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「お姉様、ウルスラお姉様!侯爵令息って第一王子殿下の側近だったの?」
「あらプリシラ、急に彼に興味を持ったの?」
「そういう意味の興味じゃないの。だけど1年生の時、殿下と令息は仲が良かったって聞いて」
「う〜ん、側近だったかどうかは分からないわ。でも彼らは同じ騎士科で、よく一緒に剣術や体術などの授業を受けていたみたいよ。令息も強いんでしょ?だから殿下も同じレベルの人と競えて楽しかったんじゃない?授業以外でも二人はよく一緒にいたらしいから友達だったのかもしれないわね」
「今は違うの?」
「さあ?あなたの方が詳しいんじゃないの?一緒に侯爵領に行ったのに」
確かにそうだ。でも彼は騎馬での移動だったし、殿下は馬車だった。道中の会話は普通にあったけど、でも友達って感じではなかったと思う。
「侯爵令息は生徒会に入るのを断ったんでしょ?それはお家の都合だと言ってたじゃない。それにその年の冬の、あの地域は魔物の大規模発生があったんでしょ?」
そうか、殿下はあの地域に直ぐに救助を送れなかったと仰った。
しかもダビデはそれで魔物の毒の被害に遭って…ポールさんは、お兄様まで亡くしている。
だから侯爵令息は殿下が自分を裏切ったように感じたのだろうか?だけど結局、考えても私なんかが分かるはずなんてなかった。
その後は、生徒会にルーズベルト先輩も来なくなっていたし、殿下も不在のまま2年生は生徒会を卒業した。
ルシア先輩やチャールズ先輩に、殿下と侯爵令息の話を聞いてみても「互いに忙しくなったのでは?」と仰っただけで、姉を含む最終学年は学校を卒業し、プリシラも春休みに入った。
春休みに入ってもプリシラには休みは無い。
ホーリーを完成させなければならないし、その後は大神官から預かった魔法にも取りかからないといけない。
ホーリーの呪文の暗記は歌に当てはめたお陰で、まあ何とかなった。だけど問題は詠唱だ。ギターモドキでも、ピアノでも全く息が続かない。
私は一体、何を目指しているんだろう?
これは魔法なの?まるで歌手かなにかを目指している気分だ。
何で魔法の呪文に肺活量が関係あるの?でも次女殿下は魔法を使ってたって‥‥‥。
先祖の悪口を言いたい訳ではない。
だけど次女殿下はあんなに長い魔法の呪文を全部、覚えられるような人だったのだろうか?
初代聖女は異世界人で杖がないと魔法を使えなかった。
次女殿下は魔力は多かったけど魔法のコントロールができない人だった。
それって二人共、魔法を使うのに呪文は関係あったの?
特に聖女は異世界の人だ。次女殿下も、実は呪文を覚えられなかったからコントロールができなかったという事はないのだろうか?
だけど母親の杖を引き継いで魔法をコントロールできるようになった。
聖女の杖は魔法使いとして、どこか欠陥のある人が持ち主になる。だとしたら聖女は魔法が使えなかったこと、次女殿下は魔法をコントロールできなかったこと、私は魔力が足りないこと…違う!
聖女は魔力も持たないから魔法の杖で魔法を使った。
次女殿下は呪文を覚えられなかったから杖で魔法をコントロールした。
私は魔力が足りないから‥‥‥
そうだ!二人が呪文を唱えられなくても魔法を使っていたのなら、私も杖でなら詠唱なしでホーリーが使えるのではないか?!
あくまで憶測の域だけど結論が出た。絶対、検証したい!
でもどこで試す?
ライトアローと違ってホーリーは物質にも影響を与える。
何もない広い平原か廃墟…そもそも私がホーリーを完成させたら、お父様はどうするつもりだったのだろうか?
「お父様、中級攻撃魔法の目処がつきました」
報告すると、父はやはり驚いた。
「まだ春休みに入ったばかりだろう?本来なら夏頃と言っていたのではないか?」
「お父様、少しズルをします。本来なら、やはりまだ時間のかかる魔法です。でも聖女の杖を使用するなら…」
「それなら可能か?聖女の杖を使う事は決してズルではないぞ。お前は杖に選ばれたのだから」
「でも聖女の杖でなら成功するのかも推測です。でも試してみたいんです」
「そうか。やはり…このタイミングなのだな。プリシラ、もしホーリーを試すなら試してもらいたい場所がある」
「そんな場所が?それはどこでしょう」
「少し遠い場所だ。明日、陛下に申し出てみるよ」
やはりまた王家を巻き込むんだ…?




