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翌日の朝、我々が朝食を食べていると、またドアが「バーンッ」と開いて、突然の来客があった。
毎回これだ。
「マイハニーを迎えに来たよ!」
「辺境伯令息、悪いが第一王子殿下の御前だ!」
「は?第一王子殿下?」
彼も殿下に気付くとサッと騎士の礼をする。
「もう…去るから良い」
殿下も投げやりだ。
すると廊下を凄い足音で走ってくる音がした。
ドタドタドタッ「バーンッ!」
「ダビデッ!!」
え?ダンナさんの名前 “ダビデ” なの?
そっか安心した。じゃあこれからもダビデ夫人でいいね。
「ミケランジェロ!何度言ったら分かる!殿下の御前だ」
「あらっ?まだ居たの?」
「ミケっ!そんな口を殿下にきいたらダメだぞ!」
その前に“ミケ”もダメだ。ポチやタマの類だ。
「辺境伯令息、速やかに領地に帰れ。今、辺境伯領は辺境伯以外、も抜けの殻だろう?魔物が出たらどうする!」
「わっ本当だ!直ぐ帰ろうミケ」
そう言って2人は双子と、嫌がるキリコも連れて去って行った。
「第一王子殿下、伯爵令嬢、この度は本当に我が領が世話になりました。息子や我々のワガママを聞いて下さってありがとうございました」
「侯爵夫妻、今後の川の様子と魔物の状況を、春にまとめて報告をくれ。それと川魚料理は誠に美味であった。土産ももらったし失礼する」
殿下はそう仰ると、黒のウサ耳帽子を「ポスッ」と被って馬車に乗り込んだ。
「!」…気に入ったんだ…アレ…。
帰りの道中は殿下と私と侍従殿だけだ。
犬もキジも金太郎もお別れしてきた。
静かだな〜って思ったら、殿下は帽子を深く被って顔を隠して眠っていた。
確かに彼は疲れただろう。
旅の責任者でもあったし、色々インパクトのある人達…。
でも殿下はいつも冷静だったよ。グッジョブ!
私は心の中で殿下を褒める。
「私も失礼致します」
って侍従殿も緑の帽子を目深に被って眠ってしまった。
なるほどそうやって使うのね?
でもプリシラはもらった大きなリボンをソッと2人のウサ耳に付けておいた。
おぉマイメロちゃんじゃん。色は違うけど。
自分がもらったウサ耳帽は全部あげてしまったけど、ちっとも惜しくない。
私は今、お尻がクマさんの毛糸のパンツを履いているし。
これは、これこそ見えないし温かくて優れ物だ。
どうせ行きの馬車で、寝顔もヨダレを垂らした顔も2人には見られてる。
今更、隠さなくても良いだろう。
それにしても第二王子殿下が、春に入学してくるって言ってたな〜。
紫の瞳って、それが気になる。
多分、紫って光属性よりも少ない属性のはずだ。
確か…gravity …あれ?こっちの言語で何だったっけ?
彼も生徒会に入るよね?そしたらやっぱり関わる事になるんだろうか?
正直、面倒いな。
「殿下〜、どうしてルーズベルト先輩は殿下の代わりに婚約したんですか?」
我々はまだ侯爵領からの帰路の途中だ。
何となく聞けそうな雰囲気だったので聞いてみる。
「他国からの縁談を断り難かった。それに他国が持つ情報も欲しかった」
「令嬢、また…思い切った質問を、ダイレクトに殿下にぶつけましたねぇ?」
「だって殿下も私に無礼千万でしたから、これぐらい聞いても許されるかと」
「もしかして殿下の婚姻にご興味が?」
ちげーわ!ニヤつくなよ、ウサギ帽のクセに。
「ハハハ、私も睨まれてしまいました。殿下」
「お前も用心しないと姪に嫌われるぞ?」
「心しておきます」
「‥‥‥」
「大公家であるルーズベルトの家は王家の予備家だ。初代聖女の息子である次男が興した家だ。ルーズベルトの王位継承権は彼の成人によって、第二王子の次で三番目になる」
そっかルーズベルト先輩も私達と同じ先祖。
「何で殿下の婚約者にしなかったの?」
「私は成人したら魔物討伐の前線に出る予定だったからな」
ルーズベルト先輩も成人したのに討伐に出ないって事は…他国の王女が婚約者だからか?なるほど王家の予備ね…。
「令嬢、もう納得されたのですか?」
「おやすみ!」
2人の笑う声が聞こえたが、私は知らん顔して寝る事にした。




