に帰国させるのと、私の実験を兼ねてという事なの?
だけどホーリーが成功しなくても、第一王子殿下には復路の十分な戦力はあるって事か。なるほどね腑に落ちた。
「それで侯爵令息は復路用の追加要員ですか?」
「そうだな。往路ですでに第一王子殿下の護衛が減っている可能性もあるからな」
「彼だけではない。私もだプリシラ」
「お父様も?」
「お前がホーリーを成功しても、しなくても私と令息は隣国の内地に向かう。予定では途中で第一王子殿下と合流できる予定になっている。だからお前は第二王子殿下と共に、ここの橋の砦で待機だ」
父が参加する部隊には侯爵令息以外にも、この橋のある領地の伯爵家の騎士団と橋を守る砦の騎士団も合流していた。
「橋を渡った土地の先には、付近に村も町も無いって話でしたよね?」
「そうだ。中級攻撃魔法が広範囲効果になっても大丈夫だ」
本当かなぁ?
「心配するなプリシラ、その為に私もいるだろう?君の魔法が成功したら、私はその範囲と効果を確認しに付近を偵察してから王都に戻る。その過程で負傷者を見つけたら回復させるよ」
死者を見つけたらどうするんだよ!
私の無言の質問に気付いたのか、イノは「あ〜もし、遺体を発見した時はちゃんと弔うよ。君の魔法のせいではなくともね」と当たり前のように言う。
やっぱりホーリーのせいで死者が出るとか超怖い!ライトアローで良くない?って思うけど、ホーリーの実験も兼ねてるから、この大所帯なのだ。
魔法の不発は許されても、怖気付く事は許されない。だったら覚悟を決めないと!そして私の魔法の発動イメージが重要だ。
魔法の呪文自体はライトアローと重なる部分もある。
何度も同じ文言の呪文が出てくるから、効果を強調しているのだろうと推測できる。
強力な光線が降り注いで、地表上の全ての物を光で焼き尽くす。
それは魔物どころか生物も建物も全てだ。
「プリシラ、初代聖女も次女殿下もお使いになった魔法だが、それ以降は誰も使えていない。まだ実験だが我々はその効果を知る必要がある」
そうだ。この国の川沿いの土地を浄化できたら、我が国への悪意も魔物もしばらく流入を抑えられるかもしれない。
やはり迷いは捨てなければ。
プリシラは覚悟を決める。
ホーリーの実験は今日の夕方、日が暮れる頃、行われる事になった。暗い中でどれぐらいの光線が空から降り注ぐのか目視で確認し、そして翌朝、明るくなってから、その効果を確認しに皆で隣国内の領土に入るそうだ。
墓地でライトアローを放った時と同じ状況だ。
夕方までは、まだ時間がある。プリシラは一人きりにしてもらって考える。
ホーリーの発動イメージだ。
しっかりイメージを固めて、思う通りにホーリーを展開し成功させたい。




