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「プリシラ、陛下の許可が下りたよ。だから今回はその場所まで私が付き添う事になる」
「お父様が?!」
「ああ。それと神殿からもイノチェンツィオ小侯爵がお見えになるだろう」
「でもお父様、そんな大袈裟な…もしかしたら私、失敗するかもしれないのに」
「それならそれで構わない。私達はお前に魔法の修得を急がせ過ぎたしな。本来ならお前の年ぐらいだったら、まだ初級魔法で十分だったはずだ」
「お父様、次女殿下の日記を自分でも読むべきなのは分かってる。でも、できれば今直ぐに知りたいの。日記の内容に次女殿下が魔法の呪文について語った記述はあるの?」
「プリシラ、やはりその結論にたどり着いたか。次女殿下にもプライドがあったのだろう。日記には呪文について触れた内容は一切、無かった。しかし姉殿下の愚痴ノートには記載がある」
その愚痴の話は侯爵家の面々も語っておられた!
「という事は?」
「そうだ。次女殿下は呪文を唱えていないのに中級以上の魔法を使っておられた。聖女の杖のお陰でな」
やっぱり!次女殿下は呪文を覚えられない人だったけど、魔力と想像力はあったんだ。だから魔法のネーミングとイメージだけで中級以上の魔法を可能にしたんだ。
つまり杖が補ってくれる能力は魔法を使える能力で、魔力や呪文詠唱まで補完してくれるんだ。
ただし叶えたい魔法の発動にはイメージが重要であること、きっとそれだ!
イノ達の話だと光魔法の初級攻撃はライトアローで、本来は“光の矢”のはずなんだけど眩しい光だけだったと聞いていた。
だから私の中では光の矢が降り注いで眩しく照らすイメージだった。それで私のライトアローは、私のイメージ通りに光が降り注いで、人や物質には影響がなく魔物や悪意だけを光で浄化した。
ならホーリーは…空から光の光線が降り注ぎ、敵を殲滅するのだとイノが言った。
だから私の中ではレーザー光線、またはビーム攻撃なんだよね。
ライトアローより光を収縮させた破壊力のある光線だ。だから高温で危険なはずなんだけど、きっと私の想像力によってはライトアローよりも広範囲で、より強力に魔物も悪意も消し去る事ができるはずだ。
表面だけではない根本的な浄化だ。
でもやっぱり使用するなら対象範囲内に生物も建物もない事が好ましい。そんな場所って…。
春休みに入って、私達はホーリーを試す場所に向かう事になったのだが、その一行には事前に聞いていたイノもいたが、なんと第二王子殿下もいらっしゃった。
まさか入学式より前に「初めまして」とは。
馬車から降りて来た殿下にご挨拶をする。
「第二王子殿下にご挨拶致します。私は伯爵家次女のプリシラと申します」
プリシラが顔を上げると、なんとプリシラが前世で記憶にある顔がそこにいた。
「あっアーモンド!」
思わず声に出して名前を言ってしまう。
手を口に当てたが、時すでに遅し…第二王子殿下も目を見開いて、プリシラをガン見している。
そして「アーモンドでは…アーノルドだけど…」と呟いて黙られてしまった。
うっかりとは言え「ヤバい!」とプリシラが焦っていると、急に後ろから誰かに抱き締められた。
「おい初対面の王子をナッツ扱いするのは、さすがに失礼だぞマイスイートハニー?」
イノ!お前は私をハニー扱いしてる!でも殿下が勘違いするからヤメてくれ。
「大変申し訳ありません。ナッツ扱いではなく、少し殿下が私の昔の知人と似ておりまして…」
この言い訳、本当なんだけど何だか苦しい…。
「大丈夫だ。こちらこそ令嬢の顔をマジマジと見てしまって済まなかった。兄から聞いていた聖女の杖の持ち主が、こんな子ど…いや少女だったとは…」
今、子供って言おうとした?あ〜悪かったわね期待を裏切って。
どうせフレデリカ様みたいな聖女様を勝手に想像されてたんでしょうね?
おっとイケナイ!自分を棚上げして、こんなところでヤサグレている場合ではない。
「この子、可愛いでしょ?でも私のスウィーティだからね!」
それにイノがまだ巻き付いたままだ。でも面倒だからもうイイか…。
「ちょっと、プリシラ!私を無視したまま強引に馬車に乗ろうとしないでっ!」
お父様は騎士として馬で行かれる。だから馬車内は私とイノと殿下なのだが、また居心地が最悪…と思ったら「侍従殿!」
「令嬢、またご一緒させて頂きます」
第一王子殿下の侍従のブルーノ様がプリシラを見てペコリとお辞儀をされた。
「今回はレイノルド様のご命令で、アーノルド殿下の侍従として参りました」
「侍従どのぉ〜唯一の癒し」
「フフフ。レイノルド様の仰る通りでした」
「何者なの?」イノが侍従殿を見て眉を顰める。
「小侯爵様、こちらの方はこの空間で、唯一の私の癒し殿です」
「ちょっと紹介内容がおかしいですね?でも相変わらず私の姪っ子と同じ事を言ってますね」
「小侯爵、この侍従は兄の侍従だ。今回、私と共にいるが気にしなくて良い」
「そうか。でも姪っ子はいくつだ?侍従」
「ちょっと!侍従殿は小侯爵様と同じ侯爵令息なんですよ」
「小侯爵様、私の姪っ子は間もなく6歳です。ちょっとマセた感じが令嬢と似ていますが、最近、淑女教育が厳しくて私に癒しを求めてくる姿もそっくりなのですよ」
「そうだろう!私の唯一のスウィーティだからな」
それで納得したのか?イノよ。




